さて、今回は番外編ということで、口休め程度の難易度であるナチュラルプレゼンスボリュームを制作する。
PUから出た信号を、ダイレクトにアンプへ入力できるようにしたボリュームコントロールだ。
各メーカーから様々な名称で販売されているようだが、元になっている回路はYAMAHAの「ダイレクトサーキット回路」であることは疑う余地はない。設計は古いが、それだけ優秀な回路なのだ。
簡単にどのような効果があるのかを説明する。
PUから出た信号はセレクタースイッチを通りボリュームで音量を増減されアウトプットジャックに向かう。
この時、ボリュームポットを通過するとボリューム全開でも信号の5%~15%は無くなる。
嘘だと思うだろうが事実。
全体的な音量が下がる訳ではないが高い周波数の音が減衰する(じつは全体の音量も下がっているが、音質の変化よりも分かりづらい)。
そこで、考え出された回路がこれである。
(通常と同じボリューム操作ができるが、ボリュームを全開にするとホット~アース間の抵抗が無限大になる。そのためPUからの音質が一切劣化しない)
正に天才的な発想で高周波数の劣化を防いでいる、すごい!
実際にこの回路をマウントしたギターを何度も弾いているが、大変効果が分かりやすく実用的だ。
今回買わなければならない部品は一つだけ。
500KΩAカーブ2連ボリュームだ。
この部品1個であなたのギターサウンドは激的に変化する。
では簡単な、いつもの見苦しい手書きの回路図を……

解説すると、まずPUからの信号は最初に2連ボリュームの3番端子に入力される。
そして真ん中の2番端子から出力されてアウトに向かう。
しかし、アウトに向かう信号は2連ボリュームのもう一つの2番端子にも繋がっていて、そのボリュームの1番端子はアースに落ちる。
ここまでは普通のボリュームと同じ。
この回路はもう一工夫必要だ。


ポットの抑え部分を慎重にニッパーで開き、抵抗体をはずす。

次に外した抵抗体に切れ目を入れる。
表面を軽くカッターの刃で切り離す感じだ。
抵抗体が両端導通しなければOKだが、強くやりすぎると切れ目に盛り上がりができて端子が引っかかる。軽くでOKと思う。
切り込みを入れたら元のようにボリュームを組み立てて完成。
配線図はこうだ。

一応500KΩAカーブを指定したが、1MΩ~250KΩまで使用できる。
ハムバッカーPUで250KΩを使用するとボリューム全開時にいきなり高音と音量がドンっ!!と出るのでやはりここは常道のハムに500KΩ、シングルに250KΩが良いだろう。
ちなみにEMGなどのアクティブPUには効果は薄い。
元々ローインピーダンス出力で劣化が少ないため、最初からプレゼンスの効いた音が出ている。
安価なポットでも充分な効果が期待できるのであえてポットのメーカー指定はしない。
これで初めてあなたは自分のギターの本来出るべき音を確認できるだろう。
騙されたと思って作った方が良い。
ギターの神様も、じつはストラトの中に同じ原理の回路を入れているのだ(本当!!)。
ではまた!!