初めてのマイク選びは、製品知識もなく、どうしていいか分からないですよね?
ただでさえ分からないのに、コンデンサーマイク、ダイナミックマイクに違いがあるって言われても意味がわからない・・・という方も多いのでは?
ということで、今回はコンデンサーマイク、ダイナミックマイクの基本的な知識、選び方について紹介していきたいと思います。
目次
マイクの仕組み
ダイナミックマイク、コンデンサーマイクの仕組みについて紹介します。マイクの性能や使用方法に関わる部分なので、ここを理解しておくことは重要です。
コンデンサーマイク
ダイアフラムという金属の薄い膜に電気を貯め、音に反応することによって膜の電圧が変わり、それを信号として出力します。そのため、マイクへの電源供給が必要となります。
ダイナミックマイク
コンデンサーマイクと同じようにダイアフラムがあります。ダイナミックマイクではこちらにコイルがつけられ、すぐ近くに磁石があります。ダイアフラムの振動がコイルに伝わり、コイルの動きによって生じた電気信号が出力されます。一般的にダイナミックマイクのダイアフラムのほうが大きい音量が必要と言われています。
要点を整理すると、
- コンデンサーマイクは、ダイアフラムに貯めてある電気の動きで信号を出力
- ダイナミックマイクは、コイルと磁石の動きで生じた電気信号を出力
という仕組みになります。これによりサウンドや取り扱い方法にも違いが出ます。
コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い
仕組みが分かったところで、それぞれの違いについて紹介していきます。
耐久性
ダイナミックマイク
主にコイルと磁石というシンプルな構造のため、耐久性の高いマイクです。多少の衝撃では壊れません。
コンデンサーマイク
衝撃に弱く、湿気についても気を使う必要があります。ただそこまで神経質にならなくて大丈夫です。「湿度の管理」などよく言われていますが、デシケーターのような湿度を管理するケースが必ず必要というわけではありません。極端に湿度が高い場所や環境の変化(急な温度の変化)は避けることが重要。というのも中のダイアフラムに水滴が付くことで不具合やカビが発生する可能性があるからです。この点だけ気をつければ特別なことは必要ありません。
接続方法
ダイナミックマイク
マイク入力端子のある機材へ直接接続。
コンデンサーマイク
マイク入力端子へ接続。機器側からファンタム電源を供給。
接続するミキサーやPAセットなどにファンタム電源供給機能が搭載されている場合は、こちらをONにするだけでOK。装備されていない場合は、下記に紹介するファンタム電源を供給する機器が必要です。
ファンタム電源
音圧レベル(音量)
ダイナミックマイク
機種にもよって違いはありますが、基本的に大音量の音源にも対応できる場合が多いです。世界でもっとも定番なマイクSHURE / SM58の最大音圧レベルは160dB。ジェット機のエンジンで140dBほどと言われていることから、そうそうこのレベルに達することはないでしょう。
コンデンサーマイク
ダイナミックマイクに比べ、繊細な音もしっかりと集音できます。反面、ダイナミックマイクよりも音圧レベルは低い傾向にあります。定番商品RODE / NT-1Aでは最大音圧レベル137dB。これよりも低いマイクもあるので、ドラムやベースアンプなど、音の大きい音源によっては注意が必要です。
ノイズ
ダイナミックマイク
基本的に気になることはなく、特に対策する必要はありません。野外で使用する際は風の音が入ることがあります。その際はウインドスクリーンを使用することで解決します。
コンデンサーマイク
いくつかノイズの発生要因があります。
S/N比(信号対雑音比)
ファンタム電源で電気を供給するので、微弱な電気的ノイズが発生します。ほとんどの製品は気になるレベルではありませんが、高価なマイクほどこのノイズが少ない傾向にあります。
ポップノイズ
感度がいいため、声の破裂音(バ行やパ行)を拾いやすい傾向にあります。ポップガードを使用することで軽減することができます。また唾からマイクを守る役割もあります。
スイッチ
ダイナミックマイク
基本的にスイッチが装備されている場合、ほとんどマイクのON/OFFとなります。
コンデンサーマイク
コンデンサーマイクの場合、基本的にON/OFFスイッチはなく、PADやローカットスイッチが装備されている場合があります。
PAD
音源のボリュームが大きい際に感度を下げることのできるスイッチ。
ローカットスイッチ
エアコンやパソコンなどの環境ノイズが混入する際、ローカットを有効にすることでノイズが低減される場合があります。また、アコースティックギターやボーカルなど低音が膨らんでしまう際に使用するのも効果的です。
指向性切替
指向性を切り替えられるマイクがあります。主に単一指向性、双指向性、無指向性の切り替えが可能です。AKG/C414シリーズでは9段階もの切り替えが可能となっています。
用途
仕組みが分かったところで、どんな時にどのようなマイクを選べばいいか場面別に見ていきます。
ダイナミックマイク
ライブのボーカル
耐久性が高く、ハウリングも抑えられ、ハンドリングノイズが少ないため、ライブでの使用にピッタリ。ワイヤレスマイクについても、定番ダイナミックマイクのワイヤレス版といった製品が多く見られます。グリルボールが多少凹んでも簡単に交換できるのも重要なポイントです。
代表機種
タム、スネア、バスドラムなど楽器の集音
耐久性が高く、音の被りが少ない特徴がマッチ。また、最大音圧レベルが高く、管楽器や打楽器、ギターアンプなどでも使用されます。
コンデンサーマイク
ボーカルのレコーディング
コンデンサーマイクは大きく分けるとラージダイアフラム、スモールダイアフラムの2種類に分類されますが、ボーカルでは、ラージダイアフラムタイプがよく用いられます。ダイナミックマイクと比較するとレンジの広さや繊細さを実感できるかと思います。スモールダイアフラムと比較するとノイズレベル(SN比)が低く、感度も高い特性となっています。楽器の集音でも使用されることもあります。
サウンドの比較
実際にサウンドを聴いてみるとダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違いがよく分かります。比較できる音源を用意しました。
SHURE/SM58
MXL/ V67G HE
楽器の集音、会場のステレオレコーディング
楽器の集音によく用いられるのがスモールダイアフラムのコンデンサーマイク。ラージダイアフラムに比べ、周波数レンジやダイナミックレンジがより広く、よりフラットなサウンドが特徴です。最大音圧レベルについてもこちらのほうが高いことが多いです。
楽器以外にもライブやホールのレコーディングなど、全体の音声を集音する際にも使用されます。多くの場合、マイク2本を使用してステレオで録音します。そういった用途に向け、個体差が少ないものをメーカーで選定した「マッチドペア」がラインアップされているモデルもあります。
インターネット配信
番外編となりますが、最近YouTubeなどの動画配信でUSBマイクの需要が高まっています。パソコンとUSBケーブルで接続するだけで、高音質なサウンドが得られます。基本的にUSBマイクはコンデンサータイプです。電源はバスパワー(USBケーブル経由)で供給されます。
いかがでしたでしょうか。マイクによって機能や用途が異なり、それぞれに最適なマイクがあることを確認いただけたと思います。今回紹介したマイクはたくさんのマイクが販売されている中の一部です。例外などもありますので、何か不明な点や分からない点があればお気軽にお問合わせください。