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ちょっと特殊なエフェクターを紹介する「オルガンマシン&キーボードマシン」

2021-02-12

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

特殊なエフェクターを紹介するのも4回目、溜まっていたリクエストもそろそろ終わりが近づいてきました。
今回はギター・ベース用シンセサイザーの一種、オルガンマシンとキーボードマシンの話です。

Electro-Harmonixが主に制作するこの「ギターの音をそれ以外の楽器の音にする」エフェクター、通称「9」シリーズですが、数々の色物エフェクターを作ってきた同社らしくかなり面白いエフェクターとなっています。
これらは全てデジタルエフェクターであり、原理はピッチシフターと同じく入力された音程の検出→エフェクターの音を追加、というもので、簡単に説明できるものではないので今回は原理編は無しとします。
興味のある方は「MPMアルゴリズム」「音程検出の原理」「ピッチ検出アルゴリズム」で調べるといいでしょう。

さて本題、ストンプボックスの話です。
9シリーズは6つあり、主にシンセサイザーとして扱われる「B9 Organ Machine」「C9 Organ Machine」「KEY9 Electric Piano Machine」「SYNTH9 Synthesizer Machine」「MEL9 Tape Replay Machine」の5つと、オクターバーに分類されることの多い「BASS9 Bass Machine」があります。
全てに共通した仕様として、4つのノブと1つのロータースイッチを持ち、9種類のプリセットを使用することが可能です。
ノブの内訳は2つがドライ音とエフェクト音のボリューム、残りの2つがストンプボックスそれぞれ特有の操作系です。
また2つの出力でエフェクト音とドライ音を両方出力できることも全機共通しており、かなり詳細な音作りが可能になっています。

では紹介していきましょう。

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / B9 Organ Machine

プリセット:

  • FAT & FULL (1:18~)
  • JAZZ (1:49~)
  • GOSPEL (3:08~)
  • CLASSIC ROCK (3:48~)
  • BOTTOM END (4:23~)
  • OCTAVES (7:36~)
  • CATHEDRAL (4:54~)
  • CONTINENTAL (5:44~)
  • BELL ORGAN (6:53~)

視聴動画内ではB9単独だけでなくアンプ側でリバーブを追加したり、歪ませてみたりと色々な調整例が挙げられています。
基本的には、MODノブはモジュレーション、CLICKノブはオルガンのキーノイズの音量になっています。
プリセットの1~6番ではMODノブでコーラスを追加でき、7番と9番ではトレモロ、8番ではMODとCLICKの両方を使ってビブラートをかけられます。
CLICKノブは、7番がトレモロの深さ、9番は電子ピアノのチャイム音を追加するためのノブになっています。

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / C9 Organ Machine

プリセット:

  • TONE WHEEL (1:02~)
  • PROG (1:55~)
  • COMPACT (2:38~)
  • SHIMMER (3:46~)
  • LORD PURPLE (4:54~)
  • MELLO FLUTES (6:08~)
  • BLIMP (6:49~)
  • PRESS TONE (7:52~)
  • TELSTAR (10:22~)

B9とC9をスイッチャーを用いて切り替えながらの演奏、ディレイの追加などB9以上に聴きごたえのある視聴動画になっています。

コントロールはB9より複雑化しており、MOD、CLICKの順に以下のようになっています。
※特殊な操作は太字にしています。

  • コーラス、キーノイズ音量
  • コーラス、5度上と1オクターブ下の音量
  • ビブラート速度、ハーモニクスの音量
  • アタックタイム、サスティン
  • ORGAN VOLが3つのドローバー操作、MODがコーラス、CLICKは別の3つのドローバー操作
  • ビブラート速度、ビブラート深度
  • コーラス、ハーモニクス量
  • コーラス、キーノイズ音量
  • ビブラート、ハーモニクス量

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / KEY9 Electric Piano Machine ギター用エフェクト キーボード

プリセット:

  • DYNAMO (0:51~)
  • WURLI (1:32~)
  • SUITCASE (2:19~)
  • MALLETS (3:18~)
  • EIGHTY EIGHT (3:52~)
  • TRI-GLORIOUS (4:39~)
  • VIBES (6:25~)
  • ORGAN (6:58~)
  • STEEL DRUMS (7:47~)

KEY9はキーボードやその他の音階楽器のサウンドを出力します。
Fender Rhodesのサウンドが4つ、ウーリッツァーピアノ、オルガン、マリンバ、ビブラフォン、スチールパンのプリセットがあり、C9以上に複雑な操作系を持ちます。

CTRL1、CTRL2の順に以下の通り。

  • 低域音量、ブライトネス
  • トレモロ深度、速度
  • 低音倍音とブライトネス、フェイザー速度
  • コーラス深度、速度
  • トレモロ深度、速度
  • コーラス深度、速度
  • 高域のアタック音量、トレモロ速度
  • 高域音量、ロータリー速度
  • コーラス深度、速度

