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実はあの曲も!New Sounds in Brass の世界

2022-02-16

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

皆さんこんにちは。
日本での人口は約100万人以上とも言われる「吹奏楽」。夏の全日本吹奏楽コンクールには10000を超える団体が出場し、近年では小説やアニメをはじめ、テレビでも特番が組まれるなど、その人気を確固たるものとしています。そんな吹奏楽の人気を支えているのがNew Sounds in Brassシリーズです。ということで今回は、第一集より40年もの間吹奏楽を支えてきた、このNew Sounds in Brassについてお話させていただこうと思います。

New Sounds in Brassとは

New Sounds in Brassとは、映画音楽やJpop、クラシック、Jazzなどの様々な音楽を吹奏楽に編曲した、楽譜およびCDのシリーズです。1972年の第1集リリースよりほぼ毎年リリースされており、2022年1月現在第48集まで発表されている長い歴史を持つシリーズです。その作編曲には、岩井直溥氏を中心に、真島俊夫氏、天野正道氏、鈴木英史氏などが携わっており、CDの多くは東京佼成ウインドオーケストラが担当しています。

このシリーズがきっかけで吹奏楽のレパートリーになった、という曲も数えきれないほどあります。お次は、その例を4つご紹介します。

吹奏楽と言えばこの曲 「宝島」

やはりなんといっても外せないのが「宝島」です。原曲はF1テーマ曲「Truth」でおなじみT-Squareの楽曲「TAKARAJIMA」。この曲を真島俊夫氏が吹奏楽編曲したものです。原曲とは違い、マンボ・サンバ風のアレンジとなっており、演奏会などでも一際盛り上がる楽曲のため、現在でも吹奏楽の定番ナンバーとなっています。しかし、演奏する難易度はかなり高く、中でもアルトサックスソロ、金管ソリは一つの憧れとなっています。難しいからこそ憧れという立ち位置になっているのでしょう。
そんなこの宝島も、New Sounds in Brassシリーズの一つです。一番初めにリリースされたのは、1987年の第15集です。発表から35年経った今でも愛されているというのは、やはりT-Squareの原曲、そして真島俊夫氏のアレンジが素晴らしいものだったということなのだと改めて思わされます。

(演奏 ヤマハ吹奏楽団 feat. 須川展也)

この演奏では、名門ヤマハ吹奏楽団とともに、サックス奏者須川展也氏が宝島で(いい意味で)暴れています。ぜひチェックしてみてください。

宝島に次ぐ定番曲 オーメンズ・オブ・ラブ

宝島と並んで現在でも定番曲となっているのがこのオーメンズ・オブ・ラブです。こちらも原曲はT-Squareの楽曲「OMENS OF LOVE」であり、アレンジも真島俊夫氏です。シンフォニックなアレンジが舞台でよく映えますし、冒頭のチャイムがその豪華さを引き立てます。全体的に軽快なメロディが続いて、こちらも盛り上がること間違いなしの一曲です。 オーメンズ・オブ・ラブは、1986年リリースの第14集に収録されています。先ほどの宝島が1987年の第15集なので、なんと連続しているのです。二年連続でこのような伝説的な曲が発表されるのも、New Sounds in Brassの魅力なのです。

YouTubeで見る https://www.youtube.com/watch?v=89bbL8vPUKc

こちらも名門アンサンブルリベルテ吹奏楽団が、ゲストドラマー阿野次男氏を迎えての演奏になっています。とても軽快で「これぞオーメンズ!」と思わされる演奏です。

甲子園定番曲もここから アフリカン・シンフォニー

吹奏楽と言えば、甲子園の野球応援のイメージも大きいですよね。甲子園の定番曲と言えばやはりアフリカン・シンフォニーです。原曲はヴァン・マッコイがディスコ・ミュージックの一つとしてオーケストラと演奏し、発表したものです。甲子園の曲として認知されるようになったのは、野球名門校である智弁和歌山高校が応援で取り入れたことで、他の学校も取り入れ始めたことがきっかけです。
そんなアフリカン・シンフォニーですが、吹奏楽アレンジとして人気を博すようになったのはNew Sounds in Brassとして取り上げられたことがきっかけでした。1977年の第5集にて、岩井直溥氏がアレンジしてリリースされています。この編曲ではホルンとトロンボーンが終始グリッサンドで、まるで吠えているかのように演奏するようになっており、大変聞きごたえのある作品になっています。

(指揮 佐渡裕 演奏 シエナ・ウインド・オーケストラ)

佐渡×シエナの名演です。この音圧をご堪能ください。

原点にして頂点 ディズニー・メドレー

数ある吹奏楽編曲の作品の中でも、その種類が一際多いのがディズニーの作品です。世の中には、たくさんのディズニーを題材とした素晴らしい吹奏楽編曲やメドレーがありますが、筆者が個人的に一番であると感じるのはディズニー編曲の先駆けである、1981年リリースNew Sounds in Brass 第9集に入っている岩井直溥氏アレンジの「ディズニー・メドレー」です。
ミッキーマウスマーチ・小さな世界・ハイホー・狼なんかこわくない・いつか王子様が・口笛を吹いて働こう・星に願いを の7曲がメドレーとなっており、それぞれの曲中に各楽器のソロパートが用意されています。このアレンジが元祖ともいえる作品なので、演奏したことがある人も多いのではないでしょうか。
東京ディズニーランドが開園したのは1983年なので、それよりも前の段階でリリースされていることになります。吹奏楽界でディズニーを普及させた、そんな歴史的作品だと言えると思います。

(演奏 立命館大学応援団吹奏楽部)

聞いて、見て、楽しめる。そんなメドレーです。

最後に

というわけで今回は、New Sounds in Brassについて語ってみました。さらにすごいのは、40年以上たった今でも新作がリリースされ続けています。新しいものが発表された際は、ぜひ注目してみてください。
しかし、ご紹介できたのはいわゆる有名どころのみです。機会があれば、あまり知られていないNew Sounds in Brass名曲もご紹介したいと思います。
ありがとうございました。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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緑のふうせん

3歳からピアノをはじめ、中学より学校の吹奏楽団にてトロンボーンを始める。高校生になり、バストロンボーンに転身。その他、打楽器、ユーフォニアムなど様々な楽器を学ぶ。

 
 
 
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