このブログをお読みいただいている皆様にはもうおなじみとなったこの画像、そうGeorge Martinの直筆によるYesterdayストリングスパートのスコアです。

Yesterday [1965年6月17日ビートルズのレコーディングのためにGeorge Matinによりアレンジされた弦楽四重奏のスコア]
この画像から楽譜浄書ソフトに書き写し(入力)をして、MIDIファイルで音を鳴らすところまでは第3回までで何とかたどり着きました。現代ではMIDIファイルさえ手に入ってしまえばDAW、高品位音源、様々なプラグインを駆使してPCの中で相当なクオリティのものを作れてしまうはずです。世界中に相当な数の「Yesterday」があってストリングスパートを完全再現したものも探せば見つかることでしょう。
話はそれますが、先頃リリースされたビートルズ最後の新曲「Now and Then」もAIと最新の録音、編集技術を駆使して完成されたものです。それでもストリングスのパートは新たな録音ですし、じつにビートルズらしい弦のアレンジになっています。AIで抽出した、という前情報を耳にしていなければ、ジョンレノンの声はマルチトラックのマスターテープに音源が残っていた?と思わせるようなクオリティですし、本当にすごい時代になりました。
何年かすればスマホのアプリにさえこの技術が使えるものが加わることでしょう。
さて本家には到底かなわないとしても、私達はYesterdayのストリングスパートを、シーケンサーも音源も置いといて「楽器で 楽譜を見て 自分で弾く」という試みを始めました。あなたの中にかつてこの選択肢は存在したでしょうか?

※再生にはそれぞれの端末の環境が影響します
楽譜の画像を眺めながら、音を聴く、それだけでも意外に楽しいものです。でもそれも何回か聴いておしまいでしょう。さあいよいよ楽譜を読んでみましょう。ていうか読める?
ハ音記号として一般的なアルト記号は五線譜の第3線が「ド」の音になります。
ハ音記号
一般的に使われることの少ないハ音記号は、中央ハ音(C音)の位置を示すものですが、譜表のいろいろな線上に置くことができます。現在はそのうちアルト記号とテノール記号の2つが使われます。
アルト記号は、第3線上にある音符がハ音(C音)であることを示し、ヴィオラやまれにトロンボーンの高音域のために使われています。テノール記号は、第4線上にある音符がハ音(C音)であることを示し、チェロ、ファゴット、トロンボーンなどの高音域のために使われています。

へ音記号は記号の書き出しの第4線が「ファ」の音なので「ド」の位置は画像の説明の様になります。

これを覚えれば楽譜の中の音程は一応確認できると思います。そしてYesterdayの楽譜の冒頭を見ましょう。元の画像からトリミングしたので画質が荒くて申し訳ありません。

これを見ると最初の1小節目は全音符で、1st バイオリンは「ラ」2nd バイオリンは「ファ」ビオラ「は「ド」チェロは「ファ」ということが分かります。
これはギターで言えばF,A,DつまりFメジャーの構成音に他なりません。
2小節目は2分音符の一音目が1st バイオリンは「ラ」2nd バイオリンは「レ」ビオラは「シ♭」チェロは「ミ」です。これは従来Yesterdayのコード進行の通説であるEm7とは少し異なりVAのシ♭が作用してデミニッシュ風の響きになっています。だからと言って、ここで理論を持ち出して分数コード表記をしてもあまり意味は無いと思うのでここはこういう音、としておきます。ただこのシ♭を入れるところがやはり普通ではない感じを受けます。
2音目は1st バイオリンは「ミ」2ndバイオリンは「ド♯」ビオラは「ソ」チェロは「ラ」です。これはA7でコード進行通りでしょう。
たった2小節ですがこうやって順を追っていけば楽譜を読むことはできそうです。 それにしても2小節目最初の不思議な響き。ビオラのシ♭というEm7コードの中に含まれない音を混ぜることであのYesterdayの冒頭の独特の奥行きが生まれているのかもしれません。音としてはEm7における♭5thになるわけですがこれが弦楽カルテットで響かせるとあの響きになる、という事なのでしょうか。
Yesterdayが解説される時、「この曲は一音下げたギターを「ビートルズG」と通称呼ばれる2弦3フレットのレを加える押さえ方で弾くんだよね」、という話をよく聞きます。
そしてそれを歌うご本人はやおら目をつむり、あごを突き出して「Yesterdayい~」とご機嫌です。
今回ストリングスパートを探求してみる、と思い立って最初の2小節で、もはやそうした今まで教わったありがたいうんちくは霧消して、オリジナルの音源の響きの美しさだけが頭の中に回り始めました。これは続ける価値がありそうです。
ここまでくればそろそろ楽器を手にして準備を始めましょう。いよいよ楽器が必要になりますよ!
いつものご案内となりますがこのブログの内容を完結させるためにはバイオリン、ビオラ、チェロが必要になります。カルテットですが多重録音をするわけなのでバイオリンは一つあれば足ります。
例えばPLAYTECH / PVN244SET(バイオリン)、PVA255(Viola)、PVC244(チェロ)これらを全部一度に購入しても、7万円ちょっとで済むのです。
PVN244バイオリンセットに至っては1万円台です。アマ〇ン、ヤ〇オク、メ〇カリで5,000円のを買うよりずっと安心な楽器が届きます。悪いことは言いません、これにしてください。
第5回は「Yesterday ストリングスパートを弾いてみる。どこ押さえる?」です。楽器が必要になりますよ。今すぐお買い求めください!!できればカルテット、揃えちゃいましょう。