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映画から生まれ 様々な場面で展開していく音楽 Nuovo Cinema Paradiso

2020-10-08

テーマ:映画と音楽と

ジュゼッペ・トルナトーレ監督の出世作にもなった映画「ニュー・シネマ・パラダイス(原題Nuovo Cinema Paradiso)。実はこの映画、大の映画好きだった監督自身が故郷の映画技師に聞いた話が元になっているそうです。イタリア、シチリア島のバゲリーア出身の監督はその地で多感な時期を過ごしました。その地には教会が運営する映画館があり、上映前の映画に必ず神父が”お清め”をして、その合図には小さなベルを使っていました。教会には映画好きなお手伝いの男の子がいて、彼は古い映写機やフィルムを隠し持っていたとのこと。そのフィルムの中に神父が猥褻と判断しカットさせたキス・シーンのフィルムが入っていたという話も伝え聞いて知っていたそうです。男の子はカルロノ・ベリアーノという人に頼み込んでフィルムをもらって取っておいたとのこと。そんな故郷の教区映画館において聞き伝わった話がオリジナルとなり映画の骨格が作られていきました。要はこの映画は監督の自伝的なものにもなっているのです。

今でこそ、3時間近い完全版も簡単に鑑賞できるようになったのですが、公開当初は2時間のバージョンでしか公開されていませんでした。銀座・和光の裏手にある映画館でロングランのヒットを飛ばし、そこに私も3回ほど通いました。1988年のことです。

(C)Facebook 「Nuovo Cinema Paradiso」公式ホームページより

この映画のテーマは「ノスタルジー」。それを断ち切って村を出ていく青年と断ち切れず郷愁に引きずられている青年の物語。実はどちらも同じ人物なのですが、そのテーマを映像(映画)が巧みにつなげていく。誰もが持つであろう「ノスタルジー」というものがテーマだったためか、当時ネットなどない時代に口コミでこの映画の評判は高まり広がっていきました。完全版だとここに過去を断ち切って成功する男(大人になった主人公)の話も加わります。筆者は2時間のヴァージョンでの感動が大きかったので、初めて3時間完全バージョンは観たときは別の映画を観ているのかと思ったほどでした。そちらのバージョンもよく練られたストーリー展開で楽しめるのですが。

(C)Facebook 「Nuovo Cinema Paradiso」公式ホームページより

もうひとつ、この映画に「サウンド・メモリー・スケープ」という力が大きく働いています。「サウンド・メモリー・スケープ」は、ある音楽を聴くと当時体験したことやものごとが鮮明に思い出されるという事象。その要因の一つに素晴らしいサウンドトラックがあります。「ニュー・シネマ・パラダイス」のサウンドトラックは場面場面の音楽が巧みに構成されていて、同じテーマやフレーズが何度も出てきて、それ自体が映画の流れのような作りになっています。1988年当時に見た映画のシーンが音楽を聴く都度、鮮明に蘇ってくるのは、映画だけの力ではないと思っています。

(C)Facebook 「Nuovo Cinema Paradiso」公式ホームページより

その音楽を担当したのはイタリア映画音楽の巨匠「エンニオ・モリコーネ」。数々の賞にノミネートされ、1987年には映画『アンタッチャブル』でグラミー賞、2007年には第79回アカデミー賞で名誉賞、2016年、映画『ヘイトフル・エイト』で第88回アカデミー賞作曲賞を受賞しています。我が国、日本でも2003年にNHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』の音楽を担当しました。2020年の6月末、大腿骨骨折の為に入院中でしたが、残念ながらこの7月に91歳で帰らぬ人となってしまいました。

そんな功績を称えてか、優れた音楽をアナログ・レコードで復刻する「Music on Vinyl」より世界で1000枚限定の「ニュー・シネマ・パラダイス」アナログ・サウンド・トラック・レコードが発売されました。9月のことです。ピンク・ヴァイナル仕様で記念碑的な作品となっています。ジャケットはオリジナルと違いますが、映画が公開された当時、アナログ・レコードは日本国内に流通してくることは極めて少なかったと思うのでこの復刻は映画ファン、アナログファンにも大きなニュースとなりました。

映画で観ても、サウンドだけあらためて聴いてもノスタルジックな楽しみ方ができる作品として「ニュー・シネマ・パラダイスの楽曲」はこれまで各国のさまざまな企業のCMに使われているほか、音楽界でもパット・メセニーとチャーリー・ヘイデンも取り上げ、クリス・ボッティのアルバム『When I Fall in Love』にも収録。元ジェネシスのスティーヴ・ハケットもアコースティック・ライヴで披露、2Cellosも自身のレパートリーに取り上げています。日本では、ギタリストの渡辺香津美がアコースティック・ギターをメインに用いた『おやつ』で、大賀好修がB'zの松本孝弘ソロ・ワークス『Theatre of Strings』でカバーしています。多くのミュージシャンがカバーしているが変わり種としては亡き本田美奈子.が日本語歌詞を付け作品として残しています。ミュージシャンだけに限らず、フィギュア・スケートの世界でもこのサントラの曲で演技を行う選手が多いようです。面白いのは、テーマ曲に限らずこのサウンドトラックからいくつかの曲を抜粋して取り上げている点でしょうか。映画から派生して音楽が独立して多くのファンの心を掴んだ作品と言えると思います。余談ですが、日本のテレビ番組のバラエティなどでも望郷や回想シーンなどでも使われるので耳にした方も多いと思います。

それでは、エンニオ・モリコーネ指揮で映画ニュー・シネマ・パラダイスより「Nuovo Cinema Paradiso〜Love Theme」。2曲続けてどうぞー。

参考:『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2020年9月10日 (木) 09:44

なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。サウンドハウスでは、メディア編集担当として活躍。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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