みなさん大好き、エフェクターのお話です。
その中でもとりわけ、歪みエフェクターについて書いていきます。
白という色は200色あるらしいですが、歪みは200どころじゃないくらい存在しています。
歪みエフェクターのGAINやDRIVEツマミの加減でもキャラクター感は変わりますし、同じエフェクターでも生産時期によって音が違う!なんてこともざらにありますよね。
そんな激沼な歪みエフェクターですが、実は便宜上の分類が存在します。
よく聞くTS系やケンタ系から、最近流行りのトランスペアレント系など、その系統は多岐にわたっています。
今回はその中からTS系をご紹介。個人的には汎用性がとにかく高く、ハズレのない歪みエフェクターです。
さて、TSと聞いてあのエフェクターが思いつく方もいるのではないでしょうか。
そうです、Ibanez - Tube Screamerです。
TS系とは、Tube Screamerを元に、各社が個性を加えた歪みエフェクターのことです。
そもそもTube Screamerの特徴としては、
- ミッドレンジにフォーカスした音
- シングルコイルでもモコッとした音に変化
- アンプや別の歪みの前にかけるとアンサンブルに埋もれないリードサウンドを作れる
こんな感じです。専らブースターとして使われる、というかブースターとして使うために生まれたペダルかもしれません。
また、現在販売されている王道のTube Screamerは、先に紹介したTS808とTS9の二種類があります。

左が TS808 で、右が TS9 です。
どういう違いがあるのでしょうか?
じつは、TS808が初代Tube Screamerに限りなく近いモデルで、TS9はIbanezが現代的に少しアレンジしたものになっています。
内部回路が若干違うだけなのですが、TS9の方が、やや明るくざらついた歪みで、粘りのある音に感じます。
Ibanezは他にもさまざまなタイプのTube Screamerを販売しています。
ハンドワイヤードの高級モデルである TS808HW
Tube Screamerそのものにブースト機能を追加した TS9DX
ベース向けに調整を加えた TS9B
など。
そして個人的に取り上げて紹介したいのが、ミニサイズな TSMINI 。
ミニサイズなだけあってお値段も控えめ(なんと8,000円程度)なので、Tube Screamerの雰囲気を味わってみたい方、ボードを圧迫せずにブーストしたい方におすすめです。
サウンドキャラクターはTS9で、小型ですがしっかりとTS9の音がします。
以上のように、大元であるIbanezからも複数展開されているTube Screamer。しかしながら、TS系と言われるだけあって、他社からもさまざまな解釈を加えたモデルが販売されています。
では、こちらにいくつかTS系ペダルをご紹介します。
One Control – PERSIAN GREEN SCREAMER
コスパの良さで人気を博すOne ControlのTS系です。
Tube ScreamerらしいサウンドのVintageモードと、歪み量が少ない代わりに、芯の音に一手間加えられるModernモードの切り替えが可能。
お手頃な値段ですが、ローノイズなのも嬉しいですね。
アメリカのハイエンドエフェクターブランドであるEarthquaker DevicesのTS系です。
こちらもモードスイッチが付いているのですが、なんと3つもモードが用意されています。
それぞれ、
- ブリティッシュアンプのように歪む対称ダイオード
- 歪みを抑えたクリーンブースト
- TS系らしい音でありながら、より出力は大きくクリアな非対称シリコンダイオード
の3モード。贅沢ですね。
さらにスイッチの機能も選べて、ラッチ式、モーメンタリーが使用できます。局所的なブーストなどに便利かも。
Leqtique – Maestoso
個人的に推しているメーカーの一つ、Leqtiqueの放つTS系。
特長ともいえる美しいデザインは、一つとして同じものはないそうです。
Leqtiqueのエフェクターは全てが完全ハンドメイドで、この特徴的な塗装も人の手で行われています。そのため、個体差が生じ、世界で一台のデザインとなるのです。
とにかくビジュがいいMaestosoですが、音も当然めちゃくちゃ良いです。
特長としては、
- GainおよびVolumeツマミのレンジが広く、クリーンブーストからディストーションライクな歪みまで出せる
- ギター側のボリュームコントロール、ピッキングへの追従性が良く、ニュアンスの変化をつけやすい
- 音の分離感が良く、コードを弾いても音が濁らない
悪いところが見当たらない、私的に最高のTS系エフェクターです。この雰囲気だとお値段も張りそうですが、割と手が届くお値段になっています。楽器屋さんで見かけたらぜひ試奏してみてください。
いかがでしたでしょうか。
たった一つのエフェクターから枝分かれしただけなのに、メーカーごとに解釈が異なっていることが見えてきます。
これはTS系に限った話ではなく、以降ご紹介してゆくであろうケンタ系、トランスペアレント系、プレキシ系、アンプライク、その他たくさんの歪み群もメーカーごとに解釈が大きく異なります。
それはそうとして、Tube Screamerは歪みエフェクターの第一線に君臨し続ける、由緒正しい(?)モデルです。
どんなメインの歪みに合わせても必ず良い音を鳴らしてくれること間違いなし。
あなたも日々の歪み生活に、緑のミドルブーストをしてみませんか?
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