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前向き思考の極め 「これでいいのだ!」と言い切れる勇気

2024-02-05

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

天才バカボンの「これでいいのだ」という有名なセリフは、故赤塚不二夫が漫画の中で掲げてヒットした有名な言葉だ。満州で育った赤塚は、ある日「メイファーズ」、「没法子」と「仕方ないよ」という意味の中国語に心を捉えられる。その背景には、彼自身が満州に逃避するも、常に飢えと寒さに苦しめられていたという戦争体験が存在した。そして戦後、父親はソ連に抑留され、赤塚が日本に帰国した後、幼い妹は栄養失調で命を落とした。そのような悲惨な体験を経ても、その現実を謙虚に受け止めながら生き抜いてきた。その結果、生まれたのが、「これでいいのだ!」という言葉だ。それは現実を肯定し、何があっても前向きに生きて行くことの証でもあった。

その後、赤塚はいつしか漫画の世界に没頭することになる。その結果生まれたのが、ギャグ、笑いの精神を多分に含んだ新世代の漫画だ。そして赤塚は自分の人生そのものを振り返りながら、それをギャグ化してお笑いに変えるという離れ業を成し遂げ、そこから生まれた作品が、「天才バカボン」だ。「天才バカボン」が大成功した背景には、赤塚不二夫の正直な姿、丸裸な自分が見え隠れしていたのかもしれない。そして自分のプライドなど、何もかも捨てて自分の世界にのめり込み、「これでいいのだ!」と割り切って取り組むところに、赤塚のひたすら前向きな姿があった。こうして「天才バカボン」の父親、赤塚不二夫は、あらゆる人生を楽しく、喜びに溢れるものとすることを目指した。

人生にはさまざまな艱難と苦境が伴う。そして壁にぶつかる度に、多くの人は落胆し、愚痴をこぼして欲求不満となり、時には現実逃避してさまざまな問題にぶつかってしまうこともある。その典型的な叫び声が、「ありえない!」だ。目の前の困難を体験したが故に、自然と口から出てしまうネガティブな言葉。それさえも赤塚には存在せず、どんなつらい体験、ひどい環境においても、「ありえない!」を、「これでいいのだ!」と割り切って、その状況を甘んじて受け止めるだけでなく、むしろ前向きに考えてしまうのだ。これを究極のポジティブ・シンキングと言わずして、何と言えるだろうか。

物事を前向きに考えること、ポジティブ・シンキングは常日頃、自ら心掛けている信条でもある。自分の場合は「これでいいのだ!」という、現実を謙虚に受け止める考え方からさらに一歩踏み込んで、「何とかなる!」「必ずできる!」という希望的観測に繋げることも多い。確かに、何もできる術がない状況では、「これでいいのだ!」という思いが積極思考の極めだ。が、可能性が残されていること、できること、成すべきことがある場合は、「必ず何とかなる!」「絶対にできる!」と心の中で確信することこそ、前向きな考えと言える。その一例が、気の遠くなるような遍路の道中だ。

四国八十八ヶ所遍路の中で、ウルトラマラソンに匹敵する長距離を極めるのが、徳島県の日和佐から室戸岬までの78㎞と、四万十から足摺岬までの82㎞だ。どちらをとっても、フルマラソンの倍の距離であり、普通の庶民には想像もつかないほど、過酷を極めることとなるロングな道だ。既にマラソントレーニングをリタイヤしてから15年、だいぶ歳をとってきた自分にとっても、その距離は恐怖にも思えるほど、むちゃくちゃに長い。では、どうやってその、およそ80㎞を日中に走り続けることができるのか。

最も大事なことは「強い気持ち」だ。どんなにハードルが高いチャレンジであったとしても、「強い気持ちさえあれば何とかなるものだ」という考え方こそ、ポジティブ・シンキングなのだ。八十八ヶ所遍路の中でも長い距離が存在するセクションの場合、遍路を周る意義を再確認し、「必ず到達する!」という信念をもって、自分に言い聞かせ続けることが重要となる。そのような思いだけで、一度は無理とは思えた長距離の遍路においても、いつかゴールに到達できているのである。強い思いのまま、体を動かすことが重要であり、そこにポジティブ・シンキングの効能を垣間見ることができる。

これまでどう考えて走ってきたかを振り返ってみた。そもそも、80㎞という長距離は自らの限界を超えているだろうし、フルマラソンを1日で2回走ることなど、想像がつかない。それでも走り切ってしまうためにはどうするか?答えは簡単だった。それは自分が走り切れる距離を想像し、その短い距離の成功体験を積み重ねていくことにある。具体的には80㎞という恐怖の数字をそのまま受け止めず、自分が普段から走り、自信を持ってランニングできる距離に分けてしまうのだ。

自分の場合、日頃から目白界隈をちょうど5㎞走っていることから、頭の中では5㎞だけ走るならば、大丈夫というイメージが沸いてくる。5㎞から10㎞までなら、普通に走れる自信はある。そしてその繰り返しを行っていくだけだ、と言い続けるのだ。無論、最初の5㎞はおよそ楽だが最後の方は間違いなくきつくなってくる。よって相当なる覚悟を持たないと、「これいいのだ!」と思える訳がない。ましてや、「なんとかなるさ!」と思える訳がない。相当の覚悟が必要だ。

だからこそ、ポジティブ・シンキングが必要だ。必ず勝てるというパターンを繰り返すことにより、80㎞も必ず走破できると信じるのだ。何が何でも、80㎞を完走したビジョンを心の中に描くのだ。しかしながら80㎞は異常に長い。よってそれだけに集中して考えると、嫌になってくるどころか、当初からギブアップすることになりかねない。それ故、ところどころ、考え方を修正しながらも、ポジティブ・シンキングを貫くことが極めて重要になる。例えば、途中、苦しくなっても、「ゴールはある!」「進めばいつか辿り着く」、「必ず終了地点が見えてくる!」と思うことにより、体がついてくるようになるのだ。こうしてこれまで遍路を走ってきた。

いかなる状況においても、必ず救いの道はある、大丈夫、「これでいいのだ!」「必ず周り切る」という強い意志を持つことにより、八十八ヶ所は周り続けることができるのだ。その証拠に、これまで数々の難関ともいえる霊峰を駆け登ってきただけでなく、次への札所前の遠い道のりも、あえて我慢しながら、「あと、5㎞」「あと4㎞」と、心のなかで自分に声をかけながら、ひとつひとつのハードルをクリアーしてきた。こうして自分が走れる距離を思い浮かべて、それを繋げていくと、いつの間にかゴールが見えてくるのだった。

ポジティブ・シンキング、それは自分にとって、成す術がない時は「これでいいのだ!」と割り切ることであり、少しでも達成するチャンスが残されている場合は、「必ずできる」「絶対にやり遂げる」と心の中で確信することからはじまる。そんな思いで今日もまた、高知県の四万十に向けて、遍路を行く自分がいる。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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