前回のブログでJBLやALTECに負けない日本製スピーカーがあると書きましたが、それについてあれこれ語りたいと思います。
日本製のアンプには当然、日本製のスピーカーが搭載されています。でもアンプメーカーでスピーカーまで一貫製作していた(している)メーカーは私の知る限りYAMAHAとAIDEN社の2社だけです。
他のアンプメーカーはアンプを自社で作ってもスピーカーは外注でオーディオメーカーに頼んで作ってもらっていたのです。
Roland はパイオニアに、Guyatoneはビクターに、またTechnicsも沢山のギターアンプ用ユニットを作っていました。
FosterというメーカーはFostexの研究所のような位置付けですが、様々なOEM製品を楽器業界に送り込んできました。
ヤマハはアンプには一貫して自社スピーカーを使用しています。AIDEN社を知る人は相当なマニアです。元々スピーカーだけ作る会社ですが、なぜかZoom(現在のエフェクターメーカーではない)というブランドのアンプを作り、そのアンプに自社スピーカーを搭載して販売していました。特にZOOM M-100という品番のアンプに搭載されていたスピーカーは素晴らしい音でした。低音から高音までハリが有りくっきりとした音像なのに全くうるさくなく、かつ倍音の再生に優れ、さらに音圧レベルも高い理想的な楽器用スピーカーでした。
Rolandは1972年に創設されたメーカーですが1973年にはすでに名作R&Pスピーカーを発表しています。

当時の楽器用スピーカーとしては破格の耐入力、アルニコマグネットを使用した磁気回路とボイスコイルの冷却効果を高めるための冷却フィンを装備した超弩級のユニット。勿論音も素晴らしくキメの細かいシルキーな音質でした。
Guyatoneから1979年に発表されたと記憶していますが、GHV-3というユニットが有りました。

このユニットはGuyatone 、Victor、ALTECの3社共同で作り上げた楽器用ユニットです。
外観、音質、共にALTECに酷似していてスピーカーのコーン紙は実際にALTECが使用しているホーレー社の物が使用されています。正に採算度外視の高級ユニットだったため、搭載されたアンプは最高機種のGA-2000MKⅡとセカンドブランドのM.S.Cというメーカーのアンプの2機種だけでした。
今は無きVestax(椎野総業)も凄いスピーカーを作っていました。

1980年代初頭はコンポーネントアンプシステムの全盛期でした。
プリアンプ、パワーアンプ、エフェクター、スピーカーをすべて好みの物をチョイスし、組み合わせて自分だけのシステムを組むという考え方です。そのコンポーネントを最も押し進めていたメーカーこそVestaxだったと思います。
当時のブランド名はVestaFIRE、ユニット名はVAS12です。見てください、この巨大なマグネットと捩れ捻りに強い鋳造タイプのダイカストフレーム。JBLやElectroVoice、ドイツのDYNACORDなどのユニットが主流だった時に楽器用スピーカー専用として単体販売されていた逸品です。日本製らしいフラットな出音とダンピングが良く効いた制動力でスタジオミュージシャンに大変人気がありました。
いかがですか?
これらの日本製のスピーカーは現在すべて生産が終了しています。
販売数と生産数がかみ合わなかったためでしょうか、または生産コストと販売価格が合わなかったためでしょうか、大変残念です。
その代わりに現在では大変安価に海外ブランドのユニットが入手できる時代になりました。
また1960年代に人気のあったユニットや、メーカーが復刻して当時と同じスペックのユニットを作ったりしています。
余りに種類が多すぎてどれがいいのか迷いますが、スピーカーを交換した際の音質変化による効果は絶大です。
