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マンガと音楽と ― 時代と共に増殖・多様化する音楽マンガ

2018-05-14

テーマ:音楽とアート

マンガと音楽と。

時代と共に増殖・多様化する音楽マンガ。

その昔、マンガで音楽を表現するのは難しいと言われていました。…今より圧倒的に音楽を題材とした作品数は少なかったと思います。というより、私が子供の頃は、ほとんど知りません。演奏者が少なく「読み手=ミュージシャン」という(共感できる)市場が確立されていなかったからでしょうか。そのことから連載しても当たらないという判断があったようです。そういう話を雑誌編集長から聞いたことがあります。「音があって何ぼでしょ?」と。一方で「マンガの描き手=音楽好き」は多く、作品に洋楽のミュージシャンが登場する場面がよくありました。青池保子の「イブの息子たち」「エロイカより愛をこめて」にはじまり、「マカロニほうれん荘」など。さらにはタイトルや、マンガのひとコマに洋楽のエッセンスを取り入れた作品も多く生まれます。(このあたりの話は、改めて触れたいと思います)。振り返ってみると70年代~80年代は著作権など気にしない大らかな時代だったのかもしれません。

80年代に入りバンドブームが起こります。ヤマハの主催する「eastwest」や「ポプコン」などコンテストから優秀なバンドがメジャーデビューする時代です。その流れはさらなるブームを巻き起こしていきます。90年代に入ると、500組以上のバンドが国内でメジャーデビュー。テレビでも「三宅裕司のいかすバンド天国(イカ天)」によって、さらに多くのミュージシャンにスポットが当たりました。

同じ90年代、マンガにはよりリアルな表現が求められ、緻密な設定が必須となっていきました。原作者が多くなったのもこの時代からでしょう。一時期は世相を映す鏡とも呼ばれ、通勤電車ではたくさんの人がマンガ(マンガ週刊誌)を読む中、本格的に音楽を題材にしたマンガが現れました。それが「BECK」です。既に2度のバンドブームを経て、より多くの人が共感できる時代となったこともあるでしょう。「BECK」は映画化されるほどの大ヒット。
市場の活性化も手伝い、現在では音楽をテーマにしたマンガは、たくさん登場しています。ジャンルも細分化され、ロックからジャズ、吹奏楽からクラシック。さらには和楽の世界まで。ざっと、調べただけでもこれだけの作品がピックアップできました。※○○がなーい!という意見大歓迎。付け足します(笑)。

  • ピアノの森(1998-)クラシック
  • のだめカンタビーレ(2001-)映画化
  • デトロイト・メタル・シティ(2005-)映画化
  • ソラニン(2005-)映画化
  • けいおん!(2007-)さまざまなメディアへ展開
  • 坂道のアポロン(2007-)ジャズ 映画化
  • 青空エール(2008-)吹奏楽
  • ウッドストック(2008-)
  • ハレルヤオーバードライブ!(2009-)
  • 日々ロック(2010-)
  • ましろのおと(2010-)
  • 四月は君の嘘(2011-)クラシック 映画化
  • SHIORI EXPERIENCE  ジミなわたしとヘンなおじさん(2011-)
  • この音とまれ!(2012-)箏曲
  • Eから弾きな(2012-)
  • ちゃりこちんぷい(2012-)
  • 少年ノート(2012-)合唱部
  • シアロア(2012-)音楽との融合、連載にあわせて楽曲も配信
  • BLUE GIANT(2013-)ジャズ
  • 少年よギターを抱け(2013-)
  • 和太鼓ガール(2014-)和太鼓
  • 30センチスター(2014-)
  • BLUE GIANT SUPREME(2016-)ジャズ
  • なでしこドレミソラ(2016-)和楽器
  • 空電ノイズの姫君(2017-)
  • 青のオーケストラ(2017-)

2010年以降、音楽を題材にしたマンガはさらに増加し、メディア・ミックスの手法も盛んに行なわれるようになりました。楽器専門誌で本編の番外編が楽しめる「SHIORI EXPERIENCE」。ジャズ・イベントとコラボーレーションする「BLUE GIANT」などなど。それぞれのマンガについては、いずれ書きたいと思います。どちらも傑作マンガです。音楽マンガ、なにげにブームですよ!これからも音楽を題材にしたマンガに注目していきたいと思います。

なかじまやすお

自由気ままに雑多なことを書きなぐっていきます。根底にあるのは「愛と音楽」。世の愛すべき事象にスポットを当て、音楽好きに共感してもらえる記事を執筆していきます。プライベートでは、週末となればドラムを叩き、ライブや映画、展覧会などを楽しむアクティブ派。

 
 
 
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