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生きるための決断 災害時に命を守るための行動をとる勇気

2023-09-11

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

2023年9月8日、台風13号が太平洋岸を通過する最中、千葉県は線状降水帯の発生により、集中豪雨に見舞われた。それでも夕方からは雨はやみ、熱帯低気圧に変わるという情報を朝方の天気予報から理解していたこともあり、心の中で油断が生じていたのだろうか。決してやってはいけないことを、しでかしてしまった。

何しろ普段から裏道を走ることを常としていることから、この日もお昼になると車を運転して、森林と田んぼ道を通り、成田市美郷台の丸亀製麺にきつねうどんを食べに行った。台風が通過しているということもあり、お店はがらがら。雨は弱まってはきていたが、道路もがらがら。信号待ちもほとんどなく、快適に走れる。ということで帰り道は、いつもの田んぼ道を戻って行くことにした。そして県道から200mほど、田んぼの合間にある細道を進んでいくと、何とJR成田線のガードレールの下に、結構水が溜まっているのが目に入った。一瞬「おや、まずいかな?」とは思ったが、その水の中を通っていく1台の乗用車が目に入り、「俺のBMWだったら大丈夫か。。。」と安堵してしまったのが没落のはじまりだ。。。。

20mくらい進んだだろうか、いっきに雨足が強くなり、突然水嵩が増してきた。どんどんと水位が上がってくる。「こりゃまずい、早く通り抜けなければ!」と自分に言いかけた瞬間、何と、車のエンジンが止まったのだ。「やばい!」慌てて幾度となくエンジンをかけようとするも、ダッシュボードのパネルはライトアップするが、エンジンがうんともすんとも言わない!「まさか!?」しかも周囲を見渡すと、そこは田んぼ道の途中なので、周りには誰もいない。考えている間もなく雨はどんどん強くなり、それにつれて水位が一気に上がってきた。

水没初体験!周りは湖のようになってきている。とっさに思ったことは、水没した車は水圧のため、ドアが開かなくなるということ。よって、ドアを開けて脱出する準備をすることが、一番大事だということだ。無我夢中でドアを開けてみると、幸いにもすんなり開いてくれた。恐怖に感じたのは、既に水位がドアの淵まできていたことだ。このまま水嵩が一気に増してきたら、たまったものではない。時間がない!私服で水の中に入り、泳ぐのを覚悟のつもりで脱出するしかない。。。決断の時だ。

表に出てずぶ濡れになる前に、とにかく会社の仲間にはSOS発信をすることにした。少なくとも場所を教えて、助けを求めることにした。携帯電話は水に弱いから、濡れて機能しなくなる可能性があることを考えると、今しか連絡をとれる時がないのだ。そしてLINEで居場所の地図を送り、助けを求めた。また、電話もしたが、いったいどういうことか、会長からの電話だというのに、役員たちは電話にでない。緊急時の留守電には、ほんとにがっかりする。するとLINEのSOS発信に対して、一人の役員から人事に転送しましたと、メッセージが返ってきた。ことの重要さ、危機管理の思いがないのだろうか。転送??家が火事になりました。と言われて、消防署に通報するように伝えておきました、というノリだ。他人事と考えているのだろうか。しかも誰からも電話がかかってくるわけでもない。ちなみに自分はいつも3台の携帯電話を携えているので、どれでも通じるようになっている。災害時には瞬時に行動をとり、助け合う仲間が必要だと痛感した。とはいえ、もはや自分で生きていくしかない!

いざ、脱出!と心に決め、車の中から大事なものをポケットに詰め込み、ノートパソコンが水没しては困るのでしっかりと胸に抱えて、ジャボン!豪雨の中、表に出た。そして雨でずぶ濡れにもなる。「ああ、この車ともおさらばする時か、君も水没するのか。。。」10年も乗ってきた車だったことから愛着はある。そして豪雨の中でも、とりあえずスマホで写真を撮り、その雄姿を収めることに成功。とはいえ、パソコンは濡れてくるし、スマホもびしょびしょ、しかもどこにも雨宿りするところがない。そばのガード下は1mの水が溜まっているように見える。ああ、こんな侘しい人生があるのか。一人で集中豪雨の中、ずぶ濡れになってパソコンを胸に抱きしめ、立ちすくんでいる。。。

そこでふと我に返って周囲を見ると、四方八方、水嵩が増してきているように見えた。おっと。。。ここで立ったままではまずい、と思うやいなや、健脚を自負するランナーとして、走り始める自分がいた。そして途中、また、冠水している道路はあったものの、自分の車が水没した所に比べると40㎝くらいの深さだったこともあり、問答無用で水の中に突っ込み、走り続けた。そして高台の橋までかけ上り、冠水してない高架線の下で、やっと雨宿りすることができた。全身ずぶ濡れだが、幸いにも夏のシーズン。寒くはない。

ほっと一息つき、心を落ち着かせてもう一度、みんなと連絡をとってみることにした。電話やLINEをして、何故、だれも助けに来てくれないのか、と聞いてみると、こちらに向かったひとりの社員は地図があるのに見方がわからず、違うところに行ってしまったと言う。大人になって、地図を見ることができない人がいること自体、不思議でしょうがない。仕方なく、だれか別の方が迎えに来てくれないかというと、役員の一人が自分がすぐに行きますと、やっと申し出てくれた。結論から言うと、その方も間違った方向に行ってしまい、冠水した道路に突っ込んで自爆。その車も水没の被害にあってしまった。

被災してから40分後、会社を最初に出発して、地図がわからない、という社員の車がやっと通りかかり、拾われた。ずぶ濡れだったが、まあ、これも人生。災害とはこういうものかもしれない。万事うまくいかない。いくわけもない。助けの手もない。頼れる人もそばにはいない。そして生きるためには、自分で判断をしなければならないのだ。大事なことは、即決、即断。すぐに心に決めて、命を守る行動をとることだ。その瞬時の決断が、生きるか死ぬかを左右することになる。まだまだ、自分は生きていく。命は大事だ。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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