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偉人考察:音楽に愛された人 ― 本田美奈子.

2018-04-05

テーマ:偉人考察

偉人:本田美奈子.
没(年齢):2005年11月6日(38歳)

本田美奈子.の名前の後に小さな「.」が付いているのをご存知だろうか?というか、本田美奈子.自身をご存知だろうか?アイドルから、ロック・バンド、(途中には演歌歌手へ転向する企画もあったらしい)あらゆるジャンルに対応できる歌唱力を備えたオール・ジャンル・ヴォーカリストだ。アイドルとして活躍後、ミュージカル『ミス・サイゴン』でのオーディションでキム役を見事勝ち取り、その後も『屋根の上のヴァイオリン弾き』『王様と私』『レ・ミゼラブル』といった名だたるミュージカルで名演・名唱を披露している。本田美奈子.がミュージカルを中心に活動したのは1990年になってから。それ以前には、アイドルからの脱却を図り、ロック・バンドを組み、イギリスのロック・ギタリストのゲイリー・ムーアやクイーンのブライアン・メイから楽曲提供を受け、スライ&ロビーのライブに客演するなどロック方面でワールド・ワイドな活動を行なった。残念ながら、このロックへのチャレンジは興行的には振るわず、本人にとっても大きなスランプの時期だったようだ。その要因は、アイドル上がりというイメージも大きかったと思う。ミュージカルでは各方面から好評を博したが、その流れに留まらず、彼女は前進した。

ブライアン・メイ(クイーン)のホームページより

2000年以降は、ミュージカルからクラシックの世界に彼女は傾倒して行った。本格的にクラシックの楽曲を歌うようになったきっかけは、2002年8月東京オペラシティコンサートホールで開催された『グラツィエ・コンサート』。ここで出会ったコロンビア・レコードのプロデューサーに勧められ、アルバムを制作。声楽曲を現代人に受け容れやすいスタイルで歌える歌手として彼女をバックアップすべく、『ミス・サイゴン』以来の恩師である岩谷時子が日本語詞を書き下ろし、井上鑑が編曲を担当。ここにクロスオーバー歌手としてのデビュー作『AVE MARIA』が完成し、2003年5月にリリースされた。

AVE MARIA (2003年)

本田美奈子.の音域は最終的には3オクターブまで達していた。華奢な体からは想像できない実力の持ち主であったと言えよう。「ミュージカルでいろんな役をこなしているうちに、それまで出せなかったような声を出せるようになった」と本人も語っているが、代表曲となる「つばさ」の中盤に代表される驚異的なロングトーンは、努力と訓練がなければありえない名唱となっている。現在、この曲は岩崎宏美や、歌のおねえさん「はいだしょうこ」によっても歌い継がれている。ぜひ聴き比べて欲しい。本田美奈子.の圧巻の歌唱はこちら。

本田美奈子. つばさ

2005年。本田美奈子.は急性骨髄性白血病と診断される。発病から10ヵ月。復帰に向かって闘病していたが、容態が急変し、同年11月6日午前4時38分、家族らの見守るなか、息を引き取った。享年38歳。最後の最後まで復帰の道を諦めなかった様子はTVなどでも度々放送された。ちなみに本田美奈子.の「.」は本人の意向により改名したもの。「ドットを付けると画数が31画になり、開運のために変えました。いつでも歌手として人として女性として輝いていたいのでドットを付けました」とのこと。この改名は2004年の11月。2ヵ月後に発病することを考えると、何とも複雑な気持ちになります。

彼女の死後、公共広告機構のコマーシャルに彼女は登場。その写真での彼女は笑顔で力強く拳を握る、とても良い写真。その生き様はまさにこの写真のようであり、彼女は自分の道を歌の神様に委ね進んでいきます。生前にこれだけのジャンルを歌いこなしたヴォーカリストは日本において稀だと思う。後年の活動をご存じない方には、当時の活躍を集約したアルバム『心をこめて…』をお勧めします。代表曲のオンパレードながら、まるで天使が歌うレッド・ツェッペリンの「天国への階段」といった曲も収録されています。

公共広告機構 電車中吊りポスター

心を込めて… 本田美奈子.

なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。サウンドハウスでは、メディア編集担当として活躍。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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