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THE EFFECTOR BOOK

2023-09-15

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器

エレキギターで音色を楽しむのに、エフェクターは必要不可欠なものだ。これがなければアンプの音、あるいは弦の生音しか楽しめない。音を加工するアタッチメントというものだが、楽器と同じくらいに個性を発揮する『魔法の箱』と言えよう。あるレジェンド・ギタリストはライブのリハーサル中、盗難やトラブルを恐れて常に右手に愛用エフェクターを持っていた、と言う逸話もある程だ。

もちろん、ライブやセッションで『アンプ直』という潔いギタリストもいる。しかし、レコーディング等において何らかのエフェクト(効果)をかけるのは普通である。例えば空間系。リバーブやディレイをかけて音に深みを与えるのは至極当然の事だと思う。

確かなことは、プロのレコーディングで必要とされるのはノイズが極限にまで無いエフェクターを使用する事が重要であるということだ。

古い時代の事例で恐縮だが1970年代末期~1980年代のハードロックのアルバムを聴くとモジュレーション系、中でもフランジャーを派手に多用していることに気付く。(思い付くままにバン・ヘイレン、サクソン、エキサイター、アンセム、レインボー……他多数)

エフェクターがあるからこそエレキギターの楽しみや上達があるのだと思う。特にギタリストは歪み系とコーラスはいつまでも追い続けると言われている。


そのようなギター・エフェクターをサウンドハウスでは周辺機器を含めて約4,500種類扱っている。あまりピンと来ない数字かも知れないが、一般の楽器店が数百台ショーウィンドウに陳列しているのが限度だと考えたら、サウンドハウスの在庫をすべて店舗に並べたと仮定すると、大型楽器店のフロアがギター・エフェクターですべて埋まると考えて良いかと思う。膨大な数だ。

私がギターを始めた頃はエフェクターメーカーは国内外数十社程しかなかった。それが今は星の数ほど存在し、専門家でもその種類や数をすべて把握しきれないと言って良いだろう。現在、世界中で様々なタイプのエフェクターが日々開発され生産されている。


私は歪み系エフェクターが大好きだ。最初はBOSSのオーバードライブSD-1、ディストーションDS-1からはじまり、腕を上げると3倍程の値段がするHOT CAKEを入手し、ついには輸入ギターを買える程の物も6台入手した。呆れることに今年に入って5台の歪み系エフェクターを購入してしまったほどである。

エレキギターを弾き始めて歪み系を50台は購入しただろう。購入しては売却を繰り返し、今では11台の歪み系エフェクターを所有している。数に関してはさらに上のギタリストがいる事は百も承知。上には上がいる。部屋を埋め尽くす程のエフェクターを持っている人や、自ら半田ごてを手に持ち、自作する人もいる。

エフェクターの所有遍歴に関しては多くのギタリストが当たり外れの経験をお持ちだろう。雑誌等の宣伝文句で購入したものの、自分に合わなかったり、楽器店で適切なギターとアンプで試せず、十分納得しないまま、その場の雰囲気に負けて購入、結果失敗したという経験をお持ちの方も多いだろう。また有名だから『名機』と思い込み、衝動買いしてしまう事もなきにしもあらずだ。


私はワウペダルやオクターバー、ディレイ、リバーブ等もアップデートしたがやはり一番興味のある歪み系を追い続けていた。

追い続けるがゆえ、楽器店頭エフェクターコーナーでの試奏、ギター雑誌や音楽仲間の情報では、もはや限界があった。

かれこれ10年以上前の事である。たまたまエフェクターコーナーのわきにコンパクトな本が数冊置いてあるのに気付いた。

その名も『THE EFFECTOR BOOK』

比較的薄い本だが、カラー写真と専門的な文章がぎっちり詰まっている。初めて手に取った時、あまりのマニアックさにたじろいでしまった。『純度100%のエフェクター本』というのが第一印象だった。


『THE EFFECTOR BOOK』のページをめくるとカラー写真でエフェクター本体はもちろん、内部基盤写真まで詳しく載っている。機械物の中身をばらしたい、または内部は一体どうなっているのだろう?と言う心理を見事に突いている。

また開発にあたり、どの辺りを工夫したかの秘話が製作者のインタビューで書いてある。自分のエフェクターの知られざる一面がわかり、一層愛着がわく。

さらにエフェクターの構造が解説されており、パーツの役割なども理解できる。それにより、各エフェクターのセールスポイントも理解できるようになるだろう。

まるで楽器店のベテラン店員の知識を得るかのようだ。なかなか専門店の品揃えを見る事が出来ないギタリストには最適な書籍と言えよう。

所有歪み系エフェクター。右端2つがブースター、右から2列目2つがディストーション、残りの7個がオーバードライブ。
BOSSのブルース・ドライバー2台は『THE EFFECTOR BOOK』を熟読した結果、購入に至った。


今年7月に、ケンタウルス特集号を購入した。本家ケンタウルスが100万円を越える市場が形成されつつある事を知り、ケンタウルス系歪みエフェクターを一台押さえておかなければと思ったからだ。

サウンドハウスで取り扱っている、ケンタウルス系歪みで私がお薦めなのがJ.ROCKETT AUDIO DESIGNS の『The Archer Select』だ。

J. ROCKETT AUDIO DESIGNS ( ジェイ・ロケット・オーディオ・デザインズ ) / THE ARCHER SELECT

J. ROCKETT AUDIO DESIGNS ( ジェイ・ロケット・オーディオ・デザインズ ) / THE ARCHER SELECT

歪みの倍音を決めるクリッピング・ダイオードが7つ選べてサウンドが多彩だ。繊細なトーンからパワフルな設定が可能。もちろんケンタウルス・モードもある。ブースターとしてはもちろん、エキサイターがかかったような綺麗で上質なオーバードライブの音色が素晴らしい。ブースターとしてより、むしろオーバードライブとして使用する方が合っているかと思ってしまう程、気持ち良く歪んでくれる。

