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「もはやこのドロ沼からは脱出できない」 人智を超えたコンデンサーの魔力!!(何と前編)

2022-05-10

テーマ:実録 ! サービスマン日記

調子に乗ってコンデンサー談義第2弾と相成った。
第1弾はこちらを参照していただきたい。

関連ブログ『知れば知るほどディ-プな世界。コンデンサーの破壊力!』

さて、実に中途半端な部分で強制終了した第1弾コンデンサーブログだったが、今回はコンデンサーの持つ魔力について説明したい。
この魔力に魅せられたら最後、コンデンサーオタク(フェチだね)に突き進むことになるであろう。
恐らくまた強制終了すると思うがそこはそれ、いつもの生温かい目で見守ってくれたまへ。

私が最も魅力的と思うコンデンサーはオイルペーパーコンデンサーだ。
バンブルビーがオイルペーパーだからとか、値段が高いからとかではない。
正直言うとSPRAGUE社のバンブルビーやブラックビューティーは好きじゃないし、自分の機材では絶対使用しないし、値段が無駄に高いとその値段を付けたヤツの後頭部をスリッパで思いっきりひっ叩きたくなる。
プラスチックモールドのため経年劣化が大きく、製造から50年たった現在では使用できない。
電流漏れ(リーク)や絶縁抵抗値が大きくずれてアンプや機器に使用するには改めて危険すぎる。
たとえ未使用であったとしてもその性能を保証はできないであろう。
なのに未だに高値で販売されている(しかも販売しているのは全くの素人)。
注)何故素人と分かるのかというと、こちらからの製品に対する質問には全く答えない。
販売している物をべた褒めしているが具体的な音質や表現に根拠が全く無い。
必ず個人の感想ですなどと逃げのセリフが書いてある。
どのような機材のどこの部分に使用して電圧どのぐらいかけて何と比べてとかハッキリ分かるような説明が何一つない。
古くてまともに使用できないかも知れないのに異常に値段が高い。
しかも高電圧の部分には使用しないで下さいときたもんだ。じゃあ何ボルトまでならいいですよぐらい書けや。
…いやいや、いちいち言っていたらキリが無いのでこのぐらいにしておこう。

私が好きなオイルペーパーコンデンサーはドイツ製(しかも西ドイツ時代)とJAPAN製(しかも昭和時代)に尽きる。
しかし、それだけではない。何気に隠れた名品はある物で、もしも、万が一、奇跡的に、あり得ないが、どこかの部品屋の店先にポンと置かれてあったら周りに気付かれないようコッソリと根こそぎ大人買いしたくなるものを紹介する。
今回はそれを何に、どこに、どういう効果があるのかを具体的にわかりやすく実体験を基に書いていこう。(一応素人ではないので推測や憶測は書かない)。

まずはコレだ。

SOSHIN(双信電機)のマイカコンデンサー。
正確無比な精度とナチュラルな音質、絶対的な信頼が必要な個所にも余裕で採用されるほどの高品質。
この日本の双信電機はフィルター回路や高周波機器、MILスペックに準拠する機器に対応できる傑作コンデンサーが多数ある。
特に画像のこのCMPコンデンサーは私も何個か入手して使用したが素晴らしいの一言。
現在は激レア品だがその値段も勿論激レアだ、容量によるが1個3000円~5000円はする。
小電力信号経路に使用すると大変効果的。なんせ元の音色をスポイルしないので余計な色付けやクセが一切無い。
経年劣化がほぼ起きない上に容量誤差がコンデンサーの中ではトップクラスだ。
マイクプリの入力部分やハイインピーダンス入力部分に使用すると良い。
全てこのコンデンサーで良いのでは?と思うが価格的な問題と入手の難しさ、さらに天然鉱物(マイカ=雲母)を使用しているため、容量の割に形状が大きくなってしまう。
内部スペースに余裕があるプリアンプの信号経路カップリング用に最高だ。
私はレコーディング用に制作した2chコンプレッサーの終段に使用した。

