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ギタリストのためのCPシリーズ

2020-05-29

テーマ:Knowledge

今日のモデリング・ギターアンプ用プロセッサーとペダルは、サウンドに信じられないような多様性をもたらしています。そのテクノロジーにより、膨大な種類のアンプサウンドを利用でき、ほぼ無限とも言えるトーンを作ることができます。

このパラダイムシフトが起きたことにより、多くのギタリストがモデリングしたトーンを、QSCのCPシリーズのようなFRFRスピーカーによって実現できるようになりました。

FRFRスピーカーとは

FRFRはFull Range Flat-Responseの略であり、あらゆるトーンやピッチをニュートラルに再生し、入力信号から可能な限りクリーンで正確なサウンドを作り出します。FRFRスピーカーは入力した信号に対して基本的に何も足したり引いたりせず、音を出します。望むサウンドを作り出すのに必要なオプションを全て備えている最近のモデリングアンプに最適です。

FRFRスピーカーを選択するとき、注意深くその能力を考慮する必要があります。すなわち、真のフラットレスポンスを持ち、繊細さや、大きくてダイナミックな変化を扱えるかです。エレキギターの音のピークは通常のプログラム音源の10倍と大きいため、クリーンなピークを再生でき、オリジナルのギター信号を悪化させることのない、ゆとりのあるヘッドルームを持つことが、高性能FRFRスピーカーの条件となります。

ギターキャビネットとFRFRスピーカー

一方で、従来のギターキャビネットも依然として存在しています。キャビネットに隠されたアイデアにより、いろいろな方法でギタートーンを色づけし、ユニークなサウンドを作りだしています。ギターキャビネットはまた、エンクロージャーデザインと固有のトランスデューサーの音響特性により、高域に向かって自然にロールオフする周波数レスポンスを生み出しています。

ギターアンプをモデリングしたサウンドを、FRFRスピーカーでない通常のスピーカーから出力すると、スピーカーの持つ個性とぶつかりあって、スピーカーをエミュレーションするという目的にそぐわないことになります。

PAとFRFRスピーカー

ほとんどのFRFRスピーカーは、特定の機能やトーンへのレスポンス、ユーザーが設定できる項目がPAシステムと異なります。

あるFRFRスピーカーは伝統のギターキャビネットを再現することを目的に作られており、また別のFRFRスピーカーは簡単に使えるPAスピーカーを目指しているように思えます。どちらの場合も、EQが搭載されているかとフロアモニターとして使用できるかがギタリストにとって重要な機能となっています。

最も一般的なPAスピーカーは大音量で、バンドの全ての楽器の音を再現できるように設計されています。一方でFRFRスピーカーは、できるだけニュートラルなサウンドを目指しています。モデリング用デバイスがサウンドを作り出すのために用意した真っ白なキャンバスのようなものです。

ギタリストのために作られたCPシリーズ

CP8とCP12コンパクト・パワードスピーカーは、小さなパッケージながら驚くような性能を提供します。高効率1000Wパワーアンプを搭載し、非常に軽量(CP8:9.5kg、CP12:13.7kg)、輸送やステージ、スタジオへの設置に便利です。両方のモデルともにミックス可能な3種類の入力(MIC、MIC/Line、3.5mmステレオミニ)を備えていて、FRFRスピーカーの用途に推奨される「フロアモニター」プリセットを含む、多数のDSP機能を備えています。

FRFRスピーカーに「フロアモニター」プリセットがなかった場合、低域レスポンスが強調されすぎてしまいます。フロアモニターは床に寝かせて設置する関係で、200Hzより下の低域が最大6dB程度までブーストされてしまいます。これはギターサウンドにとって望ましいものではありません。「フロアモニター」プリセットはこの低域ブーストを抑えて、フラットなレスポンスを与えます。

オプションについてですが、CPシリーズ用トートバッグを使用すると、会場から会場への輸送も簡単に楽に行えます。また、屋外用カバーにより、演奏中、急な天候の変化からスピーカーを守ることができます。

