2019年にサウンドハウスの地域活性企画『YOITOKOプロジェクト』で取材させていただいた、一般社団法人ウクレレサポート協会(通称:レレサポ)の代表山本さんより、創立10周年の記念コンサートにお招きいただきました!成田を飛び出しいざ東京へ。
2019年の『YOITOKOプロジェクト』取材の様子はこちらから
YOITOKOめぐり旅 Vol.11 岩手県宮古市 起こせ!ウクレレムーブメント!漁師町に響くウクレレの音色

会場は東京丸の内にあるCOTTON CLUB。極上の音楽と、美味しいお酒や食事が楽しめる大人のためのライブ・レストランです。
大きな2つのシャンデリアと赤を基調にしたゴージャスな空間に圧倒され、気が付いたらドリンクとカルパッチョがテーブルに……。どうやら「せっかくだから」の魔法にかかってしまったようでした。(とっても美味しかったです)
開場から1時間。会場のライトがゆっくり落ちると、本日の主役、ウクレレ奏者のKYAS(キャス)さんが拍手に迎えられステージに。

少し感極まった様子で「嬉しいです」と一言。今夜は、アコーディオン・ピアノに秦コータローさん、タンバリンには「ガチタンバリン奏者」として有名な大石竜輔さんの3人編成。
ライブは、軽やかなナンバー『夕暮れカーニバル』からスタート。客席からは自然と手拍子が沸き起こります。
2曲目は『クローバーライト』。ウクレレとアコーディオンのアンサンブルが美しいオーガニックで心地よい楽曲。KYASさんの手元からは、1本のウクレレから出ているとは思えない数の音が繰り出されます。
KYASさんが持つウクレレはテナータイプ。おなじみのウクレレの音より低く迫力のある音色が得られるのでソロで弾く人向きのウクレレです。
「この3カ月間、すごくドキドキでした。でもあのときやるって決めてよかった。」
今回の公演はもともと2月に予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止の危機に。悩みに悩んだ末、多くの人に背中を押され中止ではなく延期という選択をされたという経緯がありました。
「でも、その間に新しい作品ができました!」
3曲目は、この日発売となったアルバム『Lemongrass strummers』の中から、賑やかな常夏ソング『TICO TICO』を披露。妖艶なラテンの雰囲気とリズミカルな軽快さを併せ持つニクい曲。ウクレレってこんなに色っぽい表現もできるんですね!

「明るいニュースが少なく暗い夜を過ごしているよう。そんな中でも前向きになれるような、朝になる前の色をイメージしたらこんな曲名がつきました。」
制作エピソードとともに紹介された4曲目、こちらもニューアルバムから『Blue night』。
歌うようなテナーウクレレの豊かな音色、寄り添うようなアコーディオンと導くようなタンバリンの打音が、顔を上げる力を与えてくれるよう。
「(この曲も)楽譜書こうかな。」
ウクレレを弾いているお客さんも多いのか大きな拍手が。
KYASさんのサイトでは、ご自身が編曲したオリジナル曲、カバー曲の楽譜を販売しています。興味のある方はGETしてみてはいかがでしょう?

一発録りでレコーディングしたというのはセッションの定番曲、チック・コリアの『SPAIN』。ウクレレ×ピアノ×タンバリンの編成。
ハワイじゃなくてスペインです。そこには、みんなが知ってるほのぼのとしたウクレレの姿はありません。上でも書いたように、テナーの色気ある音色はラテンの香りがプンプン!ピアノの強い音にも負けないパワーも持ち合わせています。ちなみにこちらもアルバムに収録されていますよ!
「次はウクレレ奏者らしくソロをやろうかな。」
きのう拠点である高知から上京したというKYASさん。「高知の海を見ながら書いた」というのは『Kailua sunset』。ソロならではのたっぷりの余韻が、波音のように心地良く押し寄せてきます。

ここでスペシャルゲスト!
KYASさんのバンド『Song sparrow』のボーカルさっちんさんが参加!
「彼女と一緒に音楽をしていなかったら僕はウクレレを弾くこともなかったかもしれない。」
「ちっちゃいカフェでお客さんが全然いないところで一緒にやっていた。」
そんな戦友のような仲間を迎えて演奏されたのは、ライブでは初披露という『bloom』。
一昨年、地元の銀行からイメージソングとしてSong sparrowの歌を起用したいと声がかかったことをきっかけに活動を再開、新たに作ったという1曲。
透明感のあるさっちんさんの歌声と、ボーカルと絡むようなウクレレのメロディ。ソロとはまた違った存在感。
日経新聞の社歌コンテスト全国大会で「思いが伝わるで賞」も受賞したとのこと!高知県ではCMでも流れているそうですよ。


