
みんなの憧れ、モジュラーシンセの奥深い世界へようこそ!
実は私、これまでモジュラーシンセに対してかなりの食わず嫌いでした。ところがサウンドハウスのショールームで実機に触れ、実際にモジュールを組み立てた瞬間、「なんだこの面白い楽器は!!」と大興奮。一見すると敷居の高そうなモジュラーシンセですが、その魅力や始め方、必要なアイテムを初心者目線で分かりやすく紐解いていきます。
さらに今回は、基本のアナログサウンドにとどまらず、一般的なシンセの常識を覆す「BEHRINGERの面白い変わり種モジュール」まで一挙に大特集!



そもそもモジュラーシンセってなに?
モジュラーシンセサイザーとは、個々の音響モジュール(オシレーター、フィルター、アンプなど)を独立して組み合わせ、音を生成していくシステムのこと。各モジュールはそれぞれ独自の役割を持っており、パッチケーブルで相互に接続(パッチング)することで、複雑な音響効果や未知の音色を作り出せる仕組みです。
最大の強みは、圧倒的な 柔軟性と拡張性の高さ。ユーザー自身の好みに合わせてモジュールを自由に配置・接続し、世界に一つだけのオリジナルシンセを構築できる点にあります。
また、パッチング次第で予測不能なサウンドや新しい音楽表現が次々と飛び出すのも大きな魅力。その複雑さゆえに操作が煩雑で、初心者には少し学習コストが高い側面もあるものの、直感的ではないからこそ、時間と忍耐をかけた分だけ独創的で個性豊かなサウンドが手に入ります。
モジュラーシンセに必要なもの
モジュラーシンセをスタートさせるには、システムを収めるユーロラック(ケース)、電源、モジュール同士を繋ぐパッチケーブル、そしてお好みのモジュールがあればOKです。
ユーロラック用パッチケーブル(3.5mmミニプラグ各社市販品)
ユーロラック(システム)のサイズ
小型システム(60HPなど)
- 用途:
- 卓上での使用に向いており、家庭での音作りや小規模なパフォーマンスに最適。非常にコンパクトなため、持ち運びにも一切困りません。
- メリット:
- サイズが小ぶりな分コストを抑えやすく、初心者へのエントリーモデルとしてもぴったり。限られたスペースでの作業や、特定のサウンド実験にも重宝します。
- デメリット:
- マウント可能なモジュール数が少ないため、音作りの選択肢が制限される点、また将来的な拡張性が低くなってしまう点には注意が必要です。
中型システム(84HP〜104HP)
BEHRINGER ( ベリンガー ) / EURORACK 104
- 用途:
- 多くのモジュールをバランスよく組み込めるため、音楽制作からライブパフォーマンスまで幅広くカバー。最もスタンダードなサイズで、多くのユーザーにマッチします。
- メリット:
- スペースに余裕があるため音作りの幅が格段に広がり、コストパフォーマンスも優秀。比較的安定したシステムを運用していけます。
- デメリット:
- それなりのサイズ感があるため、手軽に持ち運ぶには少し不便さを感じるかもしれません。重量が増すことで、取り扱いがやや難しくなるケースもあります。
大型システム(208HPなど)
BEHRINGER ( ベリンガー ) / EURORACK GO
- 用途:
- 複雑な音作りや大規模なライブパフォーマンスにおいて真価を発揮。数多くのモジュールを網羅できるため、プロフェッショナルな現場でも深く愛用されています。
- メリット:
- 音作りの自由度が極めて高く、多機能なモジュールを贅沢に組み合わせた幅広い音楽表現が可能です。
- デメリット:
- サイズが大きく重量もあるため、気軽な運搬には不向きと言わざるを得ません。コストがかさむため予算配分に注意が必要なほか、セットアップや管理の複雑さもあらかじめ留意しておきましょう。
普通のシンセサイザーとの違い
音量の違い
モジュラーシンセは出力される音量が非常に大きいため、アウトプットモジュールを使ってラインレベルへと調整する必要があります。逆に、外部シンセやエフェクターのラインレベルをモジュラーレベルまで引き上げるためのプリアンプモジュール(インプットモジュール)が求められるケースも珍しくありません。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 305 EQ/MIXER/OUTPUT
MIDIとCV/GATE
普通のシンセやDAWではMIDI規格が主流ですが、モジュラーシンセの世界を動かすのは「CV(制御電圧)」と「GATE(トリガー信号)」というアナログ信号。これら電圧の強弱で音階やパラメータをコントロールし、テンポの同期にはクロック信号を扱います。最近はMIDIからCV/GATE/CLOCKへと相互変換するモジュールも充実しているため、DAWやグルーヴボックスとの連携も驚くほどスムーズです。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 961 INTERFACE
シーケンサーの特殊性
