前回の鍵盤狂漂流記 はウェストコースト・ロックの名盤であるイーグルス、『ホテル・カリフォルニア』における鍵盤楽器の使われ方をリポートしました。今回はウェストコースト繋がりの要素を含んだ隠れ名盤探索シリーズです。
私が音楽の右も左も分からなかった頃、イギリスのプログレッシブロックにハマり、その手の音楽しか聴いていませんでした。
イエスのリック・ウェイクマンやELP、キース・エマーソンの音楽に心酔し、ハモンドオルガンやシンセサイザー、エレクトリックピアノなど、複数台の鍵盤楽器を自分の周りにセットし悦に入っていました。
所属した軽音楽部のたまり場であったロック喫茶に入り浸り、沢山の音楽を聴きました。江古田駅踏切近くの地下にあるメリー・ルーという喫茶店。音楽好きのマスターがかなりの頻度で新譜を購入し、我々に音楽を聴かせてくれました。それが売りとなり、音楽好きな若者が集まる音楽や人の交錯する場所となっていました。
ある日のこと、「久保田麻琴と夕焼け楽団」の新譜がお目見えしました。レコードジャケットのアートワークは淡い水彩画で上空からの朝日が描かれていました。
「夕焼け楽団って、何?」と私は思いました。英国ロックに没入していた人間には久保田麻琴というミュージシャンを知る由もなく、友人のアメリカンロックバンドのベーシストから説明を受けました。
聴こえてきた音楽は何故か私の心にフィットしました。当時はアメリカンロックというジャンルに興味を示さなかった私はイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」やドゥービー・ブラザースの「ロングトレイン・ランニング」位しか聴いたことがありませんでした。
夕焼け楽団の音を聴くとアメリカ西海岸の風が吹いてきたような気がするほど、爽やかな気持ちになりました。今となっては明らかにイーグルスの「呪われた夜」を意識したアンサンブルや「テキーラ・サンライズ」を意識したアコースティックな楽曲もあります。しかし、日本人ミュージッシャンのアイデンティティが見え隠れする箇所もあり、とても素晴らしいアルバムであると思います。このアルバムは今でもヘビーローテーションしています。
■ 久保田麻琴と夕焼け楽団 『ラッキー・オールド・サン』(1977年)

1977年に「久保田麻琴と夕焼け楽団」名義でリリースされた傑作アルバム。久保田麻琴はブルースやニューオリンズのセカンド・ラインなど、アメリカのルーツミュージックをベースにした世界観を持つミュージシャン。実際にファースト・アルバム『サンセット・ギャング』や『ハワイ・チャンプルー』を聴くとブルースやニューオリンズなど、ネイティブなテイストが強い。しかしこのアルバムはその泥臭さは消え、ウエストコーストを意識したすっきりとしたサウンドに仕上がっている。
久保田麻琴氏は、はっぴいえんどのベーシスト細野晴臣に影響を与えたのをご存じの方も多いと思う。実際にこのアルバムにも細野氏はベースとドラムで参加している。
久保田氏の楽曲制作や歌唱もさることながら、持ち味の異なるギタリスト藤田洋麻と井上憲一によるツインギターのアンサンブルが素晴らしく効いている。
また、このアルバムはギターもさることながら、優れたキーボードプレイが大きな聴きどころとなっている。キーボードプレイヤーのロニー・バロン氏と日本を代表するキーボーディスト佐藤博氏の両雄による目の覚めるような演奏を聴くことができる。その他にジェフ・マルダー(Vo)、エイモス・ギャレット(Vo)、ロニー・バロン(key)など、豪華なミュージシャンが参加をしている。
推薦曲:「陽のあたるところへ」
藤田洋麻によるスライドギターから幕を開ける。ギタリスト2人の特徴がこの楽曲にも反映されている。そしてギターアンサンブルだけでなく、そこに寄り添うアコースティック・ピアノのバッキングがとにかく素晴らしいのだ。聴きどころは藤田洋麻氏のスライドギターのソロとそれを受けた井上憲一氏のよく歌うソロ。ギターソロの隙間を狙ってアコースティック・ピアノのバッキング……。各楽器の奇跡的なアンサンブルがこの楽曲には詰まっている。特に後半部のギターソロに絡むアコースティック・ピアノのよく歌うバッキングも白眉!アコースティック・ピアノの理想的なバッキングを是非、聴いてほしい。久保田麻琴の肩の張らない歌唱もいい。
推薦曲:「ラッキー・オールド・サン」
アルバムタイトル曲の「ラッキー・オールド・サン」は久保田麻琴のテーマとしている生きにくい男の想いが綴られる。この楽曲での一番の聴きどころは中間部での井上憲一氏のギターソロ。このアルバムにはギタリストであるエイモス・ギャレットがボーカルで参加をしているが井上憲一氏がエイモス・ギャレット顔負けの素晴らしいソロを弾いている。楽曲にある男の気持ちを投影させたギターソロは井上にエイモスが乗り移ったかの様。哀感たっぷりに歌い上げる。珠玉の必聴ギターソロ!
またロニー・バロンの弾くハモンドオルガンの音色と演奏も素晴らしく、見事に楽曲の屋台骨を支えている。
今回取り上げたミュージシャン、アルバム、推薦曲
- アーティスト:久保田麻琴、藤田洋麻、井上憲一、佐藤博、ロニー・バロン、細野晴臣など
- アルバム:『ラッキー・オールド・サン』
- 推薦曲:「陽のあたるところへ」「ラッキー・オールド・サン」
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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