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「もはやこのドロ沼からは脱出できない」 人智を超えたコンデンサーの魔力!!(番外編)

2022-07-08

テーマ:実録 ! サービスマン日記, 小ネタ

今回でコンデンサーについて詳しく紹介するのは最後にしたい。
でないと毎回コンデンサーのブログになってしまって、他に芸の無いヤツみたいに思われるのもイヤだから。

まあ最近(特にネットオークションなど)で、どういう素性のものなのか知りもせず「最高の音質」云々ある事ない事書きたてて高値で売る輩をよく見かける。
激安ギターにそのコンデンサーを取り付けるとまるでGibsonやFender カスタムショップのギターにも引けを取らないような音になるとまで書いてある。
アホ臭くて読んでられないが、それにつられて大枚はたいて購入する人がいる事にも驚く。

さて今回は番外編と言う事で私の部品棚から選んだものを紹介する。
見るチャンスも少なければ触る事もめったにない、ましてや入手するなど都市伝説級の難易度と思われるコンデンサー達だ。

ではまずはこれから

西ドイツ製 NPC のスチロールコンデンサー3種
最初入手した時はEROの亜種と思ったがどうやら違うらしい。
西ドイツ製なのは間違いない。他にもEROにはないタイプの物が存在しそれらすべてにNPCの文字がある。
例えばこれもそうだ。

これはペーパーコンデンサーだが樹脂でガッチリ固めてある。
実は私のメインギターに使用しているコンデンサーはこれだ。散々試して最終的にこれになった。
それまではオレンジドロップやビタQなどを色々試してみたがこのコンデンサーに何となく交換して音を出した瞬間自分のメインギターに期待していた出音はこれだったと確信した。
日本で販売しているのを見た事はない。恐らく持っているのは私を含めて国内で数人か?

次はコレ

、、、、どこがレアなの?
と言いたい気持ちはよくわかる。
実は見た目EROのMKT-1813によく似ているがこれはWIMAコンデンサーなのだ。
WIMAと言えば高音質の積層フィルムで赤色が特徴(実は黄色や青色や透明も有る)。
昔はこのようなアキシャルタイプのフィルムコンデンサーも作っていたのだ。
特徴としては中身を透明なエポキシ樹脂で固めてあるが中身の一番外側に品番やブランド名を書いた紙が巻いており中までスケスケ状態。
フィルムや箔の捩れ具合やリード線の接合部までよく観察できる。
勿論激レア品である。

さあ次は国産品の傑作品。

NCC(松尾電機)の最初期オイルコンデンサーだ。
昭和30~40年代に出回っていたらしいがまさか未使用の箱入り新品を現在私が所有しているとはお釈迦様でもわかるまい。
ただこの黄色(黄土色)の最初期物は未だにネットオークションにごくたまに出品されているのを見ることが有る。
しかし真空管アンプを自作していた人などがリプレスメントで持っていた在庫を販売している訳ではなくジャンク機器からの取り外し品がほとんどだ。

これもレア品だぞ。

ドイツ製 ERO-TANTAL
何とEROからタンタルコンデンサー(しかもプラスチックの角型)。
良く見るとEROのロゴマークの下部にTANTALの文字が!
私も最初これを見た時びっくりして信じられなかった。大きさ的に明らかにソリッドタンタルではない。
となるとハーメチックタンタルと同等の物をこのプラスチックケースに収めた事になる。
円柱状のプラスチックケースに収めた電解は知っていたがこれは知らなかった。
恐るべしERO。

どんどん行くぞ~。
次は日本のTAITSU(タイツウ)社のフィルムコンデンサーだ。

何の変哲もない普通のフィルムコンデンサーに見えるだろう。
このタイツウ社はスピーカーネットワーク用フィルムコンデンサーの名品λ‐CONを作ったメーカーだ。
なんと言っても日本で初めてポリエチレンテフタレートフィルムコンデンサーの量産化に成功した歴史ある会社。
現在でも主に電化製品や何と医療機器にまで使用されるほど信頼性の高い物を作っている。
これはその前身で簡単に見つかる物ではないのだ。
汎用フィルムコンデンサーとは思うが容量に対して大きさが少し大きめかな?と思ったところ何とポリプロピレンフィルムだった。高周波特性に優れ、大電流に強く湿度や経年劣化にも異常に強いが勿論それなりに単価はお高い。
こいつは偶然秋葉原のJUNK屋で発見したが、勿論回りに気付かれないようコソコソとレジまで持っていき全部まとめてゲットした。

お次のレア品は60年前の代物。

NOBELCON ペーパーコンデンサーである。
SonyがNCC(松尾電機)ならSANSUIはNOBELCONじゃー!!というぐらい昔のラジオ小僧たちはこのコンデンサーを買いまくっていた、、、、かどうかは分からない。
しかし昭和30年代はラジオさえも真空管で必ず町や村に1人や2人自作に詳しい達人がいたらしい。
そういう人たちがこぞって買い求めた今となっては幻のコンデンサーがこのNOBELCONだ。
時々某オークションサイトで見かけるが未使用品が出品されているのを見たことはない。
私が持っている未使用もあと数個だ。
とても60年前の代物とは思えない耐久性能で今でも立派に高圧個所に使用出来る。
何と表記の耐電圧は1200Vだ。
これも一度叩き壊して中身を観察したことが有るが、セラミック筒を使用したハーメチックシール構造であった。
NCCと並んで昭和の時代にブイブイ言わせてたコンデンサーであることは間違いない。
この大きさで1200V耐圧、まるでストラトには俺を使ってくれ!と言わんばかりの静電容量0.05uF。これが0.02uFなら私は間違いなくMarshallアンプのカップリングに使用している。

どうだろう、ここまで紹介したコンデンサーで1個でも見たことのある物はあったかな?
同様に抵抗やダイオードにもレア物や珍品が多数ある。
部品なんかで音は変わらんという人もいるが、とにかく良い音で高性能な物を作るべく日々努力しているメーカーに対して大変失礼な言い草だ。
例えばMesa/Boogieのアンプに使用されている抵抗はすべてUSA製のDALE CMF-60(1/2W)という金属皮膜抵抗を使用している。
カップリング、デカップリングすべてのフィルムコンデンサーはSPRAGUE社のオレンジドロップだ、これ以外は絶対に使用しない。こだわっているのだ。
音にこだわるなら部品にもこだわって当たり前だと思うが如何だろうか?
なに?ドロ沼が怖い?そんなもんドロ沼の中を泳ぎまくるぐらいが丁度いいと思うのは私だけだろうか、、、。

技術サポート / 盛 寿

Bogner、 ENGLのカスタマーエンジニア経験を経てあらゆるメーカーのAMPを修理し続け早や20年、中でもMarshallの修理では他の追従を許さぬほどの経験値あり。Noasharkエフェクターの回路設計者でもあり、あらゆる音響機器に造詣が深く、自分用のエフェクターは自分で作るがモットー。しかしただのビンテージコンデンサーフェチではないか?と噂されている事を本人は知らない。

 
 
 
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