ハンディキャップって何だろう。
自分の好きな仕事がしたい。でも、好きな職場を選ぶことも難しい。
こんなことはあってはならないと感じている。
共存という言葉は好きだけれど、そんなふうにできない場合もある。させてもらえないときさえある。わたしは健常者という言葉も障がい者という使い分けのようなニュアンスも好きではない。
女川ショールームで無料音楽教室の講師をしていると、素敵な出逢いがたくさんある。
例えば、近所の保育所の子供たちがショールームに遊びに来てくれて、楽器を楽しそうに触っている。奏でるというよりは、楽器と遊んでいってくれる。
そんなご縁がきっかけで、クリスマス会に招かれミニコンサートを開き、先生方や、子供たちと一緒に大盛りあがり。こんな風に、どんどん楽しいイベントができればいいなと思っている。
第二弾として女川にある支援学校や、石巻市の支援学校でも出張音楽教室を開催したいと考えている。音楽を通して楽しい時間を増やしていきたい。それは個々の自己肯定感を高めていくことができるから。もちろん豊かな心も育っていく。音楽の持つ力は偉大なのだ。
わたしは障がいを理由にいろいろな事をあきらめてほしくはないと思っている。
まさに仕事選びもそうだ。
だけど働ける場所が少ない地域では選択肢が極少ない。
「音楽のまち女川」をテーマにサウンドハウスはさまざまな方面から取り組みをしているが、わたし自身、もうちょっと欲張ってみたいのだ。
音楽療育や、リトミック等を行うことで生徒さんの心の安定に必ず繋がっていく。それが彼らの就労につながっていくような形を夢に描いている。
「就労継続支援B型」という言葉をご存じだろうか。
障がいのあるかたが一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、雇用契約を結ばずに軽作業などの就労訓練を行うことが可能な福祉サービスのことをいう。
もちろん、その先にある就職を目指すステップにもなる。
わたしの夢は、サウンドハウスの中にその仕組みを取り入れ、本当の意味での共存を目指せたらということ。
実は、わたし自身、突然病に倒れ重度の障がいを持ってしまった息子の現実を受け入れることに、時間がかかってしまった。どうして気がついてあげられなかったのかと自分を責めることで自分自身の心を安定させようとしていた気がする。
その時の自分のやるせない心を、凍りついてかたくなになってしまった自分の心の扉を、少しずつ開いていってくれた支援学校の先生、ドクター、看護師さん、そして同じようにハンディキャップをもつお子さんのママたちに、なにかの役にたちたい。あの時の自分のように一緒に泣いて笑って側にいてくれた人たちのような存在に私もなりたい。
私は、天国にいってしまった息子のことを「大変だったであろう」とは思うが、彼が「かわいそうな子供だ」と思ったことはない。
それはたくさんの人に助けられ、愛され、いつも誰かの腕の中に抱かれてニコニコしていた息子を毎日見られるようになった時から、この子はこんなに愛されて、幸せだなと思えるようになったから。
ハンディキャップを持つということ。それはみんなと少しどこかが違う。友達に理解してもらうまで時間がかかる。ただそれだけなのだ。だけどそれが一番むずかしい。
そんな彼らの中には、それぞれ症状が違うし、原因もさまざまだけれど、就労したいという気持ちを持ってはいるが叶わなかったりする人がたくさんいる。
そんな相談をうける度に、なにか自分にできることがないかと、ずっと思っていた。それは、息子がハンディキャップを持った時からずっと変わらない気持ち。
そんな思いから、サウンドハウスの中で仕事を学んだり、その後、就職できたりしたらどんなに素敵だろうと思うようになった。
時間もかかるし、簡単ではないとわかってはいるがチャレンジしてみたい。
「女川」の保育園、小学校、中学校、支援学校を音楽のちからで包んでいきたい。
人が優しさであふれる女川町にしていきたい。そのために自分たちに何ができるか日々考え実行していきたいと考えている。
つづく
次回は~音楽の持つ力~