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図解メンテンナンスガイド BLUE/BLUEBIRD SL セレクタースイッチ交換作業

2024-08-29

テーマ:実録 ! サービスマン日記, PA

BLUEのマイクと言えば、ダイアフラムとボディを分割した特徴的なルックスが愛らしく長く愛用している方も多いのではないでしょうか?ルックスだけではなく音の方も本格派で、プロユースでも使用されるマイクです。

今回は大切なマイクをより長くお使いいただくために、スイッチトラブルの際のメンテナンスについてご紹介します。なお、BLUEBIRD SL だけでなく同形状の BABYBOTTLE SL でも使えるメンテナンステクニックとなります。

注意:本メンテナンス作業につきまして、半田ごてによる半田除去作業及び半田付け作業が必要となります。


今回交換作業をするのは、ローカット切替、PAD切替のセレクタースイッチです。

「セレクタースイッチ」

はじめにスイッチノブを外します。
注意:このノブを外さないまま、分解作業を行うとスイッチノブが折れる場合がありますので気を付けましょう。
ノブは軽く接着されている場合がありますので、ドライヤーなどで軽くノブの部分を温めます。温めることでより綺麗にノブをとることができます。

「ノブを温める」

ノブを温めたら、ピンセットの先や精密ドライバー(マイナス)等の先の細いもので取り外します。外れにくい場合はノブを再度温めるか、ピンセット及びマイナスドライバーの先をノブの根本へ当て、マイク本体を支点にしてテコの原理で取り外すと外れやすいです。勢いよくやるとノブが飛んでいく可能性があるので注意しましょう。

「ノブをピンセットで外す」

「ノブを取り外した状態」

ノブが外れたら、筐体ボトムプレートを反時計回りに回転させて、筒状の筐体を外します。

「筐体を外した状態」

セレクタースイッチ部分を改めて確認します。埃などの侵入を防ぐ円形の防護テープを剥がします。防護テープは再度組上げる際に再利用するため、一時保管しておきましょう。

「防護テープ」

今度はスイッチが取り付いた基板を外すため、各基板を慎重に取り外していきます。
まずはXLR端子のあるボトム部分を基板から外します。この作業はネジを取り外すまででOKです。配線箇所が外れたり、ちぎれたりしないように取扱いは慎重に行います。計4箇所のネジを外します。

「XLR端子部分を外す」

「XLR端子部分が外れた状態」

次にスイッチプレート(スイッチが取り付いた基板)を固定しているネジを外します。見えにくい場所にありますが、左右2箇所どちらも外します。

「スイッチプレート固定ネジを外す」

さらに正面側の基板、上部側のネジ2箇所を外します。スイッチの先が自分の方向に向いている状態が正面側です。

「正面側基板上部ネジを外す」

ここまでくると、スイッチプレートが外せる状態ですので、スイッチプレートを上方向にコンタクトピンから抜きます。

「スイッチプレートをコンタクトピンから抜く」

綺麗にスイッチプレートを取り外すことができました。

「スイッチプレート」

半田ごてを使用してスイッチを交換します。半田作業に関しては、さまざまなやり方がありますが、半田吸引機を使用したりすると綺麗に効率的に作業できるのでおススメです。半田の扱いに慣れていない方はスイッチを外す作業が難しいかもしれません。そういった場合、5PINのうち後ろ3PINの脚を、細いニッパーでスイッチの根本からカットしてしまい、前2PINの脚を半田ごてで外すという方法で外すこともできます。3PINの残った脚は後から半田ごてで1本ずつ外します。

参考までに、以前の交換作業で外したスイッチ(スイッチレバー折れのため交換したケース)です。

「外したスイッチ」

交換用のスイッチの
NKK G-12AH (非照光型/単極/ON-ON/基本レバー /PC-H端子)
こちらで代用が可能です。
通販パーツサイトなどで購入できますが、メーカー供給状況により入手性が不確かな場合もあります。作業前にスイッチが入手できるかを確かめ、事前に用意しておきましょう。

新しいスイッチの取り付けが完了したら、先ほどまでの手順を逆に、組み立て直します。
最後に動作に問題が無いか確認し、作業完了となります。


ここまでスイッチの交換作業を紹介してきましたが、どうしてもご自身で作業するのが難しい場合は、無理をせず、まずはご購入いただいた先へご相談ください。弊社でご購入いただいたお客様に関しまして、対応可能な限り(パーツの入手性や修理個体の状態を鑑みて)修理させていただきますので、ご相談ください。(但し有償での修理となる可能性がありますので、その点事前にご理解賜りますようお願い申し上げます。)

できるだけ長く皆さまの愛用品が使用できるよう我々もサポートしていきたいと思っております。少しでもお役に立てれば幸いです。

技術サポート / 堀江 司

社会人経験を経て、ESPギタークラフトアカデミー卒業後、楽器音響業界へ。音響機器修理エンジニア就いて10年。PA音響機器の修理を中心に数多く携わってきました。年々修理分野の幅を広げ、現場で培ってきた知識・経験・技術を土台に、時代とともに変化する新しい技術や製品へ対応すべく歩み続けています。主にJBL、QSC、BEHRINGER、SUMMITAUDIOを中心とした音響機器の修理に従事。電源機器の修理サポートも行っています。第2種電気工事士資格保有。

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