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激変した渋谷の姿に驚愕! 生まれ故郷の町に残された面影を振り返る

2023-09-29

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

ちょうど40年前に卒業したウォートンスクールという大学院の卒業生向け同窓会が9月22日、渋谷で行われた。そもそも自分はこの類の同窓会には過去1度しか参加したことがない。中学校や高校のお友達とは違って、大学や大学院のクラスメートとは卒業後、交流が全くないだけでなく、この同窓会は卒業年が限られていないことから、知っている同学年のクラスメートに会うことなどまずないからだ。とにかく卒業してからこれだけ年月がかけ離れてくると、同窓会に参加したとて、おそらく自分が最年長になってしまい、何を話してよいかさえわからない。

しかし何故かしら、今回はふと心が動き、参加したくなった。なにしろ渋谷の駅近にある小料理店で開催するというのだから、心が揺れ動いても当たりまえかもしれない。何はともあれ、自分は渋谷生まれ、渋谷育ち。そして渋谷の駅周辺は、まだ、東京に黒いトヨペットというトヨタ製の車しか走ってない時代から熟知しているのだ。駅にはチンチン電車が走り、神田川が流れていたこともあり、至る所にドブネズミがごそごそとはい回っていた昭和の時代が懐かしい。当時、公園通りは半分が野原。そして今あるNHKと代々木公園は、ワシントンハイツという米軍基地の宿舎だった。

そんな昭和の渋谷は、戦後の経済発展の波にのり、活気に溢れていた。駅周辺は人の波でごった返し、通勤通学の人たちがいつも行き来していた。自分もその一人で、毎朝、バスに乗って渋谷駅まで行き、そこから地下鉄に乗って小学校に通っていた。駅周辺はお店だらけではあったが、駅から少し離れると、そこにはまだ素朴な町なみが広がっていた。自分が住んでいた家の近くには八幡神社があり、夏祭りになると金魚すくいをしに行くことが大好きだった。近くの肉屋さん、八百屋さん、魚屋さん、せんべい屋さん、自転車屋さんが、これまた懐かしい。

ふと気が付くと、いつの間にか渋谷は日本の最先端をいく若者の街へと発展し、街の様子が一変していた。なにしろハイテク企業がこぞって渋谷にオフィスを構えており、渋谷に会社があるというだけで、優れた人材を集めやすくなると言われている。無論、会社のステータスもより好印象になるはずだ。また、渋谷駅ハチ公前のスクランブル交差点も世界的に有名になった。諸外国からの観光客が日本を訪れると、まず、この交差点を見学しに来るそうだ。そして交差点脇のスタバ2Fの窓側に席を陣取り、そこから何百何千という人の波が交差点をクロスするところを眺めるのだ。これほどまで多くの人がバッテンに交差しているのにも関わらず、なぜ、ぶつからないのか不思議に思って眺めるそうだ。

そんな渋谷の街とも別れを告げたのが、日本経済がバブルで崩壊しそうな兆しが見え始めていた1980年代の後半だった。母親の事業が貸付金を回収できず、知人に騙されて預金をごっそりと搾取されてしまったことから行き詰まり、長年住み慣れていた渋谷の実家を売却することになったのだ。当時、アメリカから帰国したばかりの自分はすでにアパートで一人住まいをしていたので、実家の家が無くなったことは残念ではあったが、さほど気にすることもなかった。もはや帰る実家がないということは、これからは自分で生きていかなければならないといことにつきる。そして数年後には成田でサウンドハウスの事業をスタートしたことから、自分と渋谷の縁はプツンと切れることになる。あまりに仕事が忙しかったこともあり、渋谷の街など、忘れてしまったように思う。

