配信など形を変えながらも、世間的に音楽活動が動きつつありましたが、ほぼ以前の状況に戻ってきましたね♪スポーツ観戦などでもマスク着用ルールは相変わらずですが、声だし応援が解禁になりつつあります。声を出せるようになることで、鑑賞、観戦している側としてもより心を動かされるようになり、声を出せることのありがたさを身に染みて感じている今日この頃です。
私の担当楽器はドラムで、コーラスを入れられるほどの腕はないため、今までマイクとは無縁でしたが、バンドの事情により、ケーブルの取り回しを気にする必要のない、ヘッドセットタイプのワイヤレスマイクを使うことに・・・。
コロナの影響から、マイクは使い回しではなく、自分のマイクを持ちたいという方も増えてきています。さらに、ボーカルならばマイマイクを持ってライバルと差をつけたいと思うのは、極々自然なことです。そして、マイマイクを持ったら、「ライブで動きまわりたい」「ケーブルが邪魔」とさらなる欲が生まれてくるのではないでしょうか。そんな欲望を叶えてくれるのが、ワイヤレスマイクです!
まずは、ワイヤレスマイクを使用する際に知っておきたい基礎知識から簡単に説明します。
■ ワイヤレスマイクのメリット
- その名のとおり、ワイヤーがレスなので、ケーブルを気にせずに、自由に動き回れることが最大のメリットと言えます。
- PA卓からいくつかの機器を経由し、ケーブルを長く引き回した場合に発生するノイズについても、最小限に抑えることもできます。
■ ワイヤレスマイクのデメリット
- 電波の関係により、同一エリア内で使用できるマイクの本数が決まっています。
- 混信のリスクがあります。
- 有線マイクと違い、送信機から出力された音声信号を電波で受信機へ送り、音声信号として出力するので、少なからず音質に影響を及ぼす場合があります。ただ、機器によって影響はさまざまなので、この点については必ずしもデメリットとは言えませんね。
■ 周波数帯域について
ワイヤレスマイクの送受信には、いくつかの周波数帯が使われています。それぞれの周波数帯ごとに、以下のように呼ばれています。
◆ A帯
A帯は770-806MHz帯域の電波を使用していました。特定ラジオマイクとも呼ばれ、使用には陸上移動局の免許が必要になります。その代わり混信する可能性は低くなるため、イベントやホール・ドームなどの大型コンサートで使用されることが多いタイプです。近年の携帯電話などの利用増加を受けて政府は電波法改正をおこなった関係上、現在はホワイトスペース帯(470-714MHz)、710-714MHz、1.2GHzへ移行しています。770-806MHz帯を使用した特定ラジオマイクは、現状は使用できなくなりました。
◆ B帯
B帯は806-810MHzの帯域を使用しています。免許は必要なく、誰でも使用できる手軽さがあります。楽器店などに売られているのはこのタイプが多いです。モデルによっては同一エリア内で最大8本の同時使用ができる商品もあります。電波法の改正により一部旧規格で製造された商品は2022年12月1日以降使用できなくなることが発表されています。(※現在コロナ感染拡大の影響も加味し猶予期間が設けられています。現状いつまでという期限は発表されておりませんが、お買い換えを検討いただいた方がよろしいかと思います)
◆ C帯
C帯は300MHz帯の電波を使用するタイプです。免許は必要ありません。音質はA帯、B帯に比べるとかなり劣りますが、電波がよく飛ぶ性質を活かして店内のスタッフ同士の会話に使用するコミュニケーションシステムなどに使われます。
◆ 2.4GHz帯
2.4GHzの帯域を使用するタイプです。免許の必要がなく、誰でも使用できます。Wi-FiやBluetoothと同じ周波数帯域なので、近くでWi-Fi機器などを使用していると電波が干渉して音が途切れることがあります。B帯と同時に使用しても、電波の干渉をおこさないことがメリットの一つです。
■ 電波の性質
電波は周波数(波長)が違うとその伝わり方が変わります。そのため、さまざまな目的に合うように周波数を選んで利用しています。電波は空中を直進するものですが、周波数が高いか低いかによって電波の伝わり方は大きく違ってきます。
ワイヤレスマイクで使用されている800MHz~2.4GHzは、そうした電波の中でも直進性の強い性質をもったものです。2.4GHz帯は特に広い野外でのイベントなどでその能力を発揮します。また、800MHzに関しては回り込みの性質があるので、2.4GHzに比べると遮蔽物に強い性質を持っています。NTT DOCOMOやソフトバンクの携帯端末で使用されていたプラチナバンドと呼ばれている周波数帯と同じものです。
