またまたパワーサプライの改良もせず、このような自作記事を書いてしまった。
事の発端は、先日私のもとに訪れたあるミュージシャンが「これは絶対必要だから何とか作って!!」と力説したので作ってみたのだが、あまりの便利さとあまりの音の良さにビビってしまった。
エフェクターボードを使用している読者のみんな、ギターやアンプを数台持っている人にもぜひ作ってもらいたく、今回紹介したいと思った次第。
「バッファードスプリッター」とは、1つの信号を2つに分ける装置だ。
しかし、ギターや、ベースを何の考えも無く分けると、音質劣化と音量低下でみじめな結果になる。
そこで、分ける信号それぞれに音質音量の劣化が無いように高性能なバッファーを持たせるのだ。
私に制作を依頼したミュージシャンは2台のアンプヘッドを同時に使用する猛者で、どうしても音量の劣化無しでアンプに突っ込みたいとのことだった。
完成して音質と音量を確認したがこんなに簡単に、こんなにいい音のスプリッターができるんかい!と思い製品化も考えたが、面倒くさいのでここに発表するだけにした。
OP-AMPを使用せず、FET 1個のディスクリート回路なのでノイズも極小、回路も簡単、部品も少ない。慣れている人ならすぐ完成するだろう。
では今月の一話完結DIY.「バッファードスプリッター」を作ろう。
まずは材料(今回は汎用パーツでも十分美味しいので、特に銘柄にはこだわらなくて良い)。
- アルミもしくは金属製のケース×1個
- DCジャック×1個
- モノラルフォンジャック×3個
- 穴あき基板×1枚
- 1/4W抵抗 1MΩ×2本
- 1/4W抵抗 3.3KΩ×2本
- フイルムコンデンサー 0.22uF/50V以上×2個
- 電解コンデンサー 10uF/16V以上(NPかBP)×2個
- FET 2SK30A / 2SK369 / 2SK117 / 2SK170のどれか×2個
- 配線コード AWG24~20 ×1mあれば足りる
材料はこんなもので良い。
いつもであれば材料にとことんこだわるのだが、今回はなんでもいい。
ただし、接合部分のジャックは音が出る出ないの重要な部分に係るので、できればこれを購入してほしい。
せっかく回路をちゃんと作れても肝心のジャックの接触が悪くて音が出ないのではツマらない。
ではいつもの味わい深い手書きの回路図だ。

回路図の左側ジャックに信号を入力すると、まず信号が2つに分かれそれぞれが別のバッファーを通過して出力される。
肝心なパーツはFETだ。
これは現在ほとんど生産終了となっているが、まだまだ検索すれば見つかるはず。
今回は電源をAC/DCアダプターのみとする(センターマイナス21mmの9V~15V)。
では制作手順に進もう。
ケースは大きさ的にYM-100という品番のアルミケースをお勧めしたい。
大きさがちょうど良く、何より加工しやすい(しかも財布にも優しいお値段)。
耐久性はあまりよくないが、フットスイッチがついているものではないので、足でガシガシ踏むことも無い。
大きさは100mm×30mm×70mm。
これに直径12mmの穴を4か所開けたらケースの加工は終了。
■ ケース穴の位置関係画像

さらに今回は大サービス。
穴あき基板にパーツを搭載して配線も分かるようにレイアウト図を掲載。
基板は縦横40mm×45mmで間に合う。

※赤線はパーツ外形
※紫は配線パターン
※白はパーツ内容名称
※使用するFETの足を規格表で良く確認すること。間違えると音が出ない。
後は組み立てるだけでOKだ。
この機器の使いどころを理解すれば、すぐにまた2台目が欲しくなるはず。
一応、FETの選択はそれなりにローノイズで音質的に評価が高いものを選んだつもりだが、自分で気に入っているデバイスがあればそれでも全然かまわない。
N-chジャンクションFET(J-FET)で15V以上に使用できるものであればOK。
まずは作ってみてくれ。
これにて1話完結DIY(1)無事終了。
次回のブログもお楽しみに。