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KOMPLETE 14 SELECT レビュー!【シンセ・エフェクト・EXPANSION編】

2023-08-29

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器

こんにちは。
前編に引き続き、KOMPLETE 14 SELECT(以下 SELECT)に含まれる音源・エフェクトについて、大まかな概要と実際の使用感をお伝えします。音源については、おすすめのプリセットを記載しています。
長大な記事になってしまうため、記事を前後編に分けてお届けしています。
後編に当たる本記事では、シンセ・エフェクト・EXPANSIONS編と題し、KONTAKT上で動作する音源以外の製品を紹介します。
ちなみに、KOMPLETEに多数収録されているEXPANSION(オーディオ素材やプリセットの詰め合わせ)は、コンテンツの量が膨大でチェックしきれないため、本記事では製品名のみを列挙する形式を取らせていただきます。

シンセサイザー

これらはKONTAKTで動かす音源ではありません。KONTAKTは、事前に録音されたサンプル音源を再生する「サンプラー」だったのに対し、このカテゴリの製品は自分で音を作り出す「シンセサイザー」です。
音作りの自由度が上がる反面、使いこなすのは難しいかもしれません。そんなときは、ぜひ豊富なプリセットを活用してみましょう。

MASSIVE

KONTAKTと並んで、NIの代表製品として君臨するソフトシンセ。現在はSERUMやAVENGERにシェアを奪われつつあるものの、未だに愛用者も多くいます。
MASSIVEの長所は、情報やプリセットの多さだと思います。MASSIVEは長い間ソフトシンセ界の最前線を走り続けてきたので、ネット上にはMASSIVEの使い方や音作りに関する記事が多く存在しています。また、自社他社を問わず、MASSIVE用のプリセットが多数販売・無料配布されています。
筆者も基本的にプリセットを使っています。シンセパッドやプラック系の音色に好きなものが多いです。
多くの高性能シンセが充実している今、敢えて選ぶシンセではないかもしれませんが、他に良いシンセを持っていない人にとっては強い味方になるのではないでしょうか。

★おすすめプリセット:Bladerunner Strings、Ping in Motion

REAKTOR 6 PLAYER

シンセサイザーを動かすプラットフォームです。SELECTの収録製品の中では、下記のMONARKやPRISMを扱うことができます。
REAKTORはモジュラーシンセのような感覚で使用でき、自分好みのシンセサイザーやエフェクトを作り出せるという、マニアックな側面を持っています。
ただ私自身は、シンセの操作があまり得意ではないので、REAKTORは使わず同じくNI社のKomplete Kontrol Software(略称:KKS)上で起動して、検索に引っかかったプリセットを使用することが多いです。

MONARK

アナログシンセの王様、Minimoogをモデリングした音源です。REAKTOR、もしくはKKS上で使います。
モノフォニック専用なので、本家同様、リードやベースとしての活躍が期待できます。実際にプリセットにもその系統の音色が多く用意されていて、私もその中から選んで使っています。
万能なシンセではありませんが、そんなところもアナログシンセらしくて好感が持てます。

★おすすめプリセット:Basix、Straight PWM

REAKTOR PRISM

先述の通り、私はシンセの操作がとても苦手なので、PRISMに関してもプリセットを活用しています。曲になじまない時は、FILTERやREVERBを調整しましょう。キラキラしたサウンドが非常にきれいなシンセで、bell系のプリセットは倍音豊かなサウンドが多いです。
古いシンセですがUIが格好良く、中央のディスプレイで波形(?)が動いているのが個人的に好みです。

★おすすめプリセット:Wah Wah Crystals、flux Converter

エフェクト

SELECTには、音源だけでなく4つのエフェクトが収録されています。ただし、収録数が少ないので、これだけで楽曲のミックスを完了させるのは難しいです。
サウンドの微調整というよりも、音作りに活用できるエフェクトです。