■ デジタル、アナログの音質の違い
ワイヤレスの電波には、アナログ方式とデジタル方式があります。
アナログはコンパンダーにて入力された音を圧縮や伸長するために、入力信号に対して音色は変化します。一方、デジタル方式はFM変調せず、コンパンダーも使用しません。電波で飛ばす前にデジタルデータとなり、音声信号が形を変えることがないため音が良いのです。アナログに比べダイナミックレンジが広いのも特徴です。
■ ワイヤレスマイク選定時の注意点
ワイヤレスマイクを選ぶ際には、決めておくべきことがあります。
● 同一エリア内でマイクを何本使いたいか。
商品ページによく書いてあるのが、「同一エリア内で○波使用可能」っていう表現。これはマイクの本数のことです。まず自分と自分以外のバンドメンバーを含めマイクを何本使いたいか決めましょう。
● 自分以外のワイヤレス使用者の周波数帯域、メーカー / モデルは。
一般的な話として、ワイヤレスマイクは同一メーカー、同一シリーズで使用いただくことを推奨しています。それは送信機と受信機を合わせることもしかり、同一エリアで複数のシステムを使用する場合にもいえます。 たとえば、SHURE社のSVXシリーズの受信機を持っていたと仮定しましょう。これを活かしてマイクを増やしたい場合には、SHURE / SVXシリーズに対応したマイク、送信機が必要になります。
◆ 対応しているハンドヘルド型マイク
次に、SHURE社のSVX288/PG58を1セットもっていたとして、歌い手がもう2人増える場合にはどうしたらよいでしょうか。
SVXでは同一エリアで3波までしか使用できないため、SVXシリーズや上位機種の同時6波使えるBLXを追加するのではなく、周波数帯の違う2.4GHzのマイクを追加していただければよいのです。
2.4GHzのマイクであれば、B帯との同時使用をしても混信の心配がありません。
CLASSIC PRO、LINE6、SHURE、audio technicaから発売されております。
以下を参照してみてください。
■ CLASSIC PRO / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
■ SHURE / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
■ audio technica / ワイヤレスマイク / ハンドヘルド 2.4GHz 一覧
※Line 6からも発売されておりますが、現在生産状況が安定しておらず一時は新規ご注文受付を停止しております。(2023年3月27日現在)
以上のように、使用したい本数や使用環境などを事前に調べておくことによって、トラブルを回避することができます。
長くなりましたが、第一回目なので、説明はこのくらいにして、用途別におすすめのマイクを紹介していきましょう。
◆ とにかく安く。マイク本数は1本でよい
AKG (アーカーゲー) / WMS40 PRO MINI VOCAL SET(JP1)
コストパフォーマンスに優れたB帯ワイヤレスマイク。別売りのJP2を買えば、同一エリアで2セット使用することもできます。AKG ( アーカーゲー ) / WMS40 PRO MINI VOCAL SET(JP2)と組み合わせれば、同一エリアで2本使用可能。JP1同士やJP2同士では使えないので、要注意!ボーカル、カラオケ、スピーチ用に最適。
◆ マイクは2本使いたいが、コストをおさえたい
AKG (アーカーゲー) / WMS40 PRO MINI2 VOCAL SET DUAL
B帯ワイヤレスマイク。同一エリア内での使用数は2波まで。固定周波数タイプ。2本のマイクを同時に使うということに特化し、必要ない機能を削りきったモデルです。用途はボーカル、スピーチに最適です。ただし、固定チャンネルのため干渉を受ける可能性のある場所では取扱いに注意が必要です。
◆カラオケやスピーチなど2人で使用する場面で使いたい。かつ価格も抑えたい
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWE802M レシーバー&デュアルハンドマイク
カラオケ、スピーチなどに最適。簡単設定で初めてワイヤレスマイクを使用する方にも安心してご使用いただける商品です。雑誌Sound & Recordingの2022年11月号に、レビューが掲載された商品です!