「どうですか!?秦さん」
「めちゃくちゃ楽しいし、(感極まるKYASさんを見て)俺もウルっときて……」
アコーディオンとピアノを行ったり来たりして、曲をふくよかに包み込む秦コータローさんの演奏。
5年前に高知で行ったライブにも参加したメンバーとのことで、再び音を重ねられたことにKYASさんはとても嬉しそう。次回の出演もステージ上でしっかり打診していました。
「よくわかっていないと言えばですよ、大石さん!」
「わりと普通の人です。」
いろいろなライブを経てきたけれど、この会場の雰囲気に緊張しているというタンバリンの大石竜輔さん。KYASさんとの共演ははじめてとのことですが、軽快なトークで会場を沸かせていました。
大石さんはガチでタンバリンのみ!ひとつのタンバリンで何役こなしているんだろうという脅威のテクニックで、すべてのリズムパートを演奏されています。
そして手元のテーブルには楽器用のマイクがつながったミキサーが。お話を伺ったところ、本日の機材はほぼサウンドハウスでご購入いただいたとのこと!ご利用ありがとうございます!
さっちんさんを交えてもう1曲。
「このテーマが今の気持ちにピッタリやな!」
8曲目は盛り上がり間違いなしのジャパニーズラテンナンバー『風になりたい』。間奏は長めのタンバリンソロ。手拍子に煽られるように昂っていくテンションにじっとしていられなくなります!

「肉のいい匂いがしてきたので、アレいきますか!?」
始まった曲は、まさかの『ジンギスカン』。ウクレレのライブでチョイスされる曲だろうか!?そんな疑問をよそに、さっきまでラテンの色気を醸していたウクレレとアコーディオンが、今は草原を馬が走る画を見せてくる……!なんという躍動感!
演奏の仕方でモンゴルの弦楽器風にも聴かせられるってすごいですよね。COTTON CLUBでタオルが回る光景もすごかった……。ちなみにこの曲もニューアルバムに収録されています♪
雰囲気をがらりと変えてお次の曲は『木漏れ日NOTE』。編成はウクレレ×ピアノ×タンバリン。跳ねた感じが可愛らしい曲。カフェでぼんやりしながら聴きたいなあ。(楽しみ過ぎて感想のメモがだんだん私的なものに)
セットリストの振り幅に翻弄されていると、
「次の曲で最後になるんですよ!」
えー!!お客さんと一緒に愛を込めたブーイングを発射。もっと聴いていたい!
「止まった時計が動き出したような。皆さんのおかげでまた新たに一歩を踏み出せそうな、そんな気持ちになりました。今日は本当にありがとうございます!」
と、感慨深げに客席に感謝を伝えていました。そして、
「あの曲をやってないんですよ!」
お客さんも待ってましたの反応で始まったのは『COFFEE RUMBA』。お色気全開!大フィーバーのうちに本編が終了。
間髪入れずに沸き上がったアンコールに応えて、ウクレレソロ曲『ひだまり』を余韻たっぷりに演奏。
そして再びメンバーをステージに呼び込み
「最後は元気な曲でお別れしたいと思います!」
客席から「やったー!」の声が上がる人気曲『Sunnysha』で幕を閉じました。
このライブで思ったのは、ウクレレってこんなにたくさんの表現ができる楽器なんだということ。コロナ禍で、おうちで気軽に弾けるウクレレを始めた方もいらっしゃると思いますが、あなたの手にした楽器はいろんな演奏ができるとてもおもしろい楽器ですよ!
ご自身も活動10周年というKYASさんのライブや動画を見てみると、もっと興味が沸くかもしれません♪

LeLeSaPo 10th Anniversary
KYAS Special Live UKULELE ROAD 2022
2022年5月10日(火)
COTTON CLUB(東京)
《出演》
- KYAS (ukulele)
- 秦コータロー (p,acc)
- 大石竜輔 (tambourine)
- さっちん (vo)
《セットリスト》
- 夕暮れカーニバル
- クローバーライト
- TICO TICO
- Bule Night
- SPAIN
- Kailua sunset
- bloom(Song sparrow)
- 風になりたい
- ジンギスカン
- 木漏れ日NOTE
- COFFEE RUMBA
- en1.ひだまり
- en2.Sunnysha