うつ病新時代、3人に1人がうつ病の時代が到来!すごいことになってしまった。日本社会全体にまん延している疾患だけに、サウンドハウスもその影響を免れない。昨今では新規に面接希望する人も、自身の疾患として「うつ病」と記載する人が少なくない。また、ストレートに記載することをためらうも、結局は入社後に発症してしまった人も後を絶たない。そして見るからにうつ病になったのでは、と心配になるような人が、何人も周辺にいることが気になる。ましてや気温が急降下した今年の大寒、うつ病の人にとっては大変厳しい冬の季節でもある。
昭和の時代、そもそも若い世代がうつ病になる、ということは聞いたこともなかった。少なくとも自分の身の回りには、うつ病の人はいなかった。同級生にしてもしかり。それ故、うつ病とは現代病の極めなのだろうか。なぜ、最近になってうつ病が増加傾向にあるのだろうか。
持論としてこの数年間、若者がうつ病になる原因は夜更かしにある、と語り続けてきた。確かな医学的根拠があったという訳ではない。単に昭和と令和の時代を比べて、最も大きな生活環境の変化が、時間の使い方にある、とう結論に達しただけのことだ。昭和30年代では夜遊びはほぼなく、夜の11時からテレビの深夜番組が流れる程度だった。当時は11時が深夜と言われていたのだ。無論、パソコンもスマホもSNSもない時代だから、夜はすることがない。よって寝る。これが健康の秘訣ではないのか。
今の時代は、夜でもしたいことが多すぎる。24時間営業のコンビニはあって当たり前。飲食店も含め、首都圏では夜半過ぎまで多くの店舗が営業をしている。そして夜中1時を回っても街中の人並みとネオンは消えることもない。また、若者にとっては、幸か不幸か、スマホという生活必需品が登場してしまった。これにより、友人との交流だけでなく、SNSを通じて誰とでもいつでも交信できるようになり、24時間態勢で世界とつながることになったのだ。一見すごいことのように聞こえるが、実は、睡眠不足になる原因となっていることに違いはない。小学生でさえ、夜中にスマホをいじっている子は少なくないという。とにかく気が気ではないのだ。あまりの情報量の多さに、脳が休みをとれなくなっている。
自分はうつ病の「う」の字も滲ませたことのないほど、無縁な人間だ。昭和生まれの人間で、しかも夜更かしをしてこなかったからかもしれない。また、うつ対策には、セロトニン合成という精神を安定させる脳内神経伝達物質を促す食べ物が有効ということが知られている。これは赤身魚、大豆製品、そして乳製品に代表される。何と、どれも自分の大好物なのだ。居酒屋に行けば、必ずと言っていいほどまず、冷ややっこを醤油もつけずにパクパク食べているし、山に登れば昼食はプレーンヨーグルトだけ!洋食の夕飯にはチーズいっぱい食べるし、赤身の魚も大好き!これじゃ、うつ病になる訳がない。
そしてセロトニン合成から学ぶもう一つのレッスンは、やはり生活習慣の大切さだった。冬になるとうつ病が発症しやすくなるのは、気温の変化よりも、むしろ日照時間が短くなることが原因だったのだ。セロトニン合成が促進されるためは、多少なりとも日光を浴びる必要がある。しかも光を目から吸収することが大事なのだ。そして運動をすることで、体内時計も正常化され、健康促進につながる。つまるところ、早寝早起きの規則正しい生活をしながら日光を浴び、栄養価の高い食生活に気を付けることが、うつ病を避けるための一番の防衛策と言える。夜更かしがうつ病の原因と長年語ってきた自分の見解は、はなはだ間違いではなかったようだ。
さて、困ったことに最近の若者は、医学のアドバイスに逆行する生活を送っている。夜更かしをするだけでなく、太陽光を嫌う若者が大変多くなってきた。昨今の美容ブームで、女性だけでなく男性までも美肌にこだわりはじめ、シミやそばかすを避け、肌の見掛けを良くするために、太陽光にあたることを嫌がるような風潮が漂うようになってきたのだ。よってアウトドアのスポーツやレジャーを避け、そもそも運動嫌いが多くなってきたようにも見受けられる。また、食生活はと言えば、コンビニで簡単に済ませる人も少なくない。そんな状態で夜半過ぎてもスマホを見て、悩み考えていたら体を壊すに決まっている。また、音楽家の多くは楽曲の制作という名分で朝方までパソコンにへばりつき、昼過ぎまで寝ている方も少なくない。しかしそれは、うつ病の温床を助長しているにすぎないことがわかってきた。
うつ病にかからないための施策は明確だ。しかし、わかっていても、それができない現代の若者たちが大勢いることに面食らう。いっそのこと、人間社会から電気がなくなって、原始時代に戻ればよい。暗くなったら寝る。太陽が昇ったら起きる。そして昼は畑で働く。そうすれば、誰もうつ病にかからなくなる。そんな時代が恋しく思えるのはなぜだろうか。
