さて、今回から実際に音作りへ入っていきましょう。
※1時限目はこちらからご覧いただけます。【今からはじめるシンセ教室 ~1時限目~】
題材となる機種を何にしようか迷いましたが、
- シンセの音作りを、深く、感覚的(※大事!)に学ぶことができる
- ステージで使っても音負けしない
- 上記条件を満たした一番安価な機種
で迷った結果、KORGのMS-20 miniとなりました。 単音しか出ないので、ベースやリード(メロディ)用途に限られますが、右側のパッチングでかなりエグい音を出すことができ、かつブッ太い音が出せる機種です。特にベース用で本命に使っている人が多い印象です。
KORG ( コルグ ) / MS-20 mini セミモジュラーシンセ
思っているほど、ツマミは多くない!
いろいろな機能を1つのボディに収めてあるので、ツマミがスゴく多いように見えますが、実はそうでもないのです。
ギターやベースのエフェクターボードを思い浮かべてみて下さい。

エフェクターを使わない人からすると、これでもイメージが湧かないかもしれませんが、基本的には「1種類の音変化」をするために、「2-4個のツマミ」を動かすことが一般的です。 つまり、ツマミがたくさんついていたとしても、そのツマミ全部が別々の機能というワケではなくて、ある程度、機能ごとに数個のツマミがまとまっているのです。
シンセの場合、全体が同じ色なので、余計難しく見えるのかもしれません。 これを解りやすくするために、MS-20 miniに色をつけてみましょう。

(用語を説明する前なので、表現が某球団の終身名誉監督みたいになっていますが……)
さらに言えば、左側の「音色と音高」に関しては音作りというほどのものではないので、中央にある擬音語のところが、実際に音作りで利用する部分になります。 色分けした画像と、本体の画像を見比べて、イメージしてみてください。ツマミの数のワリに、機能自体はそんなに多くないことがわかると思います。

他のシンセも、基本的にはMS-20 miniと同じ構造になっているので、これが使えるようになれば、他のシンセのいじり方も解るようになります。
音作りをはじめよう! 「イニシャライズ(初期化)」
さっそく音作りをしていきましょう! と言いたい所なのですが、その前に「イニシャライズ」を覚える必要があります。
イニシャライズは、「シンセの化粧落とし」です。 どのシンセにも、必ず「すっぴん」の音がありますが、このすっぴんが解っていないと、どんなメイクをしたらよいかイメージしづらいのです。
ソフトシンセやデジタルシンセだと、よく「Init」という名前で登録されていますが、MS-20 miniはアナログシンセなので、ツマミを回してイニシャライズする必要があります。 MS-20 miniでイニシャライズを自分でできるようになれば、他のシンセでも、説明書を読まずにイニシャライズができるようになります。
MS-20 miniのイニシャライズは、以下のとおりです。

ツマミの位置は、最初は丸暗記で大丈夫です。 ただ、全部のツマミを一気にイニシャライズしてしまっては、せっかく耳のセンスを磨く機会を逃してしまうので、一個ツマミを回し終わったら音を鳴らして、音の印象がどう変わったかを感じながらイニシャライズを進めてください。
「イニシャライズ」→「音色を作る」→「イニシャライズ」→「音色を作る」→……
この繰り返しで、「シンセ耳」がどんどん成長していきます。 音作りへの理解が深まってくれば、考えなくても勘でできるようになるので、色んな音を作って、演奏して、センスを磨いていってください。
音作りをはじめよう!「エンベロープ(Envelope)」
今回は、エンベロープをいじる所までやって終わりにしようと思います。
使うのは、「フワーン」の部分です。 一番上に、ENVELOPE GENERATOR(エンベロープ・ジェネレーター)と書いてあります。 ジェネレーターは「生成機」という意味で、要は「エンベロープを作る装置」のことです。

しかし、このエンベロープどうやっていじったらいいのか……。 仕組みが解っていないと、何がどう変わっているのか解らないパラメータです。
仕組みについては、次回以降やっていくので、まずは「型」を覚えて、「耳」で覚えちゃってください! エンベロープには、ある程度「パターン」があって、大まかに以下の5つに分けられます。
単発系 |
キック、スネア、ハイハットなど |
---|---|
減衰系 |
ピアノ、ギター、クラビ、ベース、プラックなど |
持続系 |
リード、ベース、オルガン、コードなど |
管弦系 |
リード、ブラス、ストリングスなど |
上物系 |
パッド、ストリングスなど |
上記の分け方は、私が勝手に命名・分類したものですが、この5パターンだけ解っていれば、基本的に「どんな音でも作れる」と思って大丈夫です。 以下に、ツマミの位置を画像で載せますので、それぞれの音を弾いて聴こえ方を比べてみてください。 ※すべて、鍵盤をまったく同じ時間押していますが、聴こえ方が違います。
単発系 | 減衰系 | 持続系 | 管弦系 | 上物系 |
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おまけ
各エンベロープのパターンで、音色1&2や、音色の混ぜ具合を変えてみてください。

「どんな音でも」というほどではないですが、かなりいろいろな音が出せるようになったと思います。 気に入った音があったら、それぞれのツマミの位置をメモしておきましょう
同じシンセでも、使う人が変われば、当然出音も変わってきます。 それこそが、この「気に入った音」で「あなたの音」になります。
次回は、エンベロープについて、深く掘り下げていきますよー。それでは。