
Direct Injection BOX / ダイレクトボックス / DI(ディーアイ)
DI(ダイレクトボックス)」という機材をご存じでしょうか?
知っている人は知っている、
知らない人はまったく知らない。でお馴染みのこちら。
ライブハウスやレコーディングスタジオでは定番の機材ですが、楽器を演奏しない方はもちろん、軽音部で活動している学生でも「なんとなくアンプの上に置いてある箱」というイメージしか持っていないかもしれません。
実は私自身も学生時代はそうでした。ベースアンプの上に置いてあることは知っていても、「何のために使う機材なのか」はよく理解していませんでした。
今回は、そんなDI(ダイレクトボックス)の音質の違いに注目。
エントリーモデルから定番モデル、プロ御用達のハイエンドモデルまで、合計22機種を実際に録音し、音の違いを比較検証してみました。
「DIによって本当に音は変わるのか?」
「高価なDIのほうが音は良いのか?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
ざっくりとご紹介するとこんな感じです。
DIとは
エレキギター、ベース、キーボードなどの楽器を直接ミキサーやインターフェイスに接続するためのインピーダンス変換器です。ダイレクト・インジェクション・ボックスを略して「DI(ディーアイ)」、または「ダイレクトボックス」と呼ばれます。
DIの役割
1. インピーダンス変換
主にエレキギターやエレキベースなどから出力されるハイインピーダンス信号を直接ミキサーやインターフェイスに入力すると、ノイズが発生したり、高域が減衰するといった問題が生じます。そのためDIを間に接続し、ローインピーダンスに変換する必要があります。エレキギターやエレキベースの信号は、DIを通してミキサーに接続することにより、その楽器が本来持っているサウンドを発揮できると言えます。
2. アンバランス信号からバランス信号への変換
信号の接続にはアンバランス接続 (ノイズに弱い / 短距離用:~5m程度)と バランス接続(ノイズに強い / 長距離用)があります。ギター、ベース、キーボードをはじめとした大半の電子楽器から出力されるアンバランス信号は、DIによってバランス信号に変換することにより、長いケーブルの引き回しでも外来ノイズが乗りにくくなるという利点があります。
そして、このDIという機材は、価格の安いエントリーモデルから、有名ブランドのハイエンドな高級なモデルまで、たくさんのメーカーが、たくさんのモデルを販売しています。
どの製品も基本的な役割は同じDIですが、価格帯は数千円から数万円までさまざまです。
「見た目以外に何が違うのだろう?」
「音にも違いがあるのだろうか?」
と以前から気になっていました。
ということで、とにかく音を録って聴いてみようと思いました。
DIに入力するには「ハイインピーダンス信号が必要」
楽器を、毎回同じ音量、同じ雰囲気で弾くことは不可能
というわけで、WARM AUDIO新製品「Reamper」を用意しました。
ちなみに、フロントパネルのデザインがコクピットのようで個人的にかなり好みです(笑)

Reamperは、ライン入力した信号を、ハイインピーダンス信号で出力 することができます。どういうことかというと、基準になるドライ音源を録音しておけば、PCとインターフェイスを介して出力したライン信号を、DIのハイインピーダンス入力へ接続することができる= 毎回同じ音でDIのサウンド比較ができる ということです。
比較用サンプル音源
使用楽器: アクティブ・エレキベース(指引き→スラップ)
フレーズが弱いとか、ノイズがあるとか、いろいろ突っ込みどころはあるとは思いますが、グッとこらえてやってください。娘を送り出して、帰宅するまでの短い貴重な自分時間でがんばって録音しました(笑)
接続
PC→ProFx6v3→Reamper→DI→Ui24R

条件を揃えるために、レコーダーのGAIN以外の設定を共通にしました。
アナログミキサー(インターフェイス)
ProFX6v3: ch5/6、MAINの両LEVEL ともにU(Unity:12時位置)

WARM AUDIO/Reamper
REAMP OUT:5(12時位置)