モジュラーのシーケンサーは、一般的なDAWやグルーヴボックスに備わっているものとは根本的に異なり、単体での動作が難しいこともあります。CV用とGATE用でシーケンサーが独立している場合も多く、特定のスケール(音階)に縛られない使い方が一般的。こうした制約や不自由さがあるからこそ、普通の機材では絶対に思いつかない独特のフレーズや偶発的なサウンドが生まれるのです。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / CLOCKED SEQUENTIAL CONTROL MODULE 1027
モジュラーシンセ電源
各モジュールへ電力を分岐するバスボードに対し、リボンケーブルを挿し込んで電源を供給する仕組みです。このケーブルには向きの決まりがあり、通常は-12Vのラインに合わせて接続して逆挿しを防ぎます。万が一誤って接続するとモジュールが故障する原因になりますので、ここだけは細心の注意を払いましょう。なお、電源が付属していない空のケースを使用する場合は、以下のような専用の電源モジュールをシステムに組み込む必要があります。
必要最低限のモジュール
基本的にはオシレーターモジュールさえあれば音を鳴らせますが、やはりアナログシンセの基本構成をはじめにそろえておくのがお勧め。
シンセの教科書通り、音の3原則(音色・音程・音量)を司るオシレーター、フィルター、アンプ(VCA)の3要素は不可欠と言えます。
これら基本セットに加え、リズムの骨組みを作るシーケンサーモジュール、他機材との音量バランスを取るアウトプットモジュール、そして音に時間的な躍動感を与えるエンベロープモジュールなどを備えておけば、音作りの幅は一気に広がります。

それぞれのモジュール(基本編)
モジュラーシステムを構成する、主な基本モジュールがこちら。
オシレーター(Oscillator)
音の源波形を生成する、シンセサイザーの心臓部。周波数や振幅をコントロールし、あらゆる音色のベースを作り出します。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 921B OSCILLATOR
- サイン波(正弦波):
- 最もシンプルな波形で、丸みのある滑らかなサウンドが特徴。
- 矩形波(Square):
- 長方形のような形状。中高域に独特の倍音が含まれた、少し鼻にかかったような中空感のある音が魅力です。
- 三角波(Triangle):
- サイン波に近い柔らかさを持ちつつ、ほんの少しエッジを立たせたトーン。
- ノコギリ波(Sawtooth):
- その名の通りノコギリの刃のような形。倍音が非常に豊かで、きらびやかなシンセリードから極太のベースまで万能にこなします。
フィルター(Filter)
音の周波数成分を削ったり削り取ったりして、特定の帯域を強調・減衰させるモジュール。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 923 FILTERS
- ローパスフィルター(LPF):
- 高音をカットして音を柔らかく丸く変化させる。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 904A VC LOW PASS FILTER
- ハイパスフィルター(HPF):
- 低音をすっきりと削り、クリアで明瞭なサウンドにする。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 904B VC HIGH PASS FILTER
- バンドパスフィルター(BPF):
- 特定の帯域だけを通過させ、ワウのような独特のクセを出す。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / MULTIMODE FILTER / RESONATOR MODULE 1047
- バンドストップフィルター(BSF):
- 特定の帯域だけを狙い撃ちしてカットする。
アンプ(Amplifier / VCA)
音の振幅(音量)を制御するためのコンポーネント。音のダイナミクスや抑揚、表現力を大きく左右する重要なポジションです。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 100 Series 130 DUAL VCA アナログデュアルVCAモジュール
エンベロープ(Envelope / EG)
音の時間的変化(立ち上がりの鋭さや、音が消えるまでの余韻)をコントロールする役割。一般的には「ADSR」と呼ばれる4つのつまみを用いて、音の発音特性を細かくデザインしていきます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / DUAL ENVELOPE GENERATOR MODULE 1033
音作りの常識を覆す!BEHRINGERの面白い変わり種モジュール
ここからは、「普通のシンセサウンドにはちょっと飽きてきた…」「他では絶対に聴いたことがない奇天烈な音を鳴らしたい!」という方に激推ししたい、BEHRINGERの個性派モジュールをご紹介!