その渋谷の駅そばで同窓会があるというので、心がついに動いてしまった。どんな会合なのだろうか?どういう人がくるのだろうか?食事は出るのだろうか、何もかもさっぱりわからないが、それでも行ってみることにした。何しろ渋谷の街にはこの20余年、ほとんど足を運んだことがない。特に駅の東側にはまったく行っていなかった。昭和の時代では、駅の東口には渋谷警察署があり、その建物内で子どもたちに柔道と剣道を教えていたことから、自分も一時期通っていた。また、駅前には東急文化会館があり、屋上には頻繁に通ったプラネタリム、そして4Fには映画館もあった。初めてみた映画が、亡くなった父親が連れて行ったくれた大ヒット作、「猿の惑星」だった。そんなこともあり、渋谷駅の東口側も自分にとっては馴染みの深い場所なのだ。

この渋谷駅東側も、西側と同様に激変していたことを目撃することとなる。東側もモダンな商業施設とハイテクなオフィスが連なる高層ビル街となっており、それが渋谷駅に直結していた。驚いたのは、人の多さだ。しかも外国人がものすごく多いだけでなく、なぜかしら日本人は女性の方が多いように見える。もう一つ驚いたことは、そんなハイテクなビル街と化した渋谷駅ではあったが、今でも工事中だらけで、駅周辺がごった返していたことだ。とにかく通路も狭く、地面はでこぼこだし、至る所に人のかたまりができていて、人流が滞っていた。三連休のせいかもしれない。しかも駅前の陸橋は昭和の時代のまま残されていた。よって、陸橋はぼろぼろ。その階段も昔のままのように見えた。この新旧のコントラストがまた、面白く感じた。

参加した同窓会では、平成生まれの卒業生と出会い、何と彼はサウンドハウスの客であった。自分が創業者であることに驚きを隠せない彼は、実はバイリンガルで、DJもやっているとのこと。「そんなコンサルの会社なんかやめて、うちにこないか!」と軽いのりでリクルートした。そのためにこの同窓会に来たのかもしれない。ふと、天気予報のレーダー情報を見ると、数分後からドシャ降りの雨になるというので、足早に同窓会に別れをつげ、渋谷駅まで歩いていった。

相変わらず人の多さには驚かされたが、まだ、夕飯を食べていなかったことから、東口側に新しくできたSKYの12・13階で夕飯を食べることにした。SKYの存在などは全く知らなかった。その最上階、渋谷の頂点から東京を一望して楽しむことができる施設らしい。すごい企画ものだと思う。そして時刻はもう21時を回っていたことから、さっさと食べて帰宅の途につこうと思ったのだが、そうは問屋が卸さないのだ。

夜の9時を過ぎているというのに、レストラン街は人でごった返していた。そしてどのレストランも未だに満席だったのだ。店の前には行列ができているレストランもあり、椅子に座って待っている人たちも大勢いた。何しろ「つるとんたん」という麺類のレストラン前には30名ほど立って並んでいる。そんなに美味しいのかな?スペイン料理のホセ・ルイスは「待ち時間100分」という看板が掛けられていた。まさか。。。一杯飲もうとバーカウンターのある店に行くと、そこでもカウンターは女性の姿で満席なのには驚いた。なんで9時過ぎに夕飯を食べる?と、頭をかしげてしまう。自分もそのうちの一人であることに違いはない。

結論から言うと、渋谷で食べるのはギブアップした。既に夜の9時半近い。こんな時間に待って食べるくらいなら、食べないほうが良い、と自分に言い聞かせ、渋谷からJR山手線に乗って、自宅がある目白まで戻ることにした。渋谷で食事ができなかったことは少し残念な思いがしたが、それでも、激変した渋谷の姿を自分の目で確かめることができたことには満足した。どうりで最近、JR山手線に乗ると、乗客の大半が渋谷で降りる理由がわかった気がした。新宿や池袋などでも大勢の乗客は電車を降りるが、渋谷はその比ではない。車内が空っぽになるかと思うくらい、みなさんごっそりと渋谷で降りる。それは、渋谷が魅力ある街であり、誰もが期待する多くのエンターテインメントがあるからに他ならないのだろう。そんな渋谷に、これからも少し、注目してみたい。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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