ギター(弦楽器)はピアノと違い、直接弦に指を触れて音を出す。ピアノは鍵盤を弾くとハンマーがピアノ線を叩いて音を出すので、演奏者が弦に直接ふれることはない。
その代わりピアノは定期的に調律師が調整しないと音程が狂うので、予算のかかるメンテナンスが必要である。普段は弾き終えたら鍵盤の汚れを拭き、フェルトの布を敷いて閉じておくだけである。
ギター弦は汗と脂が弦の劣化を早める。演奏者の体質にもよるが、ケアをしなければ1日で弾きにくくなることもある。また長時間弾けば必ず弦は劣化する。これは防ぎようがない。
シビアなプロ・ギタリストは弦の品質の低下を避けるためライブを行う度に弦を替える。次のライブで弦が切れたら仕事にならないし、一流のプロは一日でも弦の劣化に気付く。
またレコーディングなどでチューニングの狂いや弦の新鮮度を気にするスタジオミュージシャンは一曲録音する度に弦を張り替えるとも聞く。
趣味で弾いているアマチュアギタリストはそこまで気を遣わなくても、チューニングがあわない、コードストロークの鳴りがくもってきたと感じたら交換するべきだ。
古い弦を張ったまま演奏するのは百害あって一利なし。これば断言しよう。
では古い弦を張ったまま弾き続けると、どのようなマイナス面があるか?
まず一つにトーンの劣化が挙げられる。新品の弦の煌びやかさが消え、濁った音色に慣れてしまうと耳にも良くない。チューニングも合わなくなってしまう。
次に演奏性。特にスライドプレイは引っかかり、思うように指が滑らない。古い弦を使い続ける一番のストレスはここだ!と私は思う。
そして怖いのが、フレットの摩耗。錆びた弦を使うのはヤスリでフレットを削る行為をしていると言っても過言ではない。フレット交換は一番避けたいリペアの一つだ。
ただし、アマチュアギタリストが毎日弾く度に弦を替えるのは現実的ではない。弦の値段も一昔前なら500円前後で店頭で販売されていたが、今は1,000円以上するセット弦が珍しくない。毎月数千円も弦に出費するのは辛いだろう。
ではアマチュアギタリストが頻繁に弦を交換せず、出来るだけ快適に演奏するにはどうすれば良いか?
かく云う、私も長年の悩みである。
知り合いは、弾いた後ティッシュで拭いていると言っていた。またある人は弦が錆びたまま放置しているという。
昔から楽器店にはスプレータイプの弦潤滑剤が置いてあり、ネックに吹き付けるか、布などにスプレーして弦を拭いたりして使用する。
TONE ( トーン ) / FINGER EASE ギター弦クリーナー 指板潤滑剤
では私は今までどうメンテナンスしていたか?
数十年間、続けた方法を包み隠さず言おう。
まず、弦をクロスでつまみ、拭く。 次に円柱の缶に入ったGHSのFast Fretで弦を拭く。そして放置する。
GHS ( ジーエイチエス ) / FAST-FRET 指板潤滑剤
このような感じで長年メンテナンスしていた。
今回ご紹介するのは、4つのアイテムを使用した、弦を月一回張り替えるだけで済む方法である。一週間で5~10時間程弾く位の目安と考えて欲しい。ちなみに私は手に汗をかかない。
必要なもの
① DR ( ディーアール ) / Stringlife Liquid Polymer
② THE STRING CLEANER ( ストリングクリーナー ) / The String Cleaner
③ MUSIC NOMAD ( ミュージックノマド ) / MN205
④ MONTREUX ( モントルー ) / Montreux original Fret guard [1033]
⇧地域の広報誌などの柔らかい紙、またはフレットガード
私なりのメンテナンス方法
- ギターを弾き終わったら、まずThe String Cleanerの黄色い布にStringlife Liquid Polymerをつける。弦に液体がつけば良い程度に適量。
- The String Cleanerを軽くスライドさせる
- 時々The String Cleanerで弦に挟まず片面だけで弦の表面をスライドさせる
- 弦とフレットにフレットガードや、ネックの幅に合わせた柔らかい紙を挟む。
- ストリングクリーナーの使用頻度によって、使用回数を減らすためにMUSIC NOMAD MN205等のクロスの部分にストリングライフを塗布し軽く拭く。
以上をすると1ヶ月はフィンガリングに違和感を感じない。コードの美しさや響きには限界があるが、練習する分にはあまり気にならない。
ストリングクリーナーについては、弦の清掃方法については優秀な製品であるが、プラスチックの本体が壊れやすい、弦を拭くクロスが剥がれやすい、などの性質がある。
個人的な解決策として、本体プラスチックが割れ始めたら、直ぐに瞬間接着剤で対処したところ、それ以上酷くならずに長持ちした。

割れ始めたストリングクリーナーに音叉の形状(Y状)に瞬間接着剤を着けたので数年割れずに使えている。
黄色のクロスも剥がれそうになってきたら早めに接着剤で補強すれば問題ない。使い始めて短期間で剥がれるトラブルが発生する場合は力の入れすぎだと思う。スライドする際に、力を入れず軽く動かす事により、本製品は長持ちする。 私は数回買い換えた。数年は使用できる。最近また新調した。汚れた物と、新品を比べたらストリングクリーナーは使い方を工夫すれば長く使える製品と言う事がわかると思う。

新しい商品と使い込んだ商品を見れば、意外と長く使えるギアだと納得してくれるだろうか?
液体のStringlife Liquid Polymerは近年出てきた商品である。メンテナンス商品としてはやや高価であるが、従来品とは違う新しい特徴がある。
それは本体スポンジから弦に塗布して1日おくと、弦がコーティングされるのだ。昨年から使用しているが、これは画期的な製品だ。ちなみにサウンドハウスの本製品の商品案内サイトに関連動画が添付されているので、視聴してみると良いと思う。コーティングされた弦の効果をYouTube で説明している。
一本あれば長く持つので、単価は高めだが効果と内容量を考えれば従来品とコストパフォーマンスは変わらないと感じる。
4, の柔らかい紙を弦とフレットの間に挟むという工程は、湿気取り、外出時のフレット保護の役割を果たすのでおすすめだ。最近考えた私のオリジナルの方法である。私は郵便ポストに定期的に入る地域広報誌の一枚を毎週たたんで使用している。毎日弾くメインギターは週一回の頻度で交換。0円だし一週間使えば湿気を吸うのが今の季節わかる。星占いのコーナーを表にするとより楽しめる(笑)。

見栄えや高級感、耐久性、手間隙を考えたら市販品が良いだろう。プラスチック製は入手しやすく、丈夫だが、劣化して割れる際には注意した方が良い。
フレットガードは移動時のフレットの磨耗を防ぐ効果があるので、ネックに丁寧に取り付ける事に留意し、適切に使用する。指板の保護も兼ねていると思う。
以上、私なりの弦のメンテナンス方法を述べてきた。
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