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マイクのグランドとノイズ

2021-11-09

テーマ:実録 ! サービスマン日記

最近ご依頼いただいた修理の中で「マイクから急にノイズが発生するようになった」というものがありました。
簡単なグランドの接触調整でノイズは減ったので、今回はその調整例をご紹介いたします。

本題に入る前にグランドについて簡単に説明します。

■グランドとは?

グランドとは回路動作における基準となる電位の事を言い、ミキサーやエフェクターやアンプなど、回路がある機器には必ずグランドがあります。
基準となる電位とは0Vのことを指し、それが個体毎に存在します。
※グランドは「GND」と表記される事や「グラウンド」と言われる事がありますが本記事ではグランドで統一しています。

■アース(接地)とは違うのか?

これは似ていてよく混同されがちなのですが、アースは大地に接する事を指していて目的も感電などによる事故防止が主となっています。
詳しくはこの記事をご参考ください(私の記事ではないですがとても参考になります)
電源供給機器のアース(接地)接続

グランドは複数に分類されます。まずフレームグランド、これはシャーシグランドと呼ばれる事もあります。次にシグナルグランド、これは信号グランドと呼ばれる事もあります。このシグナルグランドはもっと細かく分類されますが、その説明は別の機会でしたいと思います。

冒頭に書いたマイクの修理ですが、今回はフレームグランドが取れていなかったというものでした。フレームグランドとはそもそも何かというと、回路を覆う筐体部分を指します。
お預かりした個体はSHURE SM58S、スイッチ付きのダイナミックマイクです。XLRの1番端子がグランド接続となっており、その箇所が浮いていた為にノイズが発生していました。
筐体がシールドにもなっているのでハムノイズが酷かったです。

SM58SとXLRコネクター

なぜ接点が浮いていたか?
それはXLRコネクターが緩んでいた為です。

この箇所をマイナスドライバーで締めて再度動作確認するとノイズは消えていました。

他のマイクにも共通して言える事ですが、ネジを締めるだけでノイズが軽減される事はよくあります。
ハムノイズが大きいなと思ったら、まずネジ類が緩んでないか確認する事が大事ですね。

今回はこの一例に沿ってご説明しましたが、グランドは奥が深く、電位差によってもノイズや音質に影響が出る事があります。
他にも、ギターを持ってマイクに触れたら感電した経験がある方もいるのではないでしょうか?これはギター側とマイク側に電位差が生じて起こる事があります。(静電気によって起こる事もありますが)
こういった場合はギター側とマイク側のグランドにテスターを当てて電圧を計ると結構な大きさの電圧が計測できたりします。アンプのコンセントの向きを変更させたりして電位差を調整したりすると改善する事があります。グランドとアースの関係もありこの辺の詳しい話は次の機会に書かせていただきます。

この記事が役に立ち、機材を末長く使用していただくきっかけになれば幸いです。

技術サポート / 黒巣 翔太

ESPミュージカルアカデミーでギター・エフェクター・アンプ製作の技術と知識を学び、卒業後はライブハウスでPA・照明を担当。ステージ上の全ての機材をメンテナンスするようになり現在の修理業務のベースが完成。照明のムービングヘッドやフォグマシンをメインに修理を行っていますが、ジャンルにとらわれず修理業務に従事しています。最近はアナログレコードの面白さを覚え、レコード屋を巡っています。

SHURE / SM58SE

SHURE

SM58SE

¥14,256(税込)

ダイナミックマイク、単一指向性、ボーカル用、ON/OFFスイッチ付

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