先日、iZotopeより最新鋭のボーカルプラグイン「Nectar 4」がリリースされました。Nectarは2010年に登場して以来、プロのボーカルミックスを完成させる世界最高レベルのプラグインとして世界中のスタジオを席巻してきました。今回はそんなNectarの最新版であるNectar 4を実際に触れてみて、新機能をメインに徹底レビューしていきます!ちなみに筆者は前バージョンのNectar 3を少し触れていますが、3でも素晴らしい機能が多数搭載されていたのに、あれから更に進化したとなると…ワクワクが止まりません!
さっそくですが、まずはNectar 4の新機能からご紹介!
— 公式サイトより引用Audiolens Referencing
どんな音声も参照
【全エディションに搭載】
AudiolensはNectar 4と互換性があり、あらゆるボーカルサウンドのトーンマッチが可能です。リファレンストラックからボーカルを分離し、ミックスの出発点を作るための貴重な情報を得ることができます。Voices Module
心地の良い調和
【全エディションに搭載】
簡単かつ即座にボーカルレイヤーを作成: 『Voices』モジュールを使えば、ボイスリードやハーモニックモーションを学習させることなく、あなたのボーカルプロダクションに複雑なレイヤーを加えることができます。求めているサウンドに近いプリセットを見つけて好みに合わせて微調整しましょう。Auto-Level Module
一貫性のあるボーカルを即座に
【Advancedに搭載】
ALM(『Auto-Level』モジュール)は、インテリジェントで透明なコンプレッサーに代わるモジュールです。シグナル・チェーンの最初に配置することで、レコーディングエンジニアのように機能し、ボーカルレベルを簡単に制御してくれます。ALMの『Tame Noise』機能は、ボーカルコンテンツの歌唱部分とそうでない部分を区別し、トーン要素のみをレベル調整します。これにより手動で音量を自動調整する必要がなくなり、時間と労力を節約することができます。ALMは従来のコンプレッサーのように不要なアーティファクトを発生させずに、一貫した音量レベルを提供し、クリーンで自然なサウンドを実現してくれます。13 Component Plugins
独自のチェーンを構築
【Advancedに搭載】
Nectar Advancedには強力なプラグインが付属しています。NectarのパワーをDAWのテンプレートと連結して、プロダクションの全てのボーカル用に独自のチェーンを構築しましょう。Backer Module
今日は誰がサポートで歌ってくれる?
【全エディションに搭載】
『Backer』モジュールを使えば、メインボーカルの後ろに人工的なバックシンガーを作成できます。8種類のスタイルの中から選ぶか、自分のアカペラをインポートしてサウンドをさらにカスタマイズしてみましょう。様々なボーカリストを使ってデモを仕上げたり、アドリブトラックをクリエイティブに壊してみたり、まったく新しいサウンドを作ることもできます。 *英語でのみ正常に動作します。Vocal Assistant
アシスタントを頼ろう
【全エディションに搭載】
『Vocal Assistant』は、ボーカルミキシングの細部で迷うことなく、ボーカルプロダクションに対してシンプルかつ実効的な決定をするために必要な、幅広いインターフェイスを提供しています。
こんなに沢山…(ゴクリ)
でも使ってみないと、分からない。ということで実際に使ってみたのですが、できることが本当に多彩で、スゴ過ぎて……。細かく触れていくと書ききれない量になってしまうため、今回は中でも分かりやすく効果があった、素晴らしい機能を幾つかご紹介します!
01 使いやすく見た目もシンプル!Vocal Assistant機能

Nectar 4を使うにあたり、おそらく一番使う機能で、一番わかりやすい機能です。使い方は至ってシンプル。まずはプラグインをボーカルに挿し、Nectar 4の上にあるアシストボタンを押してトラックを再生。するとAIが自動で読み込み、ボーカルに適した処理を施してくれます。あとは個別にパラメーターを好きなように弄るだけ。各パラメーターもわかりやすく、左下は空間処理(リバーブ、ディレイ)などの調整。左上のSHAPEはAIが自動で設定したEQのかかり具合の調整。右上のINTENSITYはコンプの掛かり具合。右下のVOICESはハモりの種類やかかり具合を変えることが可能。ちなみに真ん中上部はハモりを生成する際のキーの設定やボーカルの質感(暗めや明るめ)といった調整が可能。概ねここの項目を弄るだけで、かなーりボーカルが一段階グレードアップします。
試しに私もボーカルのデータを通してVocal Assistantにて調整したところ、下記のような感じになりました。
■ Before
■ After
誰が聴いてもわかるレベルで、ボーカルの空間や抜けが良くなったのがわかると思います。時間も全然掛けてないのに、たったこれだけで……。ちなみにNectar 4はAudiolensと互換性があるため、予め好きなボーカル曲を予め読み込ませておいて、そのボーカルのミックスに近づけるようAIが処理してくれたりもします。もはやスゴすぎてAIが怖くなるレベル。
02 ボーカルレベルを簡単に制御!Auto-Level Module機能

分かりやすく言えばここはボーカルの音量のバラつきなどを一定に保ちつつ、ブレスノイズや不必要な部分を削除してくれる機能。これ、何気にかなり優秀で。コンプとかに頼らなくてもこのAuto-Level Moduleがあればいい感じに調整出来ちゃいます。もちろん、手動だけではなく、この部分もLearnを押せば自動でAIが認識して適切なレベルに整えてくれたりするので、難しいことは一切なし。ボーカルミックスをする初心者~熟練コンポーザーまで重宝するとっても便利な機能だと思います。すごいよNectar 4。
03 多彩なハモりとバックシンガー!Backer Module機能

見た目も特徴的なBacker Moduleはハモりやバックシンガーを付けることはもちろん、8種類のスタイルから選んで多彩なボーカルミックスが可能。実際にこれは聴いてみてくれた方が理解できるかと思うので、下記をチェック。
実際には歌ってないのに、Backer Moduleを使うだけでここまでできちゃいます。使い方としては曲の感じや個人の方向性によるかもしれませんが、メロディやパートによって一部掛けてみたり、飛び道具としてボーカルFXを作るときに掛けてみたりすると面白いかもしれません。個人的には後者のボーカルFXとか作る時に、ゴリゴリに掛けてみて遊んでみると楽しそうだなぁと思ってます。
最後に、調整して実際にボーカルと合わせたのがコチラ↓
さて、如何だったでしょうか。まだまだ多彩な機能が満載なNectar 4ですが、触れてみると難しい操作もなく、シンプルにボーカルのミックスを楽しくできるプラグインだなぁと思いました。ただ、楽しいだけではなく各機能の品質も素晴らしいので、正直Nectar 4があればボーカルミックスに困ることはないでしょう。最新鋭のAI技術を用いたNectar 4、超おすすめのボーカルミックスプラグインです!