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「オリジナル曲」や「歌ってみた」動画の一枚絵をイラストレーターに依頼する流れ

2024-01-31

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音楽全般

前置き

はじめまして。
サウンドハウスへの寄稿は初となります、“とある音楽好きの匿名イラストレーター”です。

内容はタイトル通り。

「オリジナルソングを作った!」
「ボカロオリジナル曲をDTMった!!」
「歌ってみた動画を投稿してみたい……」

ソレ、ぜひともインターネットという大海に放流しましょう。

とかく音楽、つまるところの創作物は誰に向けて公開するでもなく自己完結で終わらせてもなかなか乙なものがありますが、多くのピープル'sに聴いてもらえるのもそれはもう得も言われぬ喜びがあります。

ただし前提として世はデジタルコンテンツの時代。それも「動画」という形式がいま最も盛んといっても過言ではありません。

そんな昨今、音源がどんなに大衆的に良質なものであったとしても「NO IMAGE…」としか表示されていないサムネイル(≒表紙)の動画なんて、それはそれは純でありつつも相当に狂った音楽好きにしかクリックされないことでしょう

そこへもうちょっとだけ。
ささやかに華を添えるのにそこまでハードルが高くもなくそれでいてかなり効果的なのが、これまた最近流行りの“一枚絵MV”というものなのです。

一枚絵MVとは?

特に主流としているジャンルが「ボカロオリジナル曲」や「歌ってみた」動画です。

百聞は一見に如かず、ということでまずは以下の動画リンクを。

Chinozoさんの『グッバイ宣言』。
誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
こちらのポーズをとってから撮影された弾き語り動画を制作されている方もいらっしゃいました。

n-bunaさんで『夜明けと蛍』。
こちらは厳密には楽曲を制作されたご本人様によるセルフカバー動画なのですが、分かりやすいであろうとともに、とても素敵なアコースティックアレンジですので共有させていただきました。

投稿されている動画の多くは一枚のイラストに簡単な差分を用意し、歌詞やクレジットなどを簡単なものではありつつも、バチバチっと格好よくなるように動画編集すれば完成するものとなっています。

さらに作業を簡略化するとしたら一枚絵をバーン!と貼り付けてひたすら歌詞とクレジットを動画内に挿入するシンプルな形などでもよいでしょうが、いずれにせよ共通して存在するメリットとして一枚絵はそれだけでポップでキャッチーな「サムネイル」としての役割も果たすというものです。結果として楽曲動画のクリック率が跳ね上がる可能性を高く秘めているのです。

さて、オリジナルの楽曲は当記事を読んでくださっている読者の方々が持っているとして、そのイラストを手に入れるにはどうしたらよいか。

イラストレーター(絵師)に依頼してみよう!

答えはシンプルでしたね。

“描けぬ(描かぬ)なら 描いてもらおう お金を出して” …という訳ですね。いま考えました、スミマセン。

まずは完成している音源のイメージに近いイラストレーターさん(以下:絵師)を探してみましょう。
もちろん、単にその絵師さんの「画風が好み」という理由でも構いません。

その具体的な方法ですが、SNSなどでハッシュタグを活用するだけでもたくさんの絵師さんが見つかると思います。

もしくは「SKIMA」などの俗にいう“コミッションサービス”内で、専用の「イラスト依頼」の募集をしている絵師さんを探すという手もあります。

気に入った絵師さんがみつかったら依頼の旨を伝える連絡手段を探ります。
上述、後者であればサービス内になんらかのメッセージ機能があると思いますのでひとまず困ることはないと思いますが、問題はSNSなどで好みの絵師さんを発掘した場合です。

まずイラストを描く行為そのものを、規模の大小にかかわらず“業”として営んでいる絵師さんはSNSのプロフィール欄など、どこかしらに連絡手段が記載されている場合が多いので細かく探してみましょう。

一見そのような表記がなくとも、DMが開放されている場合には直接問い合わせてしまうのもひとつの手です。
それすら塞がれている場合にも「現在イラストの受注は請けておられるでしょうか?」など丁寧に返信機能を利用してみるのもよいかと思います。

このときの注意点ですが、絵師さんのイラスト作品を褒めることが最大のポイントになります。

曲を作る側の人間はもちろん、絵描きという人種も褒められて伸びるタイプが実に多いのです。
1の賞賛にその場で舞い、1の悪評にすぐふて寝します。

しかしながら安心してください。
何も特別な言語を用いることはないのです。

あなたが我が子とも思えるほど大切にしている音源に、自分のイラストを贈れるというのは、絵師側からしたらそれだけで光栄極まりない出来事なのです。

下手なお世辞などを並べなくとも、語彙力がだいぶアレでもまったく問題ありません。率直にその絵師さんの作品を気に入った理由を添えてあげてください。

問い合わせる際の必須事項

上記の受注の可否と同時に伝達しても構わないのですが、絵師がお仕事としてイラストを描くにあたって知っておきたい情報がいくつかあります。

ここを押さえておくだけでその後の取引のスムーズさに驚くほど直結することから、ぜひともビシッと抑えておいてもらいたいポイントです。以下、箇条書きしますね。

  • 予算・納期
  • MV以外にも使用する場面が存在するか
  • イラストのサイズ・ファイル形式
  • イラストの構図・イメージ・描きこみ量・差分の有無など
  • そのほか備考

※太字項目は特に必須項目

思いつく限りだとこんな感じでしょうか。
ひとつずつ補足します。

予算・納期

依頼するイラストにどのくらいお金を出せるのか
それといつまでに納品してほしいのかの希望になります。

特に予算に関しては難しいところではあるものの、実は大体の相場があります。

例:

