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吹奏楽ベース初心者に向けた、音作りと奏法の研究

2020-08-07

テーマ:sound&person

こんにちは、Cheenaです。今回は、私の本業、中学・高校の吹奏楽部におけるエレキベースの演奏について書いていきます。
エレキベースの演奏について入る前に、まず、吹奏楽の編成についてざっくりと説明していきましょう。

吹奏楽におけるエレキベースの存在

吹奏楽は基本的に管楽器を主体に、少数の打楽器と弦楽器、そしてそれ以外の楽器を追加して演奏されます。
各楽器の人数や楽器の種類は国や地域によって異なり、日本では基本的にフルート、クラリネット、オーボエ、サックスから成る木管群とトランペット、ホルン、トロンボーン、ユーフォニウム、チューバからなる金管群、バスドラムやティンパニ、スネアドラム、シンバル、グロッケンシュピール、マリンバなどの打楽器群とコントラバス、ピアノ、ハープなどのわずかな鍵盤楽器、弦楽器などを使用します。

お気づきの通り、この編成の中にエレキベース、エレキギターはありません。ポップスなどを吹奏楽に編曲した楽曲では使われることが多いのですが、全日本吹奏楽コンクールでエレキギター/エレキベースの使用は認められておらず、学校や楽団ごとの定期演奏会などでギターは曲に合わせて弾ける人が、ベースはコントラバスの持ち替えとして演奏されることが多いです。
しかし、ごく一部の楽団にはコントラバスがないこともあり、コントラバスを使わずにエレキベースを演奏する人もいます。そのような場合はコントラバス以外の低音楽器からの持ち替えを行うことが多いです。私もその一人で、チューバとエレキベースの掛け持ちで演奏したりしています。

編成上は、エレキベースは低音楽器に入ります。しかし、リズム隊に入るか、メロディ隊なのか、ハモりなのかと言われると微妙なところがあります。
こういう時は、総譜を見て考えましょう。(著作権的な問題から画像を載せることはできませんが、頑張って説明します。)

エレキベースのパートがあるほとんどの総譜の中では、エレキベースはチューバの下、パーカッションの上にコントラバスと統合され、C.Ba(E.Ba.)と書かれています。又は、コントラバスの下に単独でE.Ba.と書かれています。記譜はチューバなどの低音管楽器とほぼ同じで、E以下の音は一オクターブ上げるなどして書かれています。場所により、チューバよりも細かい動きをするように書かれていますが、ウォーキングベースやポップスでベースが動き回る曲以外でコード進行の基音から外れていくことはほとんどなく、メロディに食い込んでいくことは全くと言っていいほどありません。
つまり、吹奏楽におけるエレキベースはリズム隊の一環で、チューバやコントラバスにはできない細やかな動きをさせるということが考えられます。

では、吹奏楽の中でエレキベースはどのように演奏すればよいのでしょう。
チューバとバリトンサックスは最も音量と音圧に優れ、低音楽器の主軸として扱われます。バスクラリネットやファゴット、ユーフォニウムは音量には欠けるものの、機動性の高さからリズムとメロディ、そしてハーモニーを全て演奏できます。エレキベースに良く似た、というより先祖であるコントラバスは「演奏全体の雰囲気を変えてしまう楽器」と言われます。音量は少ないものの、共鳴胴を持ち、弓を使ったアタックのない、そしてほぼ無限に長い余韻を持つ音は管楽器には出せないサウンドを提供します。しかし、これはエレキベースではE-BowかFernandes Sustainerでも使わない限り出せません。
強いアタックと高い機動性を併せ持ったエレキベースは、ロックミュージックにおけるエレキベースと同じように純粋なリズム隊なのです。

実際に、エレキベースをリズム隊に仕立て上げる方法

吹奏楽で、エレキベースを使用した演奏を聴くと、「これがベースだ」と言える音は聴こえないことがほとんどです。そこで実際に演奏を見たり、動画を見たりすると、9割以上はJazz Bassを使っています。ベース本体のセッティングは、基本的にトーン含めてオール10。アンプは50W程度のもので、イコライザが全て5、ゲインは0、ボリュームは適時のことが多いでしょうか。そして、ほぼ確実にアンプ直結です。100WのMarshallアンプにGibson EB3を使ったり、RolandのJazz ChorusにJaguar Bassという渋いセレクトの人もいますが、そのような人は軽音楽部とのつながりがある、バンドを組んでいるなどの要因で楽器にこだわっていると考えられますが、ごく少数でしょう。

話が逸れました。Jazz Bassは2つのピックアップとトーン回路により、多彩なサウンドを出せることが魅力ですが、このようなセットアップでは残念ながら高い音圧と大音量を持つ管楽器の中では聴こえないでしょう。しかし、コントラバスの音量に慣れてしまっているのか、エレキベースとしては音量が小さすぎると指摘されることはありません。必要な部分の音量を上げていく必要があります。
ただし、単純に全体音量を上げていくとベースの金属質な音は管楽器とぶつかり、削ろうにも音量以外削れないということになります。Jazz Bassであればフロントに全振りする、トーンを絞る、アンプのBASSを上げるなどして柔らかな低音を出せるようにします。
しかし、これにも限界はあります。軽音楽などとは環境があまりにも違いすぎるためにエフェクターを導入する必要があります。