次はコレ U-CON 日本製

オーディオフイルムコンデンサーのベストセラー品である。
知る人ぞ知るブランドだが、その道の強者にはもはや周知のコンデンサーで、YAMAHAのPAスピーカー4115Hに使用されていたり、FOSTEXではネットワーク用コンデンサーとして沢山の種類を販売している。
私もこのコンデンサーの音に取り憑かれて現在も数百個所有している。
とにかく音が綺麗!雑味と歪が少なく高性能だ。
スピーカーのネットワークに使用するだけではなく、私はとあるオーディオプリメインアンプの電源部分の電解コンデンサーにパラって使ったことが有るのだが、いきなり再生音の彫りが深くなり仰天したことが有る。
いわゆる静と動の差が大きくなり微かな音のディティールまで聴き取れるようになったのだ。
ちなみに私は普段のリファレンスにYAMAHA のNS-10Mを使用しているが中のネットワーク回路を改造して4.7uFのコンデンサーをU-CON 1uF×5個パラって取り付けている。
YAMAHA NS-10M特有の中高音のモッサリした感じが一気にベールを剥がしたようにクリアーになった。

まだまだ行くぞ、次はコレだ。

NCC MPコンデンサー(SonyのOEM)

カセットデンスケをはじめウォークマンや数々のベストセラー品を生み出したSonyのOEMコンデンサーとして指名されたNCC(松尾電機)のオイルペーパーコンデンサーだ。
画像を見ると艶のある白い色をしているがこれはセラミック(陶器)の筒である。
これの外側に塗装をしたものが前回のコンデンサーブログに掲載したNCC CMP-Tなのだが、世界中のコンデンサーの中でもトップクラスに位置する傑作コンデンサーと思う。

その音質たるや艶を伴った太さと、充分なMASS(重量感)、正確無比な静電容量と非の打ちどころが無い。
惜しむらくは耐電圧が400V以上の物がなかなか見つからないため真空管アンプに使用できないということぐらいだ。
カップリングすべてにこのコンデンサーを使用したギターアンプが有ったらどんなに素晴らしい音なのか想像もできない。
パワーFETを使用したモノラルパワーアンプの入力部に使用した。
ボーカルの色っぽさや背後に響く低音に重さが加わった何とも言えない臨場感を味わわせてくれる日本の傑作コンデンサーだ。

最後にNichicon(日本コンデンサ工業)のすんばらしいコンデンサーを紹介しよう。

Nichiconは創業が1950年の老舗コンデンサーメーカーで特に電解コンデンサーの分野では他の追従を許さない高性能な物を生産している。
SUPRAGUE社(USA)と共同出資でタンタルコンデンサー生産拠点を日本に作った事も有るぐらい凄い会社。
その電解コンデンサーで有名なNichiconも昔オイルペーパーを作っていたのだ。
私もかなり手持ちが少なくなったがお宝コンデンサーである。
これも自衛隊が使用する機器に使われていたことは自衛隊の横流しジャンク機器を分解した時確認した。それだけ経年劣化に強く、丈夫で高性能な物だと言う事が分かると言う物だ。
勿体無くてあまり使用した記憶がないので音は忘れた。
微かな記憶だと思ったより癖が無く、すんなりスマートな再生音だったような気がする。
(この時はOP-AMPで作ったオーディ-オ用プリアンプの入力に使用した)。

最後の最後にもう一つ。
NTK(日通工)のハーメチックオイルコンデンサー。

ハムや古い真空管ラジオに使用されていたが当時から高級品で、他のメーカーより値段が高かった。
日本のハーメチックタンタルはNEC、ハーメチックオイルはNTKと勝手に私は決めつけている。
ストラトなどのシングルコイルPUにこれほどマッチするコンデンサーもそうそうあるまい。ともすればヒステリックなぐらい耳に付く高音もこのコンデンサーを取り付けると決してうるさくならない。
潤いのあるしっとりとしたシングルコイルサウンドに酔いしれる事になる。

やはり書くことが多すぎて日本製のコンデンサーに軽く触れただけでこの文章量になってしまった。
仕方ないので西ドイツ製コンデンサーは次回(後編)に託す。
期待されたし!

技術サポート / 盛 寿

Bogner、 ENGLのカスタマーエンジニア経験を経てあらゆるメーカーのAMPを修理し続け早や20年、中でもMarshallの修理では他の追従を許さぬほどの経験値あり。Noasharkエフェクターの回路設計者でもあり、あらゆる音響機器に造詣が深く、自分用のエフェクターは自分で作るがモットー。しかしただのビンテージコンデンサーフェチではないか?と噂されている事を本人は知らない。

 
 
 
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