最近様々なものがワイヤレス化され便利な世の中になりました。ここ最近一番驚いた製品はBOSS/WAZA-AIR。エレキギター用の製品です。エレキギターにワイヤレス送信機を取り付けるだけでヘッドホンから本格的なエレキギターサウンドが出力されるというこれまでにない製品。
■ BOSS ( ボス ) / WAZA-AIR ワイヤレス・ヘッドホンギターアンプ

とうとうマルチエフェクターさえも無くてもいい時代になったのか としみじみ感じました。
それはさておき、これだけワイヤレス製品が充実し、しかもリーズナブルな製品が発売されている現在、バンド練習もモニタリング含め全部ワイヤレスにできるのでは?と思い、どんな組み合わせができるか考えて見ました。【バンド完全ワイヤレス計画】とでも呼びましょう。それではメリットや必要な機材を見ていきましょう。
- 目 次 -
バンド完全ワイヤレス計画のメリット
メリット2.配線がすっきり
メリット3.ライブでも使える
■ベース
■キーボード
■ドラム
ワイヤレス機器
ボーカル用
楽器用
インイヤーモニター・システム
ミキサー
楽器
インイヤーモニター・システム
接続例
注意点
○ ヘッドホンアンプ
○ 有線接続の際オススメのマイク
○ オススメのイヤホン
バンド完全ワイヤレス計画のメリット

メリット1. 色んな場所で使える。
バンド練習といったら、まず大きな音量を出す環境や機材を配置するスペースも必要です。となると、必然的にスタジオで練習するしかない!という方も多いと思います。大学でのサークルや部活でも、部室はあるけど、バンド演奏ができるほど大きいスペースが無く、大きな音も出せないという方も多いのではないでしょうか。これらを解決するのが【バンド完全ワイヤレス計画】だと勝手に思っています。このようなシステムを導入しているということはあまり聞きませんが、一つの選択肢としてありだと思います。
メリット2. 配線がすっきり
当たり前のことですが、ワイヤレスにすることで動きの制限がなくなります。そのため練習しながら意見の交換もしやすいです。また、音声をモニタリングする際はワイヤレスインイヤーモニターを使用します。スピーカーから大音量を出す必要がないので耳が痛くならないのもポイント。スタジオ終わりは耳がしばらくキーンとなって辛いというあるあるもこれで解消します。
メリット3. ライブでも使える
練習に焦点を当てていましたが、もちろんライブでも使用できます。ライブでの最大のメリットは、返し用のスピーカーが必要なく、全てイヤホンでモニタリングできる点だと思います。スピーカーだとボリュームを上げる必要があり、大音量により耳を傷めてしまう可能性があります。また、スピーカーの出力をマイクで拾ってしまいハウリングが起こります。これらを全て解決することができるのです。
必要な機材
最低限必要な機材を見て行きましょう。ワイヤレス機器はもちろん、その他必要なものが幾つかあります。実際の商品を交えながら紹介します。
■ ギター
アンプシミュレーター

Line 6 / HX Stomp マルチエフェクター
■ ベース
アンプシミュレーター / DI / プリアンプなど

Bass Driver DI V2 定番プリアンプ
■ キーボード
LINE出力があればOK

ROLAND / JUNO-DS61
■ 電子ドラム
LINE出力があればOK

PLAYTECH / PDS-750 電子ドラム
スペースがないことを念頭にしているため、ギターやベースではアンプシミュレーター(マルチエフェクター)が必須です。
キーボードや電子ドラムについては大抵LINE出力を装備しているので気にする必要はないかと思います。もちろん、今回紹介した製品以外でも代用可能です。マルチエフェクターやキーボードは既に持っている方も多いと思いますし、新たに買い揃える必要はありません。
● ワイヤレス機器
次に本題のワイヤレス機器の選定です。まずは選ぶにあたっての重要なポイント!
- 基本的に複数メーカーの製品を混在させることができない
- 製品により、同時に使用できる本数が決まっている
- デジタル方式・B帯域アナログ方式の併用は可能
下記のバンド編成と仮定して進めましょう。
ギター | ×2 |
ベース | ×1 |
キーボード | ×1 |
ドラム | ×1 |
ボーカル | ×1 |
この場合、最低でも6つのワイヤレス機器が必要となります。それに加えコーラス×2を加えると、最大で8系統のワイヤレス機器が必要です。
8系統となると、B帯域のアナログ・ワイヤレスだと対応できません。
デジタル方式のワイヤレスシステムを使用する必要があります。デジタルワイヤレスでも製品によって同時使用できる本数が異なるため、同時使用可能数の確認が必要です。例えば8系統を同時使用できるものとして、下記のようなワイヤレスシステムがあります。
○ ボーカル用

