
こんにちは
最近、サブスクでゴダイゴを聴いたのがきっかけで銀河鉄道999アニメ全113話と劇場版を見た者です。
アニメ版のささきいさおさんのOP曲も最高です。
さて、前回 はピックアップの仕組みや構造、また磁界の乱し具合でエレキギターの音色が変化することについて説明させていただきました。これでピックアップが音を生み出す仕組みについてはざっくりとご理解いただけたかと思います。
ところで、ピックアップにはそれぞれ音質がありますよね。
例えば SEYMOUR DUNCAN / SSL-1 は煌びやかな高音域が特徴でクリアなトーン。
SEYMOUR DUNCAN / SSL-3 なら強力なミッドレンジにウォームなトーンみたいな感じです。
今回は上記例のような音色やキャラクターの違いについて説明させていただきます。
ピックアップの音色をきめるのには様々な要因がありますが、代表的なモノを挙げますと4つあります。
磁石の種類、ポールピースの大きさ、コイルの巻き数、コイルの形です。
他にもエナメル線のゲージや巻きのテンション、エナメル線の塗料の種類、ワックスの種類などもありますが、ちょっとマニアックすぎるので今回はとくに代表的なこと4つについて説明させていただきます。
○ 磁石の種類
弊社のピックアップのページを開き商品紹介を見ているとアルニコ2や3、フェライトみたいなことが書いてあります。
これが磁石の種類なのですが、正直言って何が違うのって感じですよね。
基本的に磁石にはアルニコとフェライト(セラミック)があり、アルニコはアルミ、ニッケル、コバルトなどの合金で素材の頭の文字をとってアルニコと呼ばれています。
フェライトは粉末の鉄化合物に高温高圧で焼き固めたもので材質にはバリウム、ストロンチウム、鉛などが使われています。
で、商品紹介のマグネットの部分にはアルニコ5のように番号が振られています。
このアルニコ磁石の番号の違いですがこれは磁束密度と保磁力が変わり、ピックアップで用いられる2~5では4、3、2、5の順に磁束密度が高いです。
磁束密度とは空間内の曲面を通り抜ける磁場の流束の事でこれが強いと磁石のくっつく力が強いわけです。
ちなみにこの磁束が強いほどピックアップの出力が上がります。
比べてみると一番弱いアルニコ4の磁束密度が560G程度、5は1280G程度ですので数字上は約2倍パワーが違いますね。
保磁力は書いて字のごとく磁力を保持する力の事です。
磁力の保持ってなんだよ、アルニコは永久磁石じゃないの?と思ったそこの方、鋭いですね。
アルニコは永久磁石の部類に入るのですが実は使用時間と入力パワーに応じて磁力が減衰するのです。
未使用の状態でも10年間に5%以上の磁力が減衰しています。
ですので、ギターをずっと弾いていると音が変わる、ビンテージ特有の枯れた音というのにはピックアップの磁力も大きくかかわっているのかもしれませんね。
音色についてはピックアップによく使われるアルニコ2はミッドレンジよりのウォーム音質、アルニコ5はブライトで艶のある音質が特徴ですね。
フェライトについてですがこちらもアルニコと比べ磁束密度と保磁力が高いのが特徴です。
つまりアルニコより高出力で高寿命、加えて腐蝕に強いです。
個人的にはハイパワーやモダンなトーンを謳っているピックアップの素材として用いられる事が多い印象です。
また、フェライトは生産性が高いので安価なピックアップに用いられる事も多いです。
ですので、少し抵抗のある方もいらっしゃるかと思いますが、フェライトの音色はアルニコと比べ高音域の伸びが良いのが特徴なので、高音域がもっと欲しいという方はフェライトピックアップを試してみるのも良いかもしれませんね。
○ ポールピースの大きさ
これも音色にかかわる大きな要素です。
こちらは結論から申し上げますとポールピースが大きいほど出力が上がり音色も太くなります。
ポールピースが大きくなればその分磁界も広がるので、結果的にポールピースが小さいものより大きなパワーが得られるわけです。 この商品を見ていただければそれも納得かと思います。
どちらも高出力と言えばこのピックアップが出てきますね。
ちなみに SEYMOUR DUNCAN / SHR-1 などで知られるレールタイプのポールピースも磁界が広がるため高出力の傾向にありますね。
○ コイルの巻き数

ポールピースの周りをぐるぐる巻きのエナメル線、いやこれ何周してるの?って感じですよね。
一般的にはシングルコイルで大体6500~8000、ハムバッカーですと片側で5000~7000とされています。
結構多いですよね。
現在は機械にセットして2分程度で終わる作業ですが、エレキギターが世に出始めた1950年代はなんと手巻き、自分が作業員だったら途中でアーってなっちゃうかもです。
で、この巻き数が変わると音はどうなるのか基本的には少ないと出力は小さくなり、巻き数が多いほど出力は上がっていきます。
だったら巻き数は多い方が良いように思えますが巻き数が増えると出力が上がる分、高音域が減退します。
そして巻き数が多すぎれば逆に出力が下がってこもった音になっていきます。
何事もちょうどの数値があってバランスが大切ということですね。
○ コイルの形
コイルの形と言いますと細いシングルコイルから大きく平たいジャズマスターピックアップに2つの中間くらいの大きさのP90と様々ですが、これも見た目だけでなく大きく音色に関わる部分です。
音色的にはコイルの巻き数が同じ場合、縦長の方が高音域が強調され、平たい方は低音域が強調される傾向にあるといわれています。
だったらP90よりジャズマスターピックアップの方がローの効いた丸い音になるのでは?
ですが実際はP90よりジャズマスターピックアップの方が高音域が際立ったジャキッとした音ですよね。
これにはまた別の理由がありましてそれは磁石の仕込み方です。
ジャズマスターピックアップはポールピース自体が磁石なのに対しP90はポールピースを下の方で挟み込むように磁石が配置されています。

これにより磁界の大きさに差が出るのでP90より幅広のジャズマスターピックアップの方が高音域が強調させるというわけですね。
ちなみに一般的なハムバッカーは写真のように入っています。

少し話はそれましたがコイルの形についてはこんな感じです。
今回はピックアップの音色に大きくかかわる4つの事
磁石の種類、ポールピースの大きさ、コイルの巻き数、コイルの形
について説明させて頂きましたがいかがでしたでしょうか?
今回の内容に関しましてはあくまで商品を選ぶ時の目安や参考程度にしていただければと思います。
ピックアップの音色にかかわる要素は個々で沢山あっても最終的なところは組み合わせによる総合力ですし、お客様に変な先入観をあたえてお買い物の邪魔をしてはいけないかなと思いますので。
結局のところはご自身の耳で体感して頂くのが1番ですからね。
すこし投げやりな締め方ですが、このブログを読んで下さった方たちの音楽ライフに少しでも彩を添えることができたらなと思っております。
それではまたサウンドハウススタッフブログで会いましょう。
さようなら。