近年、モデリングやエフェクト内蔵、Bluetoothを同期して外部音源を一緒に鳴らせるなど多機能なアンプが多く発売されています。
いろいろな機能が面白い反面、実際に触って鳴らしてみると
『訳が分からないよ~!変な動作しているし壊れているんじゃないの~!?』
と、なってしまう方もいるようです。
今回はMarshall「MG50FX」を例に、勘違いしやすい部分をいくつか紹介したいと思います。
とその前に簡単にMG50FXの説明を。
以前はMarshallのトランジスタアンプの定番として「Valvestate 8080」というアンプがありました。真空管アンプより丈夫でメンテナンスなどが楽ということで、スタジオなどでもよく置いてあり昔はよく使ったな~なんて方も多いのではないでしょうか。90年代にMarshallが幅広いプレイヤーに広まったきっかけとも言えるアンプです。
その現在の後継が今回取り上げるMGシリーズの最上位機種MG50FXです。
MARSHALL ( マーシャル ) / MG50FX ギターコンボアンプ
クリーンから激しいハイゲインの歪みまで音色の幅も広く、多彩なエフェクトを備えセッティングの保存もできる。50W出力で12インチ×1発のスピーカーを備え、バンドアンサンブルでも使用できる。重量も16.6kgとこの出力のギターアンプとしては比較的軽量……といった具合に万能なギターアンプです。
『MG50FX欲しい!!気になる!!』と考えている方はもちろん、特に買う予定もない方でもふいに使用する機会もあるかもしれません。
チャンネルはCLEAN / CRUNCH OD-1 / OD-2と4つのチャンネルを切り替えられ、それぞれ音量、音色、エフェクトなどのセッティングを保存、切り替えが可能です。
最初の注意点は出荷時にはプリセットモードに設定されているということです。
このアンプはプリセットモードとマニュアルモードという2種類のモードがあります。プリセットモードは各チャンネルの設定を保存して切り替えるモード。
マニュアルモードはつまみの位置の音色になるモードです、昔ながらのアンプの動作をするモードと思ってください。
1. プリセット / マニュアルモードの切り替え

プリセットモード時はSTOREボタンのLEDが上の画像のように消えています。
プリセットモードを解除するには横のDAMPINGスイッチを長押しすると

STOREボタンが点灯しマニュアルモードになります。
STOREボタンのLEDを点灯させるのにSTOREボタンではなく横のボタンを押す必要がある、ということに注意してください。STOREボタンを押すと今現在のセッティングが保存されます。
「MG50FX」をスタジオや部活など複数人で使いまわす場合、マニュアルモードに設定しておいた方がよいでしょう。
2. ヴォリュームなどを回しても変化しない
これは例えばODチャンネルのヴォリュームが7で保存されている時に、別のチャンネルからODチャンネルに切り替えた時につまみが3あたりになっていた場合、

音量は保存されている7の音量で出力します。
大きすぎるので下げようとヴォリュームを下げる方向に回します。が、音量は変化しません。これは一度つまみを7の位置まで上げる必要があります。要するに保存されている位置までつまみを動かす必要があるので注意してください。
3. チューナーモードにならない
最近の製品に多いのですが、説明書が付属しないということがワリとあります。昔は多機能な製品には分厚い説明書が付属していたものですが、いつのころからか説明書は各メーカーのホームページからダウンロードしてください、という事が増えました。
コストの面もありますが環境資源の問題としても有効な事なのだと思います。
「MG50FX」も詳しい説明書は付属せずクイックスタートガイドが同封されています。
クイックスタートガイドの各ボタンの説明に、『フットコントローラーを使用する場合、ダンピングスイッチと保存スイッチの両方を押し続けるとチューナーが有効になります』とあります。
という訳で付属のフットスイッチを接続してボタンを長押ししてみてもチューナーが有効にはなりません、というかチューナーとして表示される場所がありません。
これは説明書を読めばすぐにわかりますがクイックスタートガイドにあるフットコントローラーというのは付属のフットスイッチのことではなく別売りの「PEDL90008」のことです。
説明書はメーカーのホームページからダウンロードできるのでご活用ください。
以上Marshall「MG50FX」を使いこなせ!!の巻でした。
そういえばMarshallの話でいうと、現在のフラッグシップモデルJVMシリーズも設定が保存されますね。JVMが出た当初その点などに戸惑って『あれはデジタルの歪みでいい音がしない、真空管アンプじゃない』なんてことを言っている人がいました。
JVMの歪みはしっかりと真空管の回路で作られており操作も慣れればさほど難しくありません。現代的なハイゲインサウンドもヴィンテージライクなクランチサウンドも幅広く対応します。JVMシリーズも最近のスタジオの定番ですので慣れておきたいアンプですね。
どんな機材を使用するにしても、使い方をある程度は把握していないといい音を作るのは難しいです。ギターアンプは出音の要ですのでいろいろなアンプに触れて色いろいろな機能やサウンドイメージを持つことがよい音を出すための何よりのコツです。
そして最後に言いたい……Marshallは最高のギターアンプだ!!!