こんにちは。
前編に続いてこの記事では、WAVES社から発売されている『Eddie Kramer Signature Series』という製品についてご紹介しています。
後編では、[Bass Channel][Drum Channel][Effects Channel]をレビューします。
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Eddie Kramerを傍らに 前編
バンドル内容
Eddie Kramer Bass Channel
ベース用のプラグインです。操作できるパラメーターは少なめなので、このSignature Seriesの中でも特に、シンプルな音作りができます。

このプラグインには、「BASS 1」「BASS 2」という2つのモードがあり、それぞれで異なるキャラクターのサウンドを作れるようになっています。好みの方を選んでください。
筆者は、「BASS 1」は全体が素直に持ち上がっており、「BASS 2」は必要なポイントを絞ってブーストしているように感じました。
再生を停止した状態でアナライザーを通してみると、「BASS 1」では60Hz付近が、「BASS 2」では60Hzと120Hz付近が反応していました。この状態から「OUTPUT」を最大にすると、「BASS 1」では全帯域が、「BASS 2」では200Hz付近が、反応するようになりました。
Eddie Kramer Drum Channel
この製品は、ドラムパートの各トラックにインサートして使用するように設計されています。

バスドラム、スネア、ハイハット、タム、オーバーヘッド、ルーム、というそれぞれのトラックに最適化されたモードが用意されているという充実ぶり。モードを選択するだけで、ある程度使える音になるので、そこからの調整が非常に簡単です!
個人的には、「BASS」のつまみの効き方が好きでした。スネアが、太く存在感のある音になります。
これのすごいところは、パラアウトしたドラム音源だけでなく、パーツごとに選んで作成したオリジナルのドラムキットでも、一つにまとめられるという点です。ワンショットサンプルなどを用いてキットを構築する方にとっては、音作りの快適さが大きく向上しますね。
Eddie Kramer Effects Channel
こちらは特定の楽器用ではなく、リバーブとディレイを一つにした空間系エフェクトです。公式サイトの文言を見る限り、プレートリバーブとテープディレイのようです。
ここまでで紹介した、ボーカル、ギター、ベース、ドラム用のプラグインには、既に空間系エフェクトのセクションが用意されていました。
しかし、これらに含まれていない楽器(ピアノ、シンセ、ストリングスなど)は、どのように馴染ませれば良いのでしょうか?
ここで活躍するのがEffects Channel。空間を同じくしたいトラックに適用すれば、楽曲の一体感が更に高まります。

「H-SLAP」と「Z-SLAP」という2つのモードがあり、シチュエーションに合わせて選択し、使っていきます。「H-SLAP」が短め、「Z-SLAP」が長めのリバーブです。また、「H-SLAP」のディレイはフィードバック少なめ、「Z-SLAP」は多めとなっています。
注意点
前後編を合わせて、『Eddie Kramer Signature Series』の沢山の長所を紹介してきました。しかし、完璧な商品はありません。注意点を挙げるとすれば、これだけでは完璧なサウンドになりにくい、という点でしょうか。
それぞれのプラグインにも、EQやコンプを操作するパラメーターはついていますが、細かい調整には向きません。
本製品でざっくりと音作りをした後、必要に応じて個別に調整用のEQ・コンプを立ち上げるのが良いと思います。
他には、「合わないときは合わない」という点もあるでしょう。
製品のコンセプトが、"有名エンジニアのサウンドを再現する"ことなので当然とも言えますが、どんな楽器・音源を使っても、このエフェクトを通すと『Eddie Kramer Signature Series』の音になってしまいます。
そのため、近年の流行であるモダンなダンスミュージックやヒップホップには合わないこともあるでしょう。
「合うときには最高に合う!」
これがSignature Series全体の特徴であり、そこを理解した上で製品選びをすることが必要だと言えそうです。
おわりに
長い記事となってしまいましたが、その分たっぷりと、『Eddie Kramer Signature Series』の特徴が伝わったかと思います。
筆者自身も、この記事を書くにあたって本製品を操作しまくり、より理解を深めることができました。結局は、自分で触ってみるのが一番分かるということでしょう。
WAVESでは、7日間の無料体験期間が設定されています。気になった方は、ぜひお試しください。 ありがとうございました。
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