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / MEL9 Tape Replay Machine

プリセット:

  • OBX (1:08~)
  • PROFIT V (1:57~)
  • VIVE SYNTH (7:35~)
  • MINI MOOD (9:24~)
  • EHX MINI (8:20~)
  • SOLO SYNTH (5:36~)
  • MOOD BASS (3:20~)
  • STRING SYNTH (4:35~)
  • POLY VI (6:49~)

9シリーズの中では"シンセサイザー"と呼ぶにふさわしい、他の楽器に寄せていないサウンドのシンセサイザーです。
レビューが0件なのに対し紹介ブログは3本(執筆当時、本記事入れて4本)あるなど、不思議な所が多いエフェクターですが、エレアコにも使用可能、コンプレッサー/リミッターを内蔵した高機能なシンセサイザーです。

CTRL1、CTRL2の機能は以下の通り、シンセサイザーの操作そのものに近いコントロールが搭載されています。

  • トーン操作、ピッチ操作
  • オートワウのスウィープタイム、ピッチ操作
  • ハーモニクス量&スウィープタイム、ビブラート速度&深度
  • ポルタメント音量、ポルタメント時間
  • オートワウ操作、ピッチ操作
  • トーン操作、ピッチ操作
  • オートワウのスウィープタイム、オクターバー
  • トーン操作、オートワウのアタックタイム
  • トーン操作、モジュレーション深度

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / MEL9 Tape Replay Machine

プリセット:

  • ORCHESTRA (1:43~)
  • CELLO (2:48~)
  • STRINGS (3:22~)
  • FLUTES (4:10~)
  • CLARINET (4:54~)
  • SAXOPHONE (5:35~)
  • BRASS (6:22~)
  • LOW CHOIR (7:01~)
  • HIGH CHOIR (7:15~)

名前の通り、メロトロン・キーボードのサウンドを再現するストンプボックスです。
コントロール系はATTACKとSUSTAINになり、どのプリセットでも音の立ち上がりと余韻の調節ができる操作は変わりません。
Brassのみ、ATTACKはサウンドのブライトさを操作し、SUSTAINは"Lip Buzz"と表現される金管楽器のバズ音を微調整します。

ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / BASS9 Bass Machine

プリセット:

  • PRECISION (1:00~)
  • LONGHORN (3:29~)
  • FRETLESS (6:33~)
  • SYNTH (5:08~)
  • VIRTUAL (8:24~)
  • BOWED (9:18~)
  • SPLIT BASS (10:15~)
  • 3:03 (11:50~)
  • FLIP-FLOP (12:41~)

オクターバーとして扱われることが多いBASS9 Bass Machineですが、9シリーズらしくギターの音を全く別物に変えるストンプボックスです。
PRECISIONがFender Precisionベースをイメージしてオクターバーを搭載しているところ、LONGHORNはDanelectroのバリトンギターをオマージュし、ピッチシフターを使用することができます。
また、VIRTUALセットではボディの密度(重量)とスケールの長さをシミュレートして"ブライトなソリッドボディからホフナーベースのような音まで"出力したり、SPLIT BASSではギターの下3弦のみにオクターバーを効かせた音を出力することができるなど、ただのオクターバーに留まらない超高機能シンセサイザーとなっています。
コントロールはCTRL1、CTRL2ですが、プリセットごとに全く違う機能を持ち、SYNTH9以上に複雑な音作りが可能です。
操作は以下の通り。

  • 1~2オクターバー音量、トーン
  • ピッチシフター、トレモロ
  • フレットレスバズ音量、コーラス
  • シンセ音域、オートワウ
  • ボディ密度、スケール長
  • 1~2オクターバー音量、アタック速度
  • トーン&ブライトネス、オートワウ
  • オートワウ深度&範囲、オートワウ速度
  • 1~2オクターバー音量、ローパス

今回はElectro-Harmonixの9シリーズを全種類紹介しました。 どれもSoundhouseで最高でも2万5000円程度で入手できます。

次回は「凝りすぎたエフェクター」編です。
もし記事をリクエストしたい方はTwitterにどうぞ。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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Cheena

中学校で吹奏楽部に入部、中3でエレキベースを買ったところ改造と自作の世界に魅入られてしまった。3Dプリンターやレーザーカッターなどを駆使した楽器改造・製作とエフェクター製作をしています。
twitter https://twitter.com/on_8va_bassa

元プロでベーシストのネモトと、クラフトマンでベーシストのCheenaによる、楽器への深すぎて自由すぎるこだわりトーク
→ C&N Crafthouse

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