2020年~2021年シンセサイザー購入備忘録 パートⅡ
新型コロナウイルスの変異種、オミクロン株の凄まじい感染力には驚愕するしかありません。多くがエアロゾル感染と云われる空気感染が主流になっている様です。デルタの70倍の感染力と話している専門家もいます。 私の入っているバンドも2月分のスタジオをキャンセルしました。 私はバンド活動ができない葛藤からこの2年間で新しい楽器を5台購入しました。前々回はその1台、シーケンシャルから発売されたTAKE5のリポートをしました。素晴らしい楽器でした。今回はそれ以外の4台のシンセサイザーをリポートしたいと思います。
■ ヤマハオルガンYCのミニチュア版?…それだけではありません!
私が大学時代に初めて弾いた鍵盤楽器はヤマハのYC-10。軽音楽部所有のクリーム色の安価なオルガンです。鍵盤は1段で先輩が書いたサタンの落書きを記憶しています。 そのYCに同僚が所有するヤマハのロータリースピーカーを繋げ、音を出していました。 ロータリースピーカーはレスリースピーカーを模したもので、オルガンには不可欠なトレモロサウンド(ロータリー)を物理的に出力できる機構になっていました。 レスリー スピーカーの音はユニット内でスピーカーが横に回転してトレモロ効果をもたらしますが、ヤマハのロータリースピーカーはスピーカーを縦に回転させてトレモロ効果を得る仕組みになっていました。レスリー程の効果はありませんでしたが、悪くないオルガン用のスピーカーだったと思います。電源を入れれば今も元気にスピーカーは回ります。40年以上も経過しています。ヤマハさんは素晴らしい機材を作っていたのだと感心します。
さて、新しく購入したオルガンをシミュレートするリフェイスYCです。この楽器は発売からは時間が経っていますが、なかなかの楽器です。最初は小さな玩具的なものかと思っていましたが、実際に触れてみるとその想いは覆されました。 ミニ鍵盤であるものの、アンプにつなげるとイイ音がするのです。鍵盤も弾きやすく、車に持ち込んで練習できる。巷のガジェット機とは異なる質感と、ある種の高級感もあります。リバーブやディストーション等のエフェクトが付いている等々、細かなところまで作り込まれていて、流石、世界の楽器メーカーが作った機材であると感心します。 勿論、オルガンに不可欠なロータリーサウンドエフェクトも付いています。 ゲスの極み乙女のキーボーディスト、チャンMARIさんをはじめ、多くのプロミュージシャンが使っています。 サウンドハウスさんから届いた1号機はボリューム5位で3音のコードを弾くと内蔵スピーカーの音が歪んだのでヤマハさんにお願いして交換してもらいました。 単三電池6本で使え、結構長くもちます。鍵盤がしっかりしているので弾くのが嫌になりません。 音色、機能、エフェクト、キータッチ、スイッチ類の質感など、些細な積み重ねがこの楽器の良さを支えているのだと思います。どれも当たり前のことですが、全てをクリアするのは難しい…しかも、ミニチュアのキーボードで… 楽器作りにしっかりと向き合った結果が、このリフェイスシリーズの人気の背景なのだと思います。それが老舗楽器メーカーの矜持なのかも知れません。
YAMAHA ( ヤマハ ) / reface YC オルガンモデリングシンセ
■ 一世を風靡したエレクトリック・ピアノの名機CP-70のミニチュア版?
1977年に来日した世界的キーボーディストが7台まとめて購入したというCP-70。当時、このエレピの音が世界を席巻しました。国内でも小田和正、八神純子、ツイスト、サザンオールスターズ、オメガトライブなどなど、テレビに出るバンドは必ずCPを使っていました。 そのCPの名を冠した、リフェイスCPですが、このリフェイスも私は非常に気に入ってしまいました。その理由はYCシリーズ同様、音の良さと、複数の名機(エレピ)の音がプログラムされていたことです。フェンダー・ローズの音もいい音でしたし、裏技として音色選択スイッチを中間に位置させ、電源をオンにすればアコースティックピアノの音がでました。 このヤマハのリフェイスシリーズは半導体不足?の影響か、現段階ではサウンドハウさんだけでなく、多くの楽器店で入手が困難になっている状況です。 私はこのリフェイスシリーズがとても気に入ったため、リフェイスCSも購入したいのですが、手に入れることができません。いつになったら手に入るのか?心待ちにしています。
YAMAHA ( ヤマハ ) / reface CP エレピモデリングシンセ
■ ベリンガー オデッセイシンセサイザー
アープ・オデッセイは1972年にアメリカのアープインストゥルメントという会社から発表されたシンセサイザーの名機です。1981年までにバージョンを3回更新して多くの音楽家から支持を得ました。 アープ・オデッセイは白いパネルに整然とスライダーが並ぶデザイン。機械的で無骨なミニモーグに対し、オデッセイはモダンで洗練されていました。 出音に関しては太さが売りのミニモーグに対し、オデッセイはキレのいいシャープなサウンドが特徴でした。また、オデッセイはモノフォニック(単音)ではなく、2音が出せるデュオフォニックを売りとしていました。 国内の使い手では坂本龍一氏が山下達郎のピットインライブで見事な演奏をしています。

アープ・オデッセイシンセサイザー Rev1(初期型)
この名機をベリンガーが安価で復刻し、話題を集めました。国内メーカー、コルグからもオデッセイは復刻されていますが、コルグはフルスケール鍵盤ではなく、ミニ鍵盤の為(その後、フルスケールも発売されるが高価)、私はベリンガーを選択しました。 音はアープのシャープな音でしたが、ポリフォニックシンセサイザーに慣れてしまった私はこのオデッセイをバンドに持っていく気持ちが萎えてしまい、売却してしまいました。
■ コルグ WAVESTATE シンセサイザー
コルグが歴史的名機、ウエイブステイションの進化形としてリリースしたウエイブステイト。比較的安価でフルスケール鍵盤の為、購入しました。 しかし、サウンドエフェクトやスペイシーなパッド音は素晴らしいのですが、実際にバンド演奏をする際に使える音があまりなく、自分で音を作るにも、かなりの階層まで入る必要があり、アナログ人間には難し過ぎました。教訓として楽器屋さんで試してからの購入をお勧めします。
KORG ( コルグ ) / wavestate シンセサイザー
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