ギター用コンパクトエフェクターで最も所有率の高いエフェクターと言えばオーバードライブであることは誰しもが認めるところ。
アンプは無くともオーバードライブは持っていると言う人もいるであろう。
さすがにギター持ってないけどオーバードライブは持っているよ!と言う訳の分からん人には出会えた事はないが。
実際オーバードライブの種類はちょっと尋常じゃない。
しかしこのオーバードライブと言う代物、意外と歴史は浅い。
ベンチャーズやザ.ビートルズの初期などのギターサウンドにオーバードライブらしき音は全く聞こえない。
ジミ.ヘンドリックスだって使っていたのはFUZZだし、1960年代のエフェクター事情はメインがリバーブやトレモロ、あったとしてもブースターがせいぜいだった。
正確な出現年は把握できていないが最初のオーバードライブと言う名称の物はBOSSのOD-1だったように思う。

高校生の時私も買った。それからはあれよあれよという間に色んなメーカーからオーバードライブと名の付くものが発売され現代に至る。
購入後、初めてBOSSのOD-1を使った時の感想は「失敗したかも、、、、(汗)」だった。
当時使用していたハムバッカー搭載のギターを繋いでもアンプから出てくる音は「えっ?こんなもんなの?こんだけしか歪まないの?」という具合だった。
ギターの上手い先輩はお店で色々試した結果Guyatoneのオーバードライブを買った。
同級生の友人はBOSSのDS-1(ディストーション)やYAMAHAのディストーションを買ったのだがBOSSのOD-1を買った知り合いは1人もいなかった
。 その当時は出力が大きくてもほぼクリーンな音しか出ないアンプがほとんどだったからBOSSのOD-1ではハッキリわかりやすい歪ではなかったと思う。
そんな先輩や友達を横目で見ながら何か納得できない音で日々鳴らしていたのだが、
ある日いきなり私のOD-1が脚光を浴びる出来事があった。
Guyatone のオーバードライブを購入した先輩が私のオーバードライブをブースター代わりにしてFender USAのTWIN REVERB AMPに突っ込んだのだ。
Gibson レスポールとOD-1とTWIN REVERBから聞こえてくる音は太く粘りがあってサスティ-ンの効いた最高の音だった。
この時が私のエフェクターの使い方に対する稚拙な考えを改めるきっかけになった。
その先輩はその後BOSS OD-1ではなくBOSS SD-1を購入した。
やっぱり自分の判断は間違っていなかったんだ!と、急にOD-1を買った自分が誇らしくなった。
現代は当たり前のようにオーバードライブをブースターのように使い、それに特化した製品まである。その反面いかにもオーバードライブですよと、ブースターにするには少々強力すぎる製品まで多種多様だ。
ざっくりと簡単に分けると、 アンプをクリーンなセッテイングにしてクリーンサウンドとドライブサウンドを切り替えて使用するなら歪みが強めの物が良い。
アンプそのものの歪を改善したいとか、ソロの時だけサスティ-ンを効かせたドライブサウンドになって欲しい場合などはブースター寄りの物が良い。

そして現在10万円を超える値段のものから3000円でおつりが来そうな安価なものまで実に多種多様なオーバードライブがある。
ちなみに私は10万円を超えるようなオーバードライブ(例の金色のヤツ)の音を一度も良いと思った事が無い。
弾いてみる度に「何でこんなにノイズが多いんだろう?」とか「コレ有名人が使ってなくても買う人いるのかな?」とか恐れ多い事を漠然と思っていた。
しかしその有名人がまた素晴らしい音を出すと「あれは機材じゃなくて腕が良いんだよ」などと負け惜しみに近い感情で自分を納得させている。
本当は高価すぎて手が出ないだけなのだが。
注意したいのは使用するアンプとギターとの組み合わせが自分の欲しい音であるかどうかであると思う。
現在の私の使用方法はクリーンとドライブの2chアンプに繋ぎオーバードライブの出番はドライブchを使っている時の更にソロ時のみである。
アンプのドライブ音に更なるサスティ-ンとキメの細かさを追加して少しだけボリュームも上げる。ソロに最適な音が出来たらそれでOKだ。
要は使い方と組み合わせ、これに尽きる。
オーバードライブなのかプリアンプなのか良く分からない物も有るがアンプシュミレーターをまたアンプのインプットに差す事はやめた方が良い。
考え方にもよるがギターアンプから出た音をもう一度ギターアンプに入れると言う訳の分からない使用方法としか思えないからだ。

アンプシュミレーターとしての先駆けは誰が何と言ってもSansAmpクラシックである。
この存在と使用方法はUSAのL.Aにある有名なレコーディングスタジオから聞き出した。
ギターをSansAmpに接続してそれをコンソールにダイレクトにつなぐだけで最高の音が出せると言う情報だった。
最初エフェクターかと思いギターアンプに繋いだらノイズはヒドイしペラペラの軽い音とチリチリの歪みしか出なかった。
しかし繋ぐ先をアンプのセンドリターンのリターンに差してみた。
信じられないほどの重厚なオーバードライブサウンドが出た。そこで初めて「あ~、これはこういう使い方なんだ」と納得した。
星の数ほどのオーバードライブからこれがベストと思える一つを探し出す作業は苦しくも有り、また楽しくも有る。
思わず「これだっ!」と膝を打つ様な1台に出会えるまで探し続けるだろう。それはギタリストにとって理想の歪は永遠の課題だから。