PHASIS

モジュレーション系エフェクトシリーズ、MOD PACKから、フェイザーが収録されています。
ギターのコンパクトエフェクターよりも多くのパラメーターを操作できますが、音作りはそれほど複雑ではありません。UI上部、製品名の上に表示されている斜線によって効果の強さが視覚的に分かるので、調整がしやすくなっています。
また、プリセットも豊富に用意されているので、好きなものを選んでMIXを調節するだけで、簡単にフェイザーサウンドを取り入れることができます。

SOLID BUS COMP

SSLのモデリングであるSOLIDシリーズからピックアップされたバスコンプです。
名前のとおり、ミックスバスにかけて音をまとめる使い方に向いています。私はドラムや、ギターのバスによく使います。
大きく音が変わるわけではありませんが、アナログ機材のモデリングなので、やはり味付けはあります。
プリセットを活用するだけで、はっきり前に出るサウンドになるのでおすすめです。

REPLIKA

ディレイエフェクトです。Modern、Vintage Digital、Diffusionという3種類のモードが用意されており、特にDiffusionはリバーブのかかったような幻想的なサウンドが楽しめます。
私が思うREPLIKAの長所は、その操作性です。UI中央のパラメーターを操作するだけで、ディレイタイムやフィードバック、ピンポンディレイ等の設定が簡単に行えます。私はこの点が好きで、ディレイが必要なときはよくREPLIKAを選びます。
上位互換であるREPLIKA XTという製品が存在していますが、シンプルに使えるREPLIKAの方が好ましい場合もあるはずです。ちなみに、アナログディレイやテープディレイは、XTにしか収録されていません。

RAUM

アルゴリズムリバーブです。クリエイティブリバーブとして販売されていますが、一般的なリバーブプラグインと同じように使えます。
シンプルと言うよりは、細かく設定できるようにデザインされています。少し負荷が高いこともあり、ミックスにおける空間の演出よりは、積極的な音作りに活用できそうな製品です。
RAUMの特色は、Airy、Cosmic、Groundedという3つのモードがあること。この変更だけでリバーブの音色が変わりますので、色々試してみてください。私が好きなのはGroundedです。

EXPANSIONS

オーディオ素材や、MASSIVEなどシンセのプリセットが収録された製品です。一つのジャンルに特化したサウンドで作られているので、非常にまとまりのあるビートメイクができそうです。
筆者は生楽器系のアレンジが主なので頻繁には使いませんが、ピンポイントのアクセントにワンショットを使ったり、メインのリズムの裏でパーカッションのループを鳴らしたりと、柔軟に利用しています。

  • Backyard Jams
  • Deep Matter
  • Lilac Glare
  • Neo Boogie
  • Mother Board
  • Solar Breeze
  • True School
  • Velvet Lounge

製品の使用例

これは筆者が制作した楽曲です。この曲の中では、以下に記載した製品を使用しています。SELECTの製品のみでは作れる楽曲の幅は狭くなりがちですが、手持ちの音源やギターの演奏などと組み合わせれば、多彩なアレンジを行うことができます。

● 楽曲で使用したSELECT収録製品
Scarbee Mark I、The Gentleman、Vintage Organs、Soul Sessions、Drum Lab、Massive、Solid Bus Comp、Replika

以上、二回に渡ってKOMPLETE 14 SELECTの全収録製品についてレビューしてきました。
膨大なコンテンツを前にして、筆者もすべてを使いこなせてはいません。しかし、「KOMPLETEがあって助かった」と思う経験は何度もしています。
KOMPLETEが欲しいけど、高いから迷っている。そんなあなたも、SELECTからなら手が出せるかもしれません。セールを狙って、ぜひともKOMPLETEユーザーの一員になってみてください。
今回もありがとうございました。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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oct

作曲家・編曲家。自身のプロジェクトにおける曲作りの傍ら、提供曲の制作も経験し、現在に至る。
Twitter https://twitter.com/ComposerNoir
youtube https://youtube.com/channel/UC8LYNd7OVqrlPgMVJPEi_zw

Native Instruments / KOMPLETE 14 SELECT

Native Instruments

KOMPLETE 14 SELECT

¥29,499(税込)

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