CPシリーズをFRFRやPAスピーカーとして使用する方法

ギター用機材を最終的に決めなければならないとき、ユーザーの主観的な判断が重要となりますが、CPシリーズをFRFRやPAスピーカーとして使うときには、便利なオプションがいくつか用意されています。

A. ギターアンプモデラーを使用する

通常のモデリングギターアンプ用プロセッサーはCPシリーズなどのFRFRスピーカーを直接接続できるステレオ出力を搭載していて、モデル化されたギターアンプの音を忠実に再生することができます。さらに、CPシリーズのMix出力(ポストゲインXLR端子)から使用すると、L/R出力をFOHミキシングコンソールに直接送ることができます。

図1:CP12(左)とCP8(右)ペアをステレオ・ギター・アンプモデラー用に使用

B. ロードボックス/スピーカーシュミレータを直接PAに接続

他によく使われる機材構成としては、ギターアンプヘッドをDSPによるスピーカー(トランスデューサー)シミュレーターを搭載したロードボックスに接続するなどがあります。このシミュレーターはギターアンプ用キャビネットのインピーダンス負荷と電気特性、音響特性をエミュレーションしたものです。ロードボックスの出力は直接CPシリーズに送られるか、またはFOHミキシングコンソール経由でPAスピーカーに送られます。

図2:ギターアンプヘッドとDSPスピーカーシミュレーターを搭載したロードボックスPAスピーカーとして使用

C. エフェクト・ペダル/キャビネット・シミュレーターを使用して直接PAに接続

次のオプションは、ギターアンプを使用せずに、パーソナルモニターとして使用するCPシリーズに直接接続するか、ミキサー経由でPAスピーカーへ接続します。

図3:PAスピーカーとして、またはエフェクトペダルとキャビネットシミュレーターを接続したパーソナルモニターとして使用

D. アコースティックギター用アンプ

エレクトリック・アコースティックギター(エレアコ)には、アコースティックギターの出力をプリアンプDIボックスに送り、DIボックス出力をCPシリーズに接続してPAスピーカーやパーソナルモニターとして使用できます。CPシリーズには入力が複数用意されているため、マイク(XLRフォン・コンボ端子)と外部オーディオ(3.5mmステレオ端子)を同時に接続することができます。

以上から、CPシリーズ自体をミキサーとしても使用し、完全なパーソナルPAシステムとして使用できます。また、CPシリーズを4台まで連結し、広い部屋で幅広いエリアにいる聴衆に音を届けることができます。

図4:アコースティックギター、マイク、外部オーディオを接続してPAスピーカーとして使用

結論

ほとんどのギタリストは、従来からのアンプ/スピーカーキャビネット構成に慣れています。ところが、技術の進化により、FRFRスピーカーが登場し、高性能ギターアンプモデラーとの組み合わせにより、演奏体験は可能な限り「実物」に近くなったと言われています。

ギター関連の機材を含むオーディオ信号チェーンの中で最も重要な要素は、トーンの繊細さが現れているかどうかは別として、間違いなくスピーカーです。PAシステムやFRFRスピーカーをパーソナルモニターとして使用するとき、CPシリーズは最高のオーディオ性能、優れた音質、耐久性と信頼性を持つパワードスピーカーと言えます。

このトピックを参考に、ぜひ自分自身のトーンを作ってみてください。

この記事はQSCによるCP Series for Guitar Playersの翻訳です。

Christophe Anet

Christophe Anetは、電気音響エンジニアであり、QSC Live Soundのシニア・プロダクト・マーケティング・マネージャーです。長年にわたり音響への情熱を持ち、世界中のレコーディングスタジオの設計、音響心理学の講義、レコーディングスタジオのコントロールルームの調整などを行ってきました。ギターを弾いていない時は、スイスアルプスでロッククライミングをするか、大自然の中で水彩画を描いています。

 
 
 
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