コロナ禍以降、マイクは使い回しではなく、自分のマイクを持ちたいという方が増えました。
さらに、ボーカルならばマイマイクを持ってライバルと差をつけたいと思うのは、ごく自然なことです。そして、マイマイクを持ったら「ライブで動きまわりたい」「ケーブルが邪魔」とさらなる欲が生まれてくるのではないでしょうか。そんな欲望を叶えてくれるのが、ワイヤレスマイクです!そしてワイヤレスマイクの選び方で重要なのは、「使用環境」と「同時使用本数」です。
まずは、ワイヤレスマイクを選ぶ際に知っておきたい基礎知識から簡単に説明します。
ワイヤレスマイクのメリット
- その名のとおりワイヤー(線)がレス(無い)なので、ケーブルを気にせずに自由に動き回れることが最大のメリットと言えます。
- PA卓からいくつかの機器を経由し、ケーブルを長く引き回した場合に発生するノイズについても最小限に抑えることもできます。
ワイヤレスマイクのデメリット
- 商品ごとに可変可能なチャンネル数があり、同一エリア内で使用できるマイクの本数が決まっている
- 使用する電波により混信のリスクがある
- 有線マイクに比べて値段が高い
- 有線マイクと違い、送信機から出力された音声信号を電波で受信機へ送って音声信号として出力するため少なからず音質に影響を及ぼす場合がある。ただし機器によって影響はさまざまなので、この点については必ずしもデメリットとは言えない
周波数帯域について
ワイヤレスマイクの送受信にはいくつかの周波数帯が使われています。それぞれの周波数帯ごとに以下のように呼ばれています。
A帯
最近はWS帯(ホワイトスペース)や新周波数帯域と呼びます。
A帯は以前770-806MHz帯域の電波を使用していました。特定ラジオマイクとも呼ばれ、使用には陸上移動局の免許が必要になります。その代わり混信する可能性は低くなるため、イベントやホール・ドームなどの大型コンサートで使用されることが多いタイプです。近年の携帯電話などの利用増加を受けて政府は電波法改正をおこなった関係上、現在はホワイトスペース帯(470-714MHz)、710-714MHz、1.2GHz(1240-1260MHz)へ移行しています。770-806MHz帯を使用した特定ラジオマイクは使用できなくなりました。
B帯
B帯は806-810MHzの帯域を使用しています。免許は必要なく、誰でも使用できる手軽さがあります。楽器店などに売られているのはこのタイプが多いです。アナログとデジタルがあり、最近は音質がクリアで、運用可能本数が多い、デジタルが主流になってきています。アナログはモデルにより、同一エリア内で最大8波、デジタルは最大で30波の同時使用が可能という商品もあります。もちろんお値段はそれ相応ですが……w
電波法の改正により一部旧規格で製造された商品は2022年12月1日以降使用できなくなることが発表されましたが、コロナ感染拡大の影響を加味し、期間は延長され、現在猶予期間中になっています。現状いつまでという期限は発表されておりませんが、旧規格の商品をご使用の方は、そろそろ買い替えを検討いただいた方がよいと思います。
新旧の規格については、下記のブログを参照ください。
↓↓↓
⇒ 今さら聞けないワイヤレスマイクの話 新スプリアス規格
⇒ 今さら聞けないワイヤレスマイクの話 新スプリアス規格 その2
C帯
C帯は300MHz帯の電波を使用するタイプです。免許は必要ありません。音質はA帯、B帯に比べるとかなり劣りますが、電波がよく飛ぶ性質を活かして店内のスタッフ同士の会話に使用するコミュニケーションシステムなどに使われます。
1.9GHz帯
1.9GHzの帯域を使用するタイプです。免許の必要が無いので誰でも使用できます。同じデジタル帯で2.4GHzがありますが、世間的によくあるBluetoothやWi-Fiとは異なる帯域なので混雑の少ない帯域です。ただし、デジタルコードレス電話やホームセキュリテイ関連の商品でこの帯域を使っているものがありますので運用時には注意が必要です。
2.4GHz帯
2.4GHzの帯域を使用するタイプです。免許の必要がなく誰でも使用できます。Wi-FiやBluetoothと同じ周波数帯域なので、近くでWi-FiやBluetooth機器などを多用していると音が途切れてしまったりすることがあります。B帯と同時に使用しても、電波の干渉をおこさないことがメリットの一つです。
電波の性質
電波は周波数(波長)が違うとその伝わり方が変わります。そのため、さまざまな目的に合うように周波数を選んで利用しています。電波は空中を直進するものですが、周波数が高いか低いかによって電波の伝わり方は大きく違ってきます。
ワイヤレスマイクで使用されている800MHz~2.4GHzは、そうした電波の中でも直進性の強い性質をもったものです。2.4GHz帯は特に広い野外でのイベントなどでその能力を発揮します。また、800MHzに関しては回り込みの性質があるので、2.4GHzに比べると遮蔽物に強い性質を持っています。NTT DOCOMOやソフトバンクの携帯端末で使用されていた「プラチナバンド」と同じ周波数帯域のため、携帯電話の影響を受ける場合があります。
音声が途切れる、いわゆる「プツプツ」とした症状が発生した際は、マイクと受信機の間や受信機付近に携帯電話が置かれていないかご確認ください。意外と携帯電話が原因となっているケースもあります。マイクを持つ人は携帯電話を持たないとか、受信機の近くにポンとおいておかないなど、対策は必要です。
デジタル、アナログの音質の違い
