みなさんこんにちは、夜型DTMerのリミトです。
前編に続きまして、「サウンドハウスで買えるものだけでエフェクターを作ることはできるのか」というテーマでお送りしています。ぜひ前編からご覧ください。
⇒ 「サウンドハウスで買えるものだけでエフェクターを作ることはできるのか〜前編〜」
では続きから見ていきましょう。
■ 筐体
筐体、別名シャーシ。エフェクターの外装で、ほとんどのシャーシがアルミニウムでできています。導電性のあるものを使用し、シャーシをグランドに落とす(回路のマイナス極に触れさせる)ことで、外部の余計なノイズが中に入らないようにしてくれるのです。
さまざまなものがありますが、日本製でとても有名なものがこちら。
工業用・電気用ケース・ボックス・筐体の製造メーカーのタカチ電機工業が発売しているアルミニウムダイキャストシャーシです。ダイキャストというのは溶かした金属を型に流し込んで固め、造形したものです。よく金属製品の裏側にバリのついた丸い模様が複数付いているのをご覧になると思いますが、それはダイキャスト製法で型から造形したものを外すときに出てくる棒、それを収めている場所の隙間に少し流れ込むことで生まれたバリなのです。 タカチ電気ではさまざまなシャーシを発売していますが、エフェクター製作初心者にはここで紹介した大きめのTD7-10-3Nが難易度も低く、最適です。
安い筐体だと、どうしてもバリが多く残ったり蓋と本体が干渉したりという不具合が多い印象ですが、タカチ電気のシャーシはそんなこともなく、絶大な人気の高さと信頼性があります。
■ サウンドハウスの商品だけで作れるもの
それではここまで調べた結果から、サウンドハウスで作れるエフェクターを考えてみます。
サウンドハウスで入手可能な材料は、シャーシ、フォンジャック、配線材、ハンダ材、つまみ、ポット、トグルスイッチ、ピックアップなど。電源を必要としないものであれば作れそうですね。
この材料で作れるものといえば、
- ジャンクションボックス
- キルスイッチ
- 簡易LOOPボックス
- 簡易ラインセレクター
- ノイズボックス
などが挙げられます。
どれもエフェクターボードの使い勝手を良くしてくれる便利なエフェクターです。エフェクターボードの信号の出入り口を司るジャンクションボックス、ONにしている間だけ信号がその先へ流れないようにしてくれるキルスイッチ。そして、後程解説するLOOPボックスとラインボックスの簡易的なものが製作できるでしょう。
ちなみにノイズボックスとはこういうもの。
内部にピックアップが入っていて、外側についたスプリングの揺れに応じてノイズを鳴らしてくれるノイズボックスです。その構造上、電源が不要であり材料もサウンドハウスで入手可能です。ただ、難易度はかなり高めかも。
■ エフェクター自作キット
続いて紹介するのはとある自作キットです。このキットのためにこの記事を書いたと言っても良いくらいご紹介したいものなのです。
それがこの3種類です。
LOST WEEKEND PROJECT. ( ロストウィークエンドプロジェクト ) / JUNCTIONBOX製作キット LWPJB
LOST WEEKEND PROJECT. ( ロストウィークエンドプロジェクト ) / ABBOX製作キット LWPAB

LOST WEEKEND PROJECT. ( ロストウィークエンドプロジェクト ) / 1LOOPBOX製作キット LWP1L
音にエフェクトをかけることができるエフェクターではありませんが、ちゃんとエフェクターという分類に入ります。
ジャンクションボックスはエフェクターボードの入出力を1箇所にまとめて、利便性を高めてくれるものです。
また、これは私流のやりかたなのですが、このキットでは片方のジャックが上を向いているのでストレートタイプのフォンプラグがついたシールドを使えば、動き回ってもプラグとジャックが摩耗することなく快適な演奏が可能となります。摩耗しない、これが非常に重要なのです。ジャックにはメッキというものがされていて、摩耗するとそれが剥がれて錆びてしまうのです。錆びてしまうと、もちろん音質にも影響します。






次にABBOX、またの名をラインセレクターと言い、インプットから入ってきた信号をAアウト、Bアウトのどちらに送るかを選択する、もしくはAから入ってきた信号か、Bから入ってきた信号のどちらかを選んで、インプットのジャックから出力するためのものです。
そして1LOOPBOX。これは下図の様に、直列のエフェクターを一斉にオンオフ切り替えするためのエフェクターとなります。

赤矢印に信号を通すか、青矢印に信号を通すか切り替えると言うわけですね。
じつはABBOXのように使用することも可能で、私は良くそう使っています。
ONのときはリターンへの入力のみをアウトプットに出力するので、インプットから入ってきた信号をセンドから出力するか、アウトプットから出力するか、下図の様に切り替えることができるのです。
長々と語ってしまいましたが、いずれも、普通に既製品を買うと倍くらいの値段がするので、その面でも自作をお勧めします。
製作を非常に簡単で、ハンダごてとハンダ材とプラスドライバーがあれば完成できてしまいます。穴あけや塗装などの加工も必要ありません。
私も何度か製作してみたのですが、非常に簡単で、それでいて楽しかったのが印象に残っています。ただ、1LOOPBOXは少しだけ初心者には難しいとおもいますので(私も少し緊張しました)、
ジャンクションボックス>ABBOX>1LOOPBOX
の順で作ってみるのをお勧めします。ジャンクションボックスは少し空間に余裕があるので、私はバッファーを組み込んだりしました。

■ 終わりに
いかがでしたでしょうか。
エフェクター製作の楽しみに気づけてくれれば、それだけで何より、そんな思いで記事を書かせていただきました。エフェクターという沼にハマったらもう抜け出せない、そんな奥深い世界に関心を持っていただけたら幸いです。
長文になりましたが、前編後編どちらもご覧いただきありがとうございます。
それでは、良い音楽ライフを!
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