  • 人物イラストバストアップのみ、背景単色、差分なし:¥3,000~¥12,000
  • 人物全身、簡単な背景あり(描きこみ小):¥5,000~¥15,000
  • 塗りや描きこみの質量がかなり凝ったもの:¥15,000~
  • 差分追加(一枚あたり):¥500~¥5,000

上記は本当に一例に過ぎないのですが、先ほどのSKIMAの平均値は大体このくらいになるのかなと思います(もちろん絵師さん個々の忙しさや実績などによって「かなり」幅広く上下します)。

ただしイラストを一枚描くのに¥3,000すら切るというのは、絵師さんが安請け合いをしているか特別な事情があるか(初期PRのために安くしている等)の二択がほとんどです。

まずヒアリングのやりとりをしている時間だけで時給が飛びます。
ただでさえとれない元がほぼ無に帰します。

ましてや値切るなんてもってのほか。基本的にやめておきましょう。

MV以外にも使用する場面が存在するか

こちらに関しては場合によっては法律の話が絡む場合もあります。低予算で抑えたかったらシンプルに「ない」と答えてしまい、また使わないようにするのが無難です。
あくまで一枚絵を「MVイラスト」としてのみ起用するのならばその必要性はないはずなので。

例外として「SNSアイコンにも使いたい」とかであれば、絵師さんにそこまで神経質になられることは少ないと思います。
無条件で許可が下りる場合がほとんどですので、可能であれば事前に許諾をとってしまいましょう。

間違っても勝手にイラストをグッズ化などして販売したりしないように……。

イラストのサイズ・ファイル形式

こちらは動画サービスのガイドラインに推奨画像サイズや解像度、ファイル形式が記載されていますが、一般的にはフルHDとなるサイズ:1920(w)×1080(h)px/解像度:72dpi/ファイル形式:jpg,pngになります。

サイズはpx(ピクセル)を単位とするイラストの大きさのことで「キャンバスサイズ」とも言います。

解像度(単位:dpi、“ディーピーアイ”と読む)に関しては気にしないでOKです。
カラー印刷に必要な解像度となると数値としては300dpi~になりますが、モニター上において解像度という単位はほぼほぼ意味を持ちません。

ファイル形式は上記の二つが画像形式の中で特に一般的なものとなります。
どちらの形式もイラストを出力するのにさほど手間はかかりませんので、動画投稿サービス指定のファイル形式もしくは両形式の納品を要求してしまいましょう。

稀に作業環境の都合でフルHDでの納品が難しい絵師さんがいらっしゃるので、状況に応じて要相談となる場合があります。

イラストの構図・イメージ・描きこみ量・差分の有無など

イメージがあれば要望としてできるだけ詳しく書いておきましょう。
最初は大まかなイメージ、ヒアリングの段階でさらなる詳細を伝えるとよいです。

この時に絵師さんにご自分の構想をイメージしてもらう手段については柔軟に考えてもらって大丈夫です。

下手でもざっくりとした配置やポーズなどを言葉を添えてかき起こすのもよし(そういったイラストの大まかな設計図を「ラフ」「ラフ案」と呼びます)、絵師さんの過去イラストを指定し「こちらの作品と似たイメージがいいです!」と伝えてもよし。

あとは歌詞のある音楽で抵抗がなければ歌詞データそのものを参考資料として渡してしまうというのもかなり有効な手段のひとつです(個人的には単なるメロディーよりも情報量が多く、世界観を十分にくみ取れるケースが多かったりしました)。

あとは絵師側としては正直困難ではあるものの、概要だけ送って絵師さんに丸投げしてしまうのも絶対にダメということはないです(笑)。

イラスト制作の流れ

問い合わせ → 見積もり → 双方の承諾 → 入金 → ヒアリング → ラフ案の作成 → 清書 → 納品

大まかにはこのような流れになると思います。

お金のやりとりにはなるべく外部のサービスを通しましょう。

コミッションサービスなどはいったんサービス側でお金を預かってくれるので持ち逃げされるリスクを背負わないで済みますし、SNS経由など外部から依頼する場合には「アズカリ」というサービスも同様の仕組み・手順で取り引きを進められます。

ラフ案、清書のリテイクは回数制限内で、なければ納得するまでいくらでもお願いしましょう。
依頼主が過度に委縮し遠慮してしまうことは絵師側もあまり望みません。

ただし当初の希望から大きく外れるような構成の変更は控えましょう。

イラスト完成!

納品された後のイラストデータに関しては、用途限定にはなりますがあなたのものです。

元イラストの存在をできる限り尊重するのは大前提として、ご自身で歌詞テキストを挿入させるも、ちょっとばかし凝ってみて格好よくエフェクトをかけた動画編集を施しても全く問題ありません。

動画編集に長けた動画師さんも各サービスでお仕事を募集していたりします。場合によってはさらなるこだわりを加えてみても豪華になってよいかもしれませんね。

******

それではあなた様の音楽がひとりでも届くべきひとに届きますように。

No music, No life !!!!!


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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とある音楽好き絵描き

1990年代生まれ、関東地方在住。
フリーのイラストレーター業に励む傍らのアコギで弾き語って音色に癒されています。
職業柄音楽に関わってきた経験も多いことから、その裏側や製品のレビュー記事などを「絵描き」「ただの音楽好き」として書く記事がメインになります、何卒。

 
 
 

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