Ui24R(録音用)
GAIN:DIの出力レベルに合わせて調整(メーター「-12」に合わせる)
LEVEL:0dB



DI
PAD:0dB(またはOFF)
ローカット:OFF(ないモデルもあり)
- CLASSIC PRO/CDI-1A GAIN +10dB アクティブ
- CLASSIC PRO/CDI-1P GAIN +18dB パッシブ
- CLASSIC PRO/CDI-2P GAIN +18dB パッシブ
- MACKIE/MDB-2P GAIN +20dB パッシブ
- MACKIE/MDB-1A GAIN +0dB アクティブ
- COUNTRYMAN/TYPE85 GAIN +12dB アクティブ
- COUNTRYMAN/TYPE10 GAIN +4dB アクティブ
- WARM AUDIO/WA-DI-A GAIN +22dB アクティブ
- WARM AUDIO/WA-DI-P GAIN +22dB パッシブ
- BEHRINGER/DI400P GAIN +22dB パッシブ
- BEHRINGER/DI100 GAIN +2dB アクティブ
- KLARK TEKNIK/DN100 GAIN +2dB アクティブ
- KLARK TEKNIK/DN10A GAIN +2dB アクティブ
- ART/dPDB GAIN +20dB パッシブ
- ART/dADB GAIN +4dB アクティブ
- ART/Dual X Direct GAIN +4dB アクティブ
- SAMSON/MDA1 GAIN -4dB アクティブ
- BOSS/DI-1 GAIN -4dB アクティブ
- RADIAL/ProDI GAIN +22dB パッシブ
- RADIAL/JDI GAIN +22dB パッシブ
- RADIAL/J48 GAIN -4dB アクティブ
- Rupert Neve Design/RNDI-M GAIN +12dB アクティブ
商品名の横にあるデシベルの値は、Ui24RのGAINをメーター「-12」に合わせた時の数値です。
けっこうバラバラでしたが、全体的な傾向としては
パッシブDI:録音時のGAINが高め(出力レベルは低め)
アクティブDI:録音時のGAINが低め(出力レベルは高め)
という結果になりました。
中でもSAMSON/MDA1、BOSS/DI-1、RADIAL/J48の出力が大きく、
ゲインを上げなくて済む=ミキサー自体が持っているノイズが増える量も少なくて済む ということですね。
比較音源
実際に22機種を聴き比べてみた感想
あえてモデルごとの感想は書きません。(というか22種類も上手く表現できませんでした笑)
- 「安いDI=音が悪い」というわけではない
- メーカーやモデルによる違いは確かに存在する
- ただし極端な差というより、ヘッドホンでじっくり比較すると違いが分かるレベル
- 高価格帯モデルのほうが情報量や解像感が豊かに感じられる傾向がある
- 最終的には好みの問題
個人的に好きだなと思ったのは、意外にも 超定番「BOSS/DI-1」
なんとなくですが、他モデルよりもパッと聴いた時の 「低音の輪郭や量感、高域側の張り感がしっかりしていて好み」 でした。さすが、どこに行っても置いてある、マイクでいうところのSHURE/SM58的な存在というやつですね。
ベーシストに好かれている COUNTRYMAN/TYPE85(取扱終了)
プロからの評価も高く人気の Rupert Neve Design/RNDI-M
個人的に好きなコンプWA76の WARM AUDIO/WA-DI-A
も、「カッコイイ音」だと思いました。
DIはエフェクターのように劇的に音を変える機材ではありません。しかし、音質にこだわるならDI選びも決して軽視できないポイントだと感じました。
まとめ
今回の比較では、22種類のDI(ダイレクトボックス)を同一条件で録音し、その音の違いを検証しました。
実際に楽器を直接接続した場合や、ベース以外の楽器を使用した場合には結果が変わる可能性もあります。しかし、DI選びの参考資料の1つとしては価値のある比較になったのではないかと思います。
これからDIの購入を検討している方や、定番モデルと高級モデルの違いが気になっている方は、ぜひ比較音源もあわせてチェックしてみてください。
お気に入りの1台を見つけるヒントになれば幸いです。







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