Line 6 / XD-V55 Handheld ワイヤレスマイクセット
○ 楽器用

Line 6 / Relay G55
LINE6 55シリーズは最大で12chの同時使用が可能です。今回の例では、最大8系統なので対応することができます。
デジタルワイヤレスで4本、B帯ワイヤレスで4本といった組み合わせもOK。
後ほど紹介するワイヤレスのインイヤーモニター・システム導入を考慮すると、ワイヤレスマイクをデジタル、イヤモニシステムをB帯製品で選ぶのがコスト的にいいかと思います。
● インイヤーモニター・システム
現在、数種類のインイヤーモニター・システムが販売されていますが、サウンドハウスでオススメしている商品は下記となります。B帯域のワイヤレスシステムです。

JTS / SIEM-2 インイヤーモニター・システム
他に比べ圧倒的にリーズナブルながらも本格的な仕様を持っています。受信機×1、送信機×1のセット品になります。複数人でモニタリングする場合は、人数分の受信機が必要となります。

JTS / SIEM-2R
特に受信機の台数制限はないため、必要に応じてこちらの受信機とイヤホンを揃えれば問題ありません。送信機1台の使用を想定しているので受信機に流れる音声は全て同じです。どうしても異なる音声(モニターミックス)で分けたいという場合は、受信機を増設することで対応できます。受信機は最大4つまで増設可能です。前述したように、デジタルワイヤレス機器と一緒に使用すれば、このイヤモニシステムの混信は防げます。
■ ミキサー
ワイヤレスの音声をまとめて出力するにはミキサーが必要になります。ミキサーでそれぞれの音声をまとめ、ミキシングした音声をイヤモニシステムに出力することで今回の【バンド完全ワイヤレス計画】が成り立ちます。どのミキサーでも対応できるわけではありません。そこで、ミキサーの選定方法について紹介します。
<選び方>
ミキサーを選ぶ基準としてチャンネル数が重要になります。簡単に説明すると、チャンネル数はどれだけの音源を接続できるかという指標になるものです。前述の例で紹介したように、仮にボーカル×3、楽器×5の場合、MICチャンネルが3つ以上、モノラルLINE入力が5つ以上必要になります。この基準を参考にしてミキサーを選定すると下記のような商品となります。

BEHRINGER / XENYX X2442USB アナログミキサー
接続について
必要な機材が決まったので、続いて接続について説明します。 ここからは一般的なPAの繋ぎ方になってきます。PAの接続方法が分からない方もいると思うのでその接続について説明します。
○ マイク
ほとんどのミキサーにはMIC入力、LINE入力が装備されています。マイクの場合はMIC入力に接続します。

○ 楽器
ギター、ベース、キーボード、電子ドラムはLINE入力へ接続します。今回はモノラルでの接続を想定した接続方法となり、接続端子は下記になります。

● インイヤーモニター・システム
今回紹介しているイヤモニシステムはモノラル出力です。ミキサーからイヤモニシステムへの接続はケーブル1本で問題ありません。ミキサーの音声出力端子は背面パネルにあるAUX端子が使いやすいかと思います。

AUX端子は各入力チャンネルにあるAUXツマミを上げることで音が出力されます。各チャンネル毎にAUXレベルを調整する必要があります。

以上で接続は完了です。とはいってもイメージが湧かないと思います。そこで、セッティングのイメージ図を作成してみました。
● 接続例


接続例を見ると、意外にセッティングが簡単なのでは?と感じるのではないでしょうか。
まとめ
ワイヤレス機器を使うって結構難しいんじゃない?という先入観を持っている方も、意外と簡単なことが分かったと思います。プロアーティストのライブでは、ボーカルも楽器もワイヤレス、モニターもワイヤレスといった設定もよくあります。基本的な考え方は先ほど紹介したセッティング内容と変わりません。時代の波に乗ってワイヤレスを使いこなしてみてはいかがでしょうか?
番外編
勘の鋭い方は気付いたかもしれませんね。ワイヤレスを使用せず全て有線に置き換えることも可能です。予算を掛けず、最低限の機材でバンド練習をしたい方は有線での接続をオススメします。一つだけ注意点がありますので説明します。
注意点
各楽器やマイクをミキサーへ有線で接続するまでは問題ありません。問題はそれぞれのプレイヤーが音声をモニタリングする場合です。ミキサーにはヘッドホン端子が1つのみしか装備されておらず、このままでは全員で音声をモニタリングすることができません。そこで登場するのがヘッドホンアンプ。ヘッドホン出力を複数に分岐することができます。 オススメのヘッドホンアンプ、有線用マイク、イヤホンを紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
● ヘッドホンアンプ

BEHRINGER/HA8000 V2 8chヘッドホンアンプ
● 有線接続の際オススメのマイク

AKG / D5 ダイナミックマイク
● オススメのイヤホン
