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Eddie Kramerを傍らに 前編

2023-02-28

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 楽器

はじめに

こんにちは。
今回は、WAVES社から発売されている、『Eddie Kramer Signature Series』という製品についてご紹介します。

WAVESとは

音楽制作をされる方なら一度は聞いたことがあるであろうメーカー、WAVES。イスラエルを本拠地とするWAVES社は、コンピューターを用いた音楽制作の黎明期を支えたメーカーです。

今でこそ、様々なブランドから高機能なプラグインが発売されているので、シンプル・軽量が売りのWAVESは比較的"時代遅れ"な印象を持たれやすいことも否めません。

しかし、WAVES製品が劣っているのかと言えば、それは全くの別問題。iZotope社のような、AIによるサポートは搭載されていませんが、WAVESには「簡単に目的の音にたどり着ける」という魅力があります。

プラグインは結局のところ用途次第なので、WAVESに助けられる場面が数多く存在することも、また事実です。

今回紹介する『Eddie Kramer Signature Series』は、まさに「簡単に目的の音にたどり着ける」ことを信条とした製品なのです。

Eddie Kramer Signature Series

WAVES社では、Signature Seriesと題した製品群・バンドルをいくつか発表しています。これらは、"有名エンジニアのワークフローを手に入れる"ことを目的としたエフェクト・プラグインです。

そのうちの一つが、『Eddie Kramer Signature Series』。かのビートルズの楽曲を手掛けた名エンジニアのこだわりのサウンドを、簡単操作で自分のものにできるのです。

バンドル内容

本製品はバンドル版として販売されています。バンドルとは、複数の製品をひとまとまりにしているパッケージのこと。『Eddie Kramer Signature Series』には、5つのプラグインが収録されています。

この記事では、それらを前後編に分けて、一つずつ紹介していきます。前編では、[Vocal Channel]と[Guitar Channel]を扱います。

Eddie Kramer Vocal Channel

このプラグインでは、歌ものミックスにおける最重要過程である、ボーカルのプロセッシングを簡単に行うことができます。

「BASS」「TREBLE」のEQやコンプに加えて、ディレイとリバーブもこれ一つで音作りできます。

このプラグインには、「Vocals 1」「Vocals 2」という2つのモードが用意されています。

Vocals 1

「Vocals 1」は、どちらかというと暖かい質感で、中域、低域にかけて豊かに鳴っているように感じます。UI上部のFXセクションは、すべて操作できます。

Vocals 2

「Vocals 2」は、比較的軽く、アタック感があって、高域が強調されているようでした。UI上部のFXセクションのうち、ディレイについてのつまみが操作できなくなっています。これは、ディレイをかけられないということではなく、設定が固定されているようです。

面白かったのは、「Vocals 2」のディレイ音(やまびこ部分)のピッチが、微妙にズレていた点です。これにより、コーラスエフェクトのような広がりを得ています。

これらの特徴から、「Vocals 1」はメインボーカルに、「Vocals 2」はハモリなどのコーラスパートに使用するのが良いかもしれません。

また、これは少し変わった使い方ですが、「Vocals 2」の設定でピアノトラックに適用してみるのも面白いかもしれません。筆者の場合、DAW付属のピアノ音源が十分に魅力的なサウンドに変身しました。

Eddie Kramer Guitar Channel

ギター専用プラグインです。この製品には、「RHYTHM 1」「RHYTHM 2」「LEAD」という3つのモードが用意されており、用途・意図により使い分けます。

まずはリズムギター(バッキング)用の2つのモードから。EQで調整できるのは、「TREBLE」「MIDDLE」の2つ。コンプレッサーもついています。UI下段のFXセクションでは、ディレイとリバーブをかけることができます。ディレイのフィードバックはどちらのモードも少なめです。

RHYTHM

2つのモードを聴き比べると、「RHYTHM 1」は馴染みやすく、「RHYTHM 2」は目立ちやすい感じがしました。目的に合わせて使い分けましょう。

次はリードギター用。こちらも同様にEQとコンプによる調整、空間系エフェクト処理ができます。ディレイのフィードバックは多めです。

リズムギター用と異なる点は、フランジャーの効果を調節できる点です。筆者は特に、ギターソロにフランジャーをかけるのが好きなので、これは嬉しい機能です。

LEAD

おわりに

さて、前編では、[Vocal Channel]と[Guitar Channel]を紹介してきました。後編では、[Bass Channel][Drum Channel][Effects Channel]の3製品について、レビューしたいと思います。

-- 続く--


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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oct

作曲家・編曲家。自身のプロジェクトにおける曲作りの傍ら、提供曲の制作も経験し、現在に至る。
Twitter https://twitter.com/ComposerNoir
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