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カバー・アートから聴こえてくる音楽 ― H.R.Giger(ハンス・ルドルフ・ギーガー)

2018-04-06

テーマ:音楽とアート

カバー・アートから聴こえてくる音楽

H.R.Giger(ハンス・ルドルフ・ギーガー)

ギーガーはスイス出身の画家であり、イラストレーターであり造形作家です。一見、ロックとは関係ないようですが、意外にもたくさんのアーティストのジャケットを手がけています。特に有名なのは1973年に描いたエマーソン・レイク&パーマーの5枚目のアルバム『恐怖の頭脳改革(Brain Salad Surgery)』でしょう。当時、時代の先端を行っていたシンセサイザーを大胆に導入したアルバムは、一方で無機質な機械(コンピューター)との対話をテーマにした組曲も展開。変形ジャケットを開くと、内側に目を閉じたメデューサが描かれ、トータル・アートとしても抜群の存在感がありました。このアルバムは本国イギリスのほか、アメリカや日本でも売れ、奇抜なジャケット・デザインを行なったH.R.Gigerの名前も一気に有名になりました。

Emerson Lake & Palmer『恐怖の頭脳改革』

次に彼がブレイクするのはご存知、映画『エイリアン』のキャラクターデザインです。彼はホドロフスキー未完の大作『DUNE』に参加したところから映画の世界に入っていきます。同時並行でさまざまな映画が企画されては流れていったといいます。映画『エイリアン』も予算も時間もない中、幾度となく企画は変更となり、1977年にようやく撮影がスタートします。新監督となったリドリー・スコットはクリーチャーのデザインに悩んでいたところ、この企画の初期から絡んでいたダン・オバノンからH.R.Gigerの画集を見せられ、ヒットの手ごたえを感じたそうです。映画は低予算ながら、これまでにない宇宙人像を覆す造型に恐怖と戦慄を覚え、大ヒットしました。またSFとホラーを両立させた映画として、そのジャンルの金字塔的作品となっていきます。

その後もGigerは、映画を始めあらゆる方面に活躍の場を広げていきました。外観から内装まで、すべてを彼がデザインした「Giger’s Bar」は大人がくつろぐ異空間として期間限定で世界各国に創られ話題となりました。日本でも港区の白金台にオープンしたことがあります。そんな中、さまざまなアーティストのアルバムジャケットも手がけています。その中には日本のミュージシャンもいます。どの作品もひと目見て、Gigerだとわかるのは、さすがとしか言いようがありません。彼のドキュメンタリーを見ると、彼の作品は下書きもせずにエアーブラシで仕上げていきます。これらの作品も大きなキャンバスに描いたものがほとんどです。凄まじい迫力です。

ISLAND『Pictures』(1977)

MAGMA『ATTAHK』(1978)※Giger本人もその音楽性を認めるフランスのバンド。

Debbie Harry『KooKoo』(1981)※同時で映像作品も作られました。

Celtic Frost『To Mega Therion』(1985)

Atrocity 『Hullucinations』(1991)

Danzig『Danzig III:How The Gods Kill』(1992)

Carcass『Heartwork』(1994)※立体作品。

HIDE『HIDE YOUR FACE』(1994)※マスクの造型を担当。

Triptykon『Eparistera Daimones』(2010)

なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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