今回はタイトルの通りPA初心者に向けたマイクの説明をしていきたいと思います。
まずPA初心者と大雑把に言っていますが、自宅での録音や、路上での簡易PAセットを使用したライブなど、マイクを使用するかた全てに向けての記事になります。
SM57とSM58について

SM57は1965年に発売され、その翌年に姉妹機種としてSM58が発売。SMとはスタジオマイクロホンの頭文字をとったもので、放送スタジオ用に開発されました。じつは内部の構造は同じでグリルの形状の違いでキャラクターの変化を生んでいるのです。
そのキャラクターの違いですがSM57はグリルの形状が小さく音源により近いところで集音ができるため、近接効果によって低音が得られやすくなります。また、狭い箇所のマイキングも行いやすいです。SM58は球型グリルとなっておりポップフィルタリング機能を持っています。
ちなみにPA現場では「ゴーナナ」「ゴッパー」と呼ばれています。
おすすめする理由
SM57とSM58をおすすめする理由が3つあります。
1. 音質
もともと音響用マイクとして評価の高かったUnidyne III 545をベースに作られているため、優れた音質である。
2. 耐久性
過去にSHUREが高所から落としたり水没させたりと試験を行っていたが、いずれも試験をパスしている。私も何年も使用しているが壊れることがほとんどない。
3. 業界スタンダード
先述した音質と耐久性により定番となっている。どのスタジオやライブハウスやホールに行っても必ずと言ってよいほど置いてある。置いてないところを探す方が難しいくらいだ。
そしてこの3つ目の理由には奥深さがまだあります。
音響設備とは音のチューニングも含まれていて、会場ごとにスピーカーの出音を確認してイコライザーの調整やスピーカー位置の調整を行う。ではチューニングで使われるマイクは何だろうか?そう、定番となっているSM57 / SM58が使用されることが多いのではないかと思う。
つまりSM57 / SM58は音の指標の1つとして重要なポジションにいると言える。
まとめ
PA初心者の方はSM57 / SM58を使うことで音の指標ができます。もちろん必ずSM57 / SM58を使わなければならないということはありませんが、選択肢の1つとして持っていて損することはまずないでしょう。そこから好みの音を探求し他のマイクも試していくのも良いかと思います。
PAをやらないボーカルの方なども、普段からSM58を使用して練習を行い、自分の音を理解します。そうすることでライブ会場がSM58でチューニングを行っていた際に音に関しての注文や自分自身で歌い方の調整ができるようになります。また、他のマイクと比較する指標にもなり、声質や音質に合ったマイクの選定や会場に合ったマイクの選定に役に立つでしょう。
ちなみにSM57は楽器用、SM58はボーカル用とよく言われていますが、そんなことはありません。私はよくSM57をボーカル用マイクとして使い、SM58を楽器の集音用マイクとして使用します。現場や人に合わせてマイクを変えるのもPAの楽しみではないでしょうか。