ワイヤレスの電波には、アナログ方式とデジタル方式があります。
アナログはコンパンダーにて入力された音を圧縮や伸長するために、入力信号に対して音色は変化します。わかりやすく言えば、肉声に近い出音です。一方のデジタル方式はFM変調せず、コンパンダーも使用しません。電波で飛ばす前にデジタルデータとなり、音声信号が形を変えることがないため音が良いのです。アナログに比べてダイナミックレンジが広いのも特徴です。
ワイヤレスマイク選定時の注意点
ワイヤレスマイクを選ぶ際には、決めておくべきことがあります。
- ■ 同一エリア内でマイクを何本使いたいか。
- 商品ページによく書いてあるのが、「同一エリア内で○波使用可能」っていう表現。これはマイクの本数のことです。まず自分と自分以外のバンドメンバーを含めマイクを何本使いたいか決めましょう。よくある勘違いが、6波って書いてあるんだから、受信機1台でマイク6本使える。というもの。実際には受信機に内蔵されているチューナーの数で決まります。現時点で、受信機1台で6本のマイクを接続できるワイヤレス受信機はありません。
- ■ 自分以外のワイヤレスシステム使用者の周波数帯域、メーカー / モデルは。
- 一般的な話としてワイヤレスマイクは同一メーカー、同一シリーズで使用いただくことを推奨しています。最近は受信機で決めたチャンネルを赤外線で送信機に送り、ペアリングするタイプが増え、メーカーの異なるマイクでは接続さえできません。また、メーカーや機種ごとに可変チャンネル数やチャンネルプランが異なり、異なるメーカーで同じ帯域のワイヤレスを同時使用するのが運用上非常に難しいです。電波を可視化できるアナライザー(100万円くらいします)があればラクチンですが、一般ユーザーとしてはそこまでお金はかけられません。
たとえば、CLASSIC PROのワイヤレスマイクを例に説明します。
CWE802Mを2セットもっていたとします。
CWE802Mは同時使用数4波ですので、2セットまでは同一空間で使用可能です。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWE802M
この時点で4人同時にマイクを使えますが、急遽、もう2人マイクを使う事になったとします。
合計同時6波なので、「同時使用数6波」の商品を選ぶ→これはNGです。
同時使用数というのは、異なる商品を混在使用するときには
「少ない方が優先されます」
よって、同時使用数4波の、CWE802が優先されるため、800MHz帯でこれ以上は増やせないという結論になります。
そういう場合には、周波数帯の異なるワイヤレスマイク(例えば2.4GHzや1.9GHz)のマイクを追加していただければよいのです。
2.4GHzや1.9GHzのマイクであれば、B帯との同時使用をしても混信の心配がありません。
CLASSIC PRO、SHURE、audio technicaなどから発売されております。
以下をご参照ください。
- CLASSIC PRO / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
- SHURE / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
- audio technica / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
以上のように、使用したい本数や使用環境などを事前に調べておくことによって、トラブルを回避することができます。
同時使用数については、以下のブログでも詳しく説明していますので、ご参照ください。
↓↓↓
⇒ 今さら聞けないワイヤレスマイクの話 ~同時使用数とは~
一般的な説明はこのくらいにして、用途別におすすめのマイクをご紹介します。
とにかく安く。マイク本数は1本でよい
AKG ( アーカーゲー ) / WMS40 PRO MINI VOCAL SET(JP1)
コストパフォーマンスに優れたB帯ワイヤレスマイク。別売りのJP2を買えば、同一エリアで2セット使用することもできます。AKG ( アーカーゲー ) / WMS40 PRO MINI VOCAL SET(JP2) と組み合わせれば、同一エリアで2本使用可能。JP1同士やJP2同士では使えないので、要注意!ボーカル、カラオケ、スピーチ用に最適。チャンネルを固定にし、機能を絞ることで、低価格を実現した商品。可変ができないので、混信の恐れのあるイベントや電波が飛び交っている場所での使用は避けた方がよいです。
最初から2本セットになっている AKG (アーカーゲー) / WMS40 PRO MINI2 VOCAL SET DUAL もあります。
マイクは2本使いたいが、コストをおさえつつ、チャンネル可変タイプがよい。
SAMSON ( サムソン ) / CR288 デュアル・ハンドヘルド
B帯ワイヤレスマイク。同一エリア内での使用数は4波まで。可変チャンネルは15あるので、4波までは安定して運用可能なタイプです。
カラオケやスピーチなど2人で使用する場面で使いたい。かつ価格も抑えたい
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWE802M レシーバー&デュアルハンドマイク
カラオケ、スピーチなどに最適。簡単設定で初めてワイヤレスマイクを使用する方にも安心してご使用いただける商品です。雑誌Sound & Recordingの2022年11月号に、レビューが掲載された商品です!