◆ 将来的には6本くらいまで使いたいが、コストをおさえたい
SAMSON ( サムソン ) / Concert 88X ハンドヘルド・システム (w/ CL6)
B帯ワイヤレスマイク。同一エリアで最大6波まで同時使用可能。B帯30波の中から自動で最適なチャンネルをスキャンしてくれる優れもの。コストパフォーマンスの高い商品です。ボーカル、スピーチの用途にお勧めです。
◆ コストは抑えたいが、音質にもこだわりたい
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWS801M ワイヤレスセット、ハンドマイク
確かな品質を驚きの価格で提供するCLASSIC PROのB帯ワイヤレスマイク。障害のないチャンネルを自動で探すオートスキャン機能、受信機の設定をトランスミッターに転送するシンク機能を搭載。セットアップも簡単で扱いやすくて優れたサウンドを提供します。同一エリア内での使用数は6波まで。(受信機1台で接続できるマイクは1本になります。) デュアルタイプはこちら→ CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CWS802M ワイヤレスマイク レシーバー&デュアルハンドマイク
CLASSIC PRO (クラシックプロ) / CWM241S ハンドヘルドマイクセット
こちらはCLASSIC PROの2.4GHzデジタルワイヤレスマイク。
同一エリア内で同時8波使用可能。クリアで、ナチュラルな出音が特徴。ライブボーカル、カラオケ、トークなど多岐にわたる用途で素晴らしいパフォーマンスを約束します。
デュアルタイプはこちら→ CLASSIC PRO (クラシックプロ) / CWR242 DUAL HANDHELD SET ワイヤレスマイクセット
◆ 定番マイクのヘッドを搭載したワイヤレスがほしい
世界的な定番マイクといわれる、SHURE/SM58のヘッドを搭載したB帯ワイヤレスセット。同一エリアで同時6波まで使用可能(設置に条件有)。ボーカル用に最適に調整された、明瞭で力強い中音域特性を持ちます。
デュアルセットはこちら→ SHURE (シュアー) / BLX288/SM58
B帯ワイヤレスセット。同一エリアで同時6波まで使用可能(設置に条件有)。音質は低域がすっきりとした、中高域の抜けがよい扱いやすいサウンド。プロも愛用する定番マイクBETA58Aのヘッドが装備されたBLXボーカル・ワイヤレスシステムを、ぜひ体感してみてください。
デュアルセットはこちら→ SHURE (シュアー) / BLX288/BETA58
SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / EW100 G4-935-S-JB
SENNHEISER独自のチャンネルプランにより、B帯でありながら同時使用8波使用可能なモデル。ボーカル用マイクe935のヘッドを搭載した送信機がセット。アンテナは着脱可能なため拡張性が高く、安定した運用が可能。超単一指向のマイクe945のヘッドを搭載したセットは以下になります。
→ SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / EW100 G4-945-S-JB
◆通信の安定した最新のデジタルワイヤレスマイクを長時間使用したい
SHURE ( シュアー ) / GLX-D24+/SM58ボーカル・ワイヤレスシステム
SHURE/GLX-D+シリーズがおすすめです。GLX-DシリーズがGLX-D+シリーズにアップデートされて発売になりました。バッテリーが変わり、長時間駆動(約15時間)やバックアップ周波数を持つことにより通信の途切れを限りなくなくした商品です。ボーカル用定番マイクであるSM58のヘッドを搭載。
◆ 多人数ユニット等で10本以上のマイクを同時に使いたい
LINE6 (ライン6) / XD-V75 Handheld
最大120dB以上のダイナミックレンジを備えた2.4GHzのデジタルワイヤレス。同一エリア内で最大14波使用可能な優れもの。それでいて設定は非常に簡単。マイクモデリングという贅沢な機能もついています。人気の高い10種類のマイクモデルを搭載していて、マイク上のボタンを押すだけで自分の声にあった最適なモデルを選べます。ボーカル向きのこのマイク、ぜひお試しください。この商品については下記のブログも参照ください。
→ 関連記事『おススメのワイヤレスマイクを語る ~Line 6/XD-Vシリーズ編~』
■ 最後に
いかがでしたか?お気に入りのワイヤレスマイクは見つかりましたか?
次回もまたワイヤレスマイクについて触れながらおすすめの商品を紹介できたらなと思っています。最後までお読みいただきありがとうございました。