1. ロボット声から雨の音まで出せる「20種の音源エンジン」
一見するとオーソドックスなオシレーターですが、その中身はとんでもないモンスターマシン。なんと20種類もの尖ったデジタル音源エンジンがこれ1台に凝縮されています。定番のシンセ波形はもちろん、アタック音に混ざる「雨の音のようなノイズ」や、まるでオモチャのロボットが喋っているかのような「スピーチ(音声合成)」、弦を弾いたような「物理モデリング音」など、アナログオシレーターでは到底出せない異次元のサウンドがツマミ一つで飛び出します!
2. シンセの中に数学!?何にでも化ける魔法の計算機
アバカス(そろばん)という名の通り、入力された電圧を「足し算・引き算」する、モジュラー界ならではの不思議なアナログ・コンピューターです。これ単体から音が出るわけではありませんが、パッチング次第で「超複雑なエンベロープ」に変貌したり、「LFO(低周波発振器)」として機能したり、さらには「音を歪ませるエフェクター」にまで化けてしまいます。まさにユーロラック界のカメレオン。システムに1台組み込むだけで、音作りの可能性が何倍にも跳ね上がるでしょう。
3. 勝手に心地いいメロディを紡ぐ「カオス・ジェネレーター」
その名の通り「カオス理論」をベースに設計されたランダム信号発生器です。わざわざ鍵盤を弾かなくても、このモジュールが自動的に「いい感じのランダムなリズム」や「不規則ながらどこか心地いいメロディの元になる電圧」を生成し続けてくれます。アンビエント(環境音楽)の制作時や、自分では絶対に思いつかないフレーズのきっかけが欲しい時にパッチケーブルを挿してみましょう。奇跡のようなメロディが勝手に鳴り響く、モジュラーならではの超ユニークな変わり種アイテムです。
それぞれのモジュール(コントロール・エフェクト編)
モジュレーション(Modulation)
LFOやエンベロープを使用して、音色やピッチ、フィルターのカットオフなどを周期的に変調させ、音に揺らぎや動きを加えます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / MULTIMODE FILTER / RESONATOR MODULE 1047
シーケンサー(Sequencer)
音の自動演奏パターンやリズム、電圧の変化のサイクルを作成するセクション。モジュラーのシーケンサーは偶然性の高い独特なフレーズを生み出すのが得意です。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / 960 SEQUENTIAL CONTROLLER
エフェクト(Effect)
音にディレイ、リバーブ、ディストーションなどの効果を追加し、音空間を鮮やかに仕上げます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / SPACE FX
迷ったらこれ!初心者におすすめなコンプリート・セット製品
「モジュールを自分で1から選ぶのはやっぱり難しそう…」「電源やケースの相性を調べるのが不安」という方に朗報です!
実はBEHRINGERからは、ユーロラックケース、電源、そして厳選された複数のモジュールがあらかじめ美しく組み込まれた、夢のようなフルセット製品もリリースされています。
これらは、シンセサイザーの歴史を創り上げた伝説的なクラシック・モジュラーシステムをユーロラックサイズで完全再現した、まさに「持ち運べる歴史的名機」とも言えるコンプリートセット。
パッチケーブルさえあれば、届いたその日から憧れの壁掛けシンセさながらの濃厚な音作りに没頭できるため、初心者導入用としても間違いなくおすすめの選択肢です!
まとめ
このように、モジュラーシンセは伝統的な基本機能から、BRAINSやABACUSのような一風変わったモジュール、さらには最初からすべてが揃うSYSTEMシリーズまで、好みに合わせていくらでもカスタマイズできる究極のシンセサイザーです。
メーカーごとのこだわりが凝縮されていたり、パッチング次第で機材の役割そのものが変わってしまったりと、探求し始めると本当にキリがありません。まさに底なしの沼のような世界(笑)。
シンセが大好きで、音作りや楽器遊びには何時間でも没頭できるという方にとって、これ以上ない最高の相棒となるはず。今回の記事をキッカケに始めてみたいと思った方は、まずは基本のオシレーター、フィルター、アンプ、そしてインアウトを用意して、自分だけの無限の音世界を広げてみてください!































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