その数々のダイオードの中には将来希少となるかも知れない物も含まれている。ダイオードが選べるマニアックなエフェクターと一言で片付けてしまうにはあまりにも勿体無いペダルだ。

『お取り寄せ』と言うのも、所有欲を駆り立てている。ここ5年間で一番良い買い物をしたお気に入りの歪み系エフェクター。

そしてケンタウルスの歴史を内部基盤と共に知り、ケンタウルス系歪みの製品を把握した。その後、何故この音が支持されるのか理解でき、購入のヒントになった。

『ケンタウルス』の特集。ケンタウルスの内部基盤写真を見る事により、時代による変遷がわかり、サウンドの特徴も分かった。

<こちらもおすすめ!>
ケンタウルス・サウンドと設計を忠実に再現!

WARM AUDIO ( ウォームオーディオ ) / Centavo オーバードライブ

WARM AUDIO ( ウォームオーディオ ) / Centavo オーバードライブ

本書にはCDやDVDなど付属していないので音源はないが、文章と緻密な写真で詳しく解説されており、奥深い内容から、書籍の値段は十分もとがとれるだろう。文章も一流ライター達の執筆なので信頼できる。今の時代、YouTube等インターネットと併用すれば鬼に金棒である。

この本は主に楽器店の楽譜コーナーに置いてある。一般書店にはまずないかと思う。

原則、表紙のイラストのエフェクターが特集になるのだが、それに興味があるのなら買ってみて後悔はしないと思う。エフェクター好きなら愛読書になること間違いないだろう。

音色を言葉で表すのは難しい。この本は可能な限りそれを実現している。

サウンドハウスでも人気のあるエフェクターの特集号も販売中だ。『THE EFFECTOR BOOK』を検索してみて、興味があるエフェクターの特集を入手してみたら如何だろうか?

最後にサウンドハウスで扱っていて、私が次に手に入れたい歪み系を挙げておく。

SHIN'S MUSIC ( シンズミュージック ) / DUMBLOID SPECIAL

SHIN'S MUSIC ( シンズミュージック ) / DUMBLOID SPECIAL

つまみの表記にオリジナルを感じる日本製ハイエンド・エフェクター。オリジナルは一台軽く100万円以上して超一流ミュージシャンしか手に入らず、尚且つ受注生産のレアなダンブル製アンプの音を狙ったエフェクター。近年歪み系で「ダンブル系」というジャンルも確立しており、今後じわじわと脚光を浴びるのではないか。【THE EFFECTOR BOOK】でもダンブル系の特集があり、個人的に要注目の一台。

ROGER MAYER ( ロジャーメイヤー ) / Axis Fuzz

ROGER MAYER ( ロジャーメイヤー ) / Axis Fuzz

かなり昔の事だ。1989年秋、原宿の歩行者天国でのライブを観に散策していた所、とんでもなくエモーショナルな音が聴こえてきた。ジミ・ヘンドリックスの再現に関しては第一人者の中野重夫氏のバンドであった。『リトル・ウイング』をアドリブで延々と弾いていた。その足元にあったのが本機。素晴らしい音色で私も中古で即購入した。電池をいれる時、内部基盤のパーツの少なさに思わず卒倒したが、入手困難なパーツを多用しているためにパーツの単価が非常に高いのだ。また金属製の頑丈な個体であり、ライブでも安心して使用できる。外観のデザインも個性的でCOOL。
肝心の音は「音圧」がコンパクトエフェクターの範疇をはるかに越えている。そして限りなく「太く歪みも深い」。しかも、このモデルはギターや弾き方によっては繊細さも兼ね備えている。
本機はスティーヴィー・レイボーンが使っていた事でも有名。

『50号記念オーバードライブ』特集。全編歪みの特集。Twitterで集めたオーバードライブの人気投票が興味深い。ただ票を集めただけではなく使い方も分析してあり、購入の参考になる。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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Realize

リッチーブラックモアのアルバム『Diffcult to Cure』の『第9』アレンジを聴いてファンになり、『Spotlight Kid』を聴いてストラトキャスターに目覚める。以後様々なストラトを手にし、20年以上ストラトオンリーで毎月ライブ活動を行っている。
ストラトに対するこだわりは強く、『ギターマガジン』、米国誌『VINTAGE GUITAR MAGAZINE』に所有ストラトが掲載されたことがある。翻訳書として、2002年Fender Accessories Catalogue等に掲載されている『The Fender Stratocaster』第4版がある。
ストラトへの改良は外見からみたら何処を変えたかわからないのがポリシーである。

SHIN'S MUSIC / DUMBLOID SPECIAL

SHIN'S MUSIC

DUMBLOID SPECIAL

¥56,800(税込)

ギター用エフェクター、プリアンプ、オーバードライブ

評価000005

ブログ有り

入荷未定

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J. ROCKETT AUDIO DESIGNS / THE ARCHER SELECT

J. ROCKETT AUDIO DESIGNS

THE ARCHER SELECT

¥52,800(税込)

ギター用エフェクター、オーバードライブ、ブースター

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在庫あり

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WARM AUDIO / Centavo オーバードライブ

WARM AUDIO

Centavo オーバードライブ

¥27,800(税込)

ギターエフェクター、オーバードライブ、ケンタウロス、ケンタウルス

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ブログ有り 動画有り

在庫あり

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ROGER MAYER / Axis Fuzz

ROGER MAYER

Axis Fuzz

¥93,300(税込)

ギター用エフェクター、AXIS FUZZ

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