エフェクターからの音作り

「エフェクターを導入する」と書きましたが、当然一般的なエフェクター構成とは異なってきます。
必須となるのは、コンプレッサーやプリアンプ、ペダルチューナー、ボリュームペダルでしょうか。コンプレッサーは音の粒を揃えるのに使いますから、曲を問わずずっと掛けていて問題ないでしょう。サウンドハウスの最強コンプレッサーマニュアルを参考にするとよいです。プリアンプは前述のアンプの調整と同じように、演奏の中での聴こえ方を改善することができます。ボリュームペダルは吹奏楽を演奏するうえで絶対に必要と言っても過言ではありません。演奏中に頻繁に音量が変わる吹奏楽曲の中で、エレキベースだけが音量変化に付いて行けず目立ってしまうようでは逆効果ですし、ピッキングの強さや本体ボリュームで音量を調整するのにも限界があります。MC中にノイズが流れることも防げます。また、長く音を出す必要があるときに減衰に合わせてわずかずつ音量を上げていけばバイオリン奏法のように出力できます。必要に応じて、ノイズリダクションでホワイトノイズ(サー音)を消していきましょう。高周波ノイズ(ピー音)はプリアンプで高音を切っていけばなくなります。

この3つがベースの音を、「目立たない範囲で自然に聴こえるようにする」ための最小構成でしょう。
また、演奏していると温まってチューニングが上がる管楽器と違い、エレキベースは演奏を長くしているとチューニングが落ちる楽器です。ペダルチューナーを導入して素早いチューニングを行いましょう。

逆に、ロックの吹奏楽編曲などでベースに目立つことが許された場合はどのような構成にするのか、考えていきましょう。
このような編曲では同時にギターを導入したりドラムセットを設置したりするため、ベースも追随することができます。
ここで導入するのは、オーバードライブやイコライザー、さらなる低音のためのオクターバーなどでしょう。オーバードライブの歪みを使ってクランチまでの範囲で歪ませながら音量と音圧を稼ぎます。ギターも同じような構成でいいでしょう。アンプまたはプリアンプで中低音を追加して太い音で全面に出るか、低音と高音を追加したドンシャリで派手に決めるかは吹奏楽全体の編成や曲調と合わせて考えましょう。
ドラムスが強く、常時暴れているような曲なら強めに掛けたコンプレッサーとドンシャリにしたセッティングで輪郭のはっきりしたパーカッシブなサウンドにしてもいいですし、ズンズンとした音が求められるならオクターバーと中低音振りのセッティングで正確なリズムを刻みましょう。

ジャズ編曲などではコントラバスが優先されるでしょうが、エレキベースが必要になった場合はマルチエフェクターを導入しましょう。
ベース用マルチエフェクターではフレットレスシミュレーター、リバーブ、ある場合はアコースティックシミュレーターなどでコントラバスに近いサウンドにするか、高域を減らしたジャズギター風の甘いサウンドに寄せてウォーキングベースを弾くというのもできます。

奏法からの音作り

一般的にはベースは2フィンガー奏法で演奏しますが、それ以外の奏法で硬い音、柔らかい音を作り上げることも可能です。例えば、時折ピックガード右側に付いているフィンガーレストを使用したサムピッキングや、ピックを使った硬めのサウンドなどもできますが、直感に反した音を作ることもできます。
例えば、一般的なピックを使うとスクラッチノイズによりアタックが際立ってしまいますが、アクリルや骨材、木材や水牛の角などの滑らかで硬い素材のピックを使うと柔らかいながらも太く、強い鳴りを生み出すことができます。逆に指弾きでもリアピックアップに親指を置いてはっきりとした音を作るなどできます。

楽器からの音作り

シングルコイル以外のピックアップを搭載したベースを使うことも音作りの一環です。例えば、Precision Bassに搭載される柔らかな低音とはっきりした高音を併せ持つスプリットコイル、StingRayベースに搭載される極太の低音と高いノイズ耐性が特長のハムバッカーなど。また、配線を変えることによりJazz Bassを疑似的にハムバッカー搭載のように使用したり、いくつかのピックアップをミックスして使うこともできます。また、ピエゾピックアップと呼ばれる弦振動をそのまま出力できるピックアップなどもあり、音作りの幅を広げるのに一役買います。

吹奏楽におけるエレキベースの音作りに関して、楽器本体、奏法、エフェクターとアンプの3方面からの考察を書いてみました。エレキベースも楽器ですので、音楽を演奏しているのに聴こえないというのは非常に残念です。これを機に、音作りについて考えてみるのはいかがでしょうか?
それでは、良い楽器ライフを!

ちなみにサウンドハウスにはコンプレッサーとイコライザーに関する詳細なマニュアルがあり、非常に参考になります。
➡︎ 最強コンプレッサー・マニュアル
➡︎ 最強イコライジング・マニュアル

Cheena

中学校で吹奏楽部に入部、中3でエレキベースを買ったところ改造と自作の世界に魅入られてしまった。3Dプリンターやレーザーカッターなどを駆使した楽器改造・製作とエフェクター製作をしています。
twitter https://twitter.com/on_8va_bassa

 
 
 
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