はじめに
エレキギタリストとは切っても切れない存在であるエフェクター。特にコンパクトエフェクターは、自分の好みに合う製品を集める過程にも、楽しさがあるものです。そんな特徴から、ギタリストのエフェクターボードは三者三様。プレイヤーの数だけボードも存在しています。
そうは言っても、やはり定番のブランドや製品があることも事実。例えばBOSSのコンパクトエフェクター、いわゆるボスコンは幅広いジャンルのプレイヤーに愛されています。ProCoのディストーション、RATも根強い人気ですね。Ibanezのチューブスクリーマーも王道です。そして近年、空間系のカテゴリを牽引しているのはSTRYMONでしょう。SNSでエフェクターボードの画像を検索してみると、あの人もこの人も、STRYMON製のエフェクターを使っていることに気づきます。
STRYMON ( ストライモン ) / blueSky V2
こちらはSTRYMONが誇る高品質なリバーブペダル。特徴的なShimmerリバーブで、幻想的な空間を作り出せます。空間系にこだわるプレイヤーにとっては魅力的な機種だと思います。……しかし、やはりいいお値段がしますね。価格は5万円弱であり、それに見合う価値はあると知りつつも、やはり簡単には手を出せないクラスです。というか、5万円もあればエフェクターボードが1つ組めてしまうのでは……?
ということで、今回はサウンドハウスのラインナップから、5万円の予算でエフェクターボードを構築してみようと思います。
※2024年2月4日現在の価格でのシミュレーションです。
機材選び
● エフェクターボード
まずは土台となるボード選びから。これがないと始まりません。載せるペダルが決まっている場合は、それに合ったサイズのものを選ぶと良いでしょう。今回は小さめのものでいこうと思います。
PEDALTRAIN ( ペダルトレイン ) / PT-M16-SC
すのこ型ボードといえば、PEDALTRAINです。ソフトケースが付属するので、持ち運びも可能です。
今回は予算の都合上、あまり多くのペダルを載せられないので、このサイズでも十分と見込んでいます。
● パワーサプライ
ノイズ対策の観点では、電源選びは高価なエフェクターを買うことよりも重要とも言われています。注目すべきはフルアイソレートであること。デジタル・アナログの混在やグランドループ由来のノイズを限りなく減少させます。
コンパクトでフルアイソレートのパワーサプライです。給電できるエフェクターは5台までと少なめですが、今回のボードでは十分です。各ポート500mAの電流に対応しているので、デジタルエフェクターも駆動できます。
さて、中間発表です。ペダルボードとパワーサプライで、合計18,130円。残りの予算は約30,000円です。いよいよエフェクター選びに突入するとしましょう。
● マルチエフェクター
予算とサイズがかなり限られている今回のエフェクターボード。あれもこれもと詰め込むわけにはいきません。しかし一方で、音色のバリエーションもまた捨てがたい。こんなワガママを叶えてくれるのは、マルチエフェクターしかありません。
ZOOM ( ズーム ) / G1 FOUR ギター用マルチエフェクター
低価格マルチの雄、ZOOMが誇るマルチです。このサイズで約80種類ものアンプ・エフェクトが使用可能なのは驚きの一言。パワーサプライでも駆動できます。
筆者も同製品を使用していますが、これ一台でボードの何でも屋になってくれるので、かなり満足しています。
G1 Fourのおすすめポイントは、大きめで踏みやすいフットスイッチが2つ付いていること!これがあるだけで、演奏中に単一のエフェクトをオン・オフできて便利です。とはいえMIDIには非対応なので、複雑なコントロールには向きません。かけっぱなしのエフェクトいくつかと、オン・オフしたいエフェクト1つを組み合わせておくと良さそうです。
残り:21,890円
● オーバードライブ
マルチエフェクターが手に入ったといえど、やはり歪みはアナログで揃えたいという人も多いはず。お気に入りのペダルを選びましょう。
Effects Bakery ( エフェクツベーカリー ) / Bagel OverDrive ギターエフェクター オーバードライブ
選んだのはEffects Bakeryの可愛いベーグルです。筆者も実際に使っているペダルで、あまり激しいジャンルでなければ、メインの歪みとして使えます。またTS系かSD-1系に似ているという意見をよく聞きますが、確かにブースターとしての使い勝手の良さも感じます。アンプの歪みを使う人はブースターとして活用しても良さそうです。
残り:16,940円
● ワウペダル
サウンドに一癖加えたい。そんなときにはワウペダルです。
FENDER ( フェンダー ) / Tread-Light Wah Pedal
これはFenderから発売されているワウペダル。ギターの指板をイメージしたデザインが可愛いです。ペダルの側面にはEQやバッファのスイッチがあり、ON/OFFを視認しやすいLEDも搭載という充実ぶり。
筆者はVOXのワウを使っていますが、次に選ぶとしたら間違いなくこれです。
残り:5,140円
次が最後のチョイスです。基本的なものは揃っているうえ予算がギリギリなので、何を選ぶか悩ましいところですね。
予算が明確に決まっているので、サウンドハウスの検索機能で商品を絞り込んでみます。

そして……
● ファズ
最後に選んだのはファズです。
Effects Bakery ( エフェクツベーカリー ) / New Ginger Fuzz 『岩下の新生姜』 コラボレーションモデル
結局Effects Bakery頼みになってしまいました。
このファズも実際に使っているのですが、かなり汎用性の高いサウンドだと感じます。ギターのリアピックアップを使えばコードストロークもできてしまうくらい軽やかです。とはいえファズ特有の太い低音も健在なので、他の歪みと組み合わせた轟音サウンドも可能です。
ファズをチョイスした理由はもう一つ。ワウの後にファズを繋いだときのサウンドが好きなんです。ファズ単体だと太すぎて、コードストロークには向かない場合も多いです。そこで、ワウをONにして踏み込んでおくと、広域がブーストされ、良い感じに細くなるので使いやすくなるんですよね。もちろん、これは筆者の環境と嗜好によるものなので、皆さん一人一人が正解の組み合わせを見つけられればOKです!
ヴィンテージ系のワウやファズを使うときには注意が必要な組み合わせでもあります。インピーダンスが合わないために、本来とは違うサウンドになってしまう場合があるからです。
今回は現代のワウとファズなので、気にしなくても大丈夫でしょう!
残り:340円
完成
ようやく予算50,000円のエフェクターボードが完成しました。それがこちら!

ワウがギリギリとかパッチケーブルを買っていないとか、そういうことは気にしないようにしましょう。
個人的には、かなり満足感の高いボードができたと感じています。ギターから出たシールドはワウに入り、オーバードライブ、ファズと続きます。最後のマルチエフェクターは、コーラスやディレイ、リバーブなどモジュレーションや空間系を担当します。
これはイメージ画像なのでパワーサプライは前面に配置しましたが、すのこ型ボードの利点を活かして、パワーサプライは背面に設置しても良いですね。配線もスッキリして、省スペース化にも成功です。
終わりに
今回は5万円という予算で、かなり本格的なエフェクターボードを構築することができました。初めてのエフェクターボードにはもちろん、すでにメインボードを持つギタリストのサブボードとしても活躍できそうです。
エフェクターボードはお金も場所も必要だから、と躊躇していた方々。まずは小さな一歩から始めてみませんか?一気に全てを揃える必要はありません。お気に入りの1つを手に入れることからスタートしてみましょう。
いつの日か、皆さんの素敵な宝石箱ができあがることを願っています。
今回もありがとうございました。
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