将来的には6本くらいまで使いたいが、コストをおさえたい
SAMSON ( サムソン ) / Concert 88X ハンドヘルド・システム (w/ CL6)
B帯ワイヤレスマイク。同一エリアで最大6波まで同時使用可能。B帯30波の中から自動で最適なチャンネルをスキャンしてくれる優れもの。コストパフォーマンスの高い商品です。ボーカル、スピーチの用途にお勧めです。
コストは抑えたいが、音質にもこだわりたい
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWS801M ワイヤレスセット、ハンドマイク
確かな品質を驚きの価格で提供するCLASSIC PROのB帯ワイヤレスマイク。障害のないチャンネルを自動で探すオートスキャン機能、受信機の設定をトランスミッターに転送するシンク機能を搭載。セットアップも簡単で扱いやすくて優れたサウンドを提供します。同一エリア内での使用数は6波まで。(受信機1台で接続できるマイクは1本になります。)
デュアルタイプはこちら→ CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWS802M ワイヤレスマイク レシーバー&デュアルハンドマイク
CLASSIC PRO (クラシックプロ) / CWM241S ハンドヘルドマイクセット
こちらはCLASSIC PROの2.4GHzデジタルワイヤレスマイク。
同一エリア内で同時8波使用可能。クリアでナチュラルな出音が特徴。ライブボーカルはもちろん、カラオケやトークなど多岐にわたる用途で素晴らしいパフォーマンスを約束します。
デュアルタイプはこちら→ CLASSIC PRO (クラシックプロ) / CWR242 DUAL HANDHELD SET ワイヤレスマイクセット
定番マイクのヘッドを搭載したワイヤレスがほしい
世界的な定番マイクといわれる、SHURE/SM58のヘッドを搭載したB帯ワイヤレスセット。同一エリアで同時6波まで使用可能(設置に条件有)。ボーカル用に最適に調整された、明瞭で力強い中音域特性を持ちます。
デュアルセットはこちら→ SHURE (シュアー) / BLX288/SM58
B帯ワイヤレスセット。同一エリアで同時6波まで使用可能(設置に条件有)。音質は低域がすっきりとした、中高域の抜けがよい扱いやすいサウンド。プロも愛用する定番マイクBETA58Aのヘッドが装備されたBLXボーカル・ワイヤレスシステムを、ぜひ体感してみてください。
デュアルセットはこちら→ SHURE (シュアー) / BLX288/BETA58
通信の安定した最新のデジタルワイヤレスマイクを使用したい
SHURE ( シュアー ) / GLX-D24+/SM58ボーカル・ワイヤレスシステム
SHURE/GLX-D+シリーズがおすすめです。GLX-DシリーズがGLX-D+シリーズにアップデートされて発売になりました。バッテリーが変わり、長時間駆動(約15時間)やバックアップ周波数を持つことにより通信の途切れを限りなくなくした商品です。ボーカル用定番マイクであるSM58のヘッドを搭載。
800MHzのデジタル帯を試してみたい!
SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / EW-D 835-S SET (T12)
SENNHEISERから、アナログワイヤレスevolution wireless G4シリーズの後継として発売された800MHzデジタルのシステム。アプリで管理が可能な最新機種。別売りの専用充電池により最大12時間の連続運用が可能。ライブボーカル向けのシステムで音質の良さはさすがのSENNHEISER製!同時使用数10波可能。
SHURE ( シュア ) / SLXD24+J/58-JB
24ビットのクリアなデジタルオーディオと頼れるRF性能を持つSLX-D+はライブボーカルに最適。同時使用数10波可能な優れもの。言わずと知れたマイクSM58ヘッドを搭載したデジタルワイヤレスセットです。マイクを持った瞬間の重厚感で、ぐっとテンション上がります!
多人数ユニット等で10本以上のマイクを同時に使いたい
audio technica ( オーディオテクニカ ) / ATW-1422
オーディオテクニカのSYSTEM10シリーズの後継として発売されたSYSTEM20PROシリーズ。ハーフラックサイズの受信機で4つのチューナーを搭載し4本のマイクを接続可能。
2.4GHzデジタル帯ならではのクリアな音質となんといっても最大20チャンネルの同時使用が可能なので、アイドルなど多人数ユニットでの使用に最適!
まとめますと、
| 用途 | おすすめモデル | 特徴 |
|---|---|---|
| 初心者 | AKG WMS40 | 安価で簡単 |
| カラオケ | CLASSIC PRO CWE802M | 2本同時使用 |
| 高音質 | SHURE GLX-D24+/SM58 | 通信安定性◎ |
| 多人数 | audio technica ATW-1422 | 最大20ch |
最後に
いかがでしたか?お気に入りのワイヤレスマイクは見つかりましたか?
次回もまたワイヤレスマイクについて触れながらおすすめの商品を紹介できたらなと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました。


















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