前回はテールピースのご紹介をしましたので今回はTOMをご紹介します。
レスポールユーザーの方以外は、TOMと言われても何それ?と思われるかも知れません。TOMとはチューンオーマチックの略称で、レスポールのようなブリッジが二つに分かれているセパレートタイプのブリッジで弦をのせる駒があり、オクターブの調整を行う部分のパーツのことです。
前回ご紹介したテールピースとチューンオーマチックはセットで使用されることが多く、レスポールやES-335、SGといったGIBSON社のモデルに多く採用されてきました。
今となってはFENDER社のストラトキャスターに採用されているシンクロナイズドトレモロと共に、エレキギターに使用されているブリッジの中では最も代表的なブリッジとなります。
そんなチューンオーマチック、見た感じはこんな感じ。
2本のスタッドボルトで立てられ、高さの調節、オクターブを調整して使用します。
どれもこれも同じように見えるチューンオーマチックですがよくよく探すと様々な種類が世に出ており、異なるモデルだと取り付けできない場合がありますので選ぶ際には注意が必要です!!
●ABR-1タイプ
GIBSONのビンテージモデルやHistoric Collectionなんかに使用されているモデル、いわゆる古き良き時代のブリッジで全体的にコンパクトな印象です。
取り付け方はポスト用のねじをボディに直接打ち込みナットを取り付け高さの調節を行います。
Jimmy Pageはこのナットを左右1枚ずつ追加し4枚で使用しているのも有名な話ですね。
さらにABR-1はサドルを付け替えることも可能です。チューニングの狂いが気になる場合はナイロンサドルへ、サウンドによりビンテージテイストな輪郭と深みを狙うのであればブラスサドルへ、より長寿命、クリアで明快なサウンドを求めるのであればチタンと、好みに合わせてカスタマイズできるのもうれしいポイントです。
●NASHVILLEタイプ
1970年代、GIBSONの工場移設に伴い生産され始めたブリッジ、現在のGIBSONのレギュラーラインモデルにもデフォルトで採用されています。
ABR-1に比べて、オクターブ調整の可変域が広く、駒の取り付け部が改良され、駒の脱落を防止するために取り付けられていたワイヤーが取り外されています。
またワイヤーが除去されたことによりABR-1でよくあるトラブルとしてなやまされる無駄な共振が無くなったという最大の利点を生んでいます。
取り付けについてはボディにはアンカーが打ち込まれておりスタッドによりブリッジの高さを上下することが可能です。
●NASHVILLEラージポストタイプ
上記のNASHVILLEタイプと同様の構造になりますがスタットのポスト系が太く、上部からマイナスドライバーを使用することにより、簡単にブリッジの高さを調節することができる便利なモデルです。現在販売されているギターに最も多く採用されているブリッジでしょう。
上記でご紹介したブリッジ以外にも様々なモデルが販売されています。また最近は上記のABR-1タイプ、NASHVILLEタイプにロック機能が付加されたブリッジが多く見受けられるようになりました。
たとえばこちら!
この様なロック式のブリッジに交換することにより、弦交換の度にブリッジが外れてしまい、弦高を調整しなおす煩わしさから解放されるばかりか、ブリッジをロックすることにより、弦振動がロスなくボディに伝わるという利点もあり、ギターのグレードアップにはまさにうってつけのリプレイスパーツです。
チューンオーマチックは亜鉛をダイカスト製造により作っているため、何年も使用し続けると弦の張力に負け、反ってきてしまいます。また最も手が触れるハードパーツであるため、汗による腐食もあり、消耗パーツとして調子が悪くなれば交換をお勧めします。
是非お手持ちのギターのチェック、ブリッジを見直してこの汗をかく季節を乗り越えましょう!!