ポンプという単語を聞いたら何を思い浮かべますか?
具体的にポンプそのものが思い浮かんでいる人は少ないのではないでしょうか。
それもそのはず、ポンプは普段目にすることはありません。大体は何かの機械の内部に組み込まれていて、人知れず役割を全うしているのです。
今回はポンプというパーツ単体に焦点を当てつつ、商品の説明や不良動作の説明をしていこうと思います。
まず、ポンプは何に使われているかというと「液体」を動かすために用いられることが多いです。サウンドハウスの商品だとフォグマシンのリキッドを吸い上げるのに使用されています。
ポンプの種類はじつは豊富で、小型のものから大きいものと機種や用途に合わせて使い分けられています。
ANTARIのローフォグマシンICE101を例に挙げると、フォグリキッド吸い込み用のポンプと、排水用のポンプが搭載されています。同じポンプを2個使用しているのではなく、違った種類のポンプをリキッド用と排水用で使い分けています。
同じローフォグマシンでもAMERICAN DJのMISTER KOOLIIはリキッド用のポンプしかありません。排水はコックを開いて行うのみです。
ICE101とMISTER KOOLIIは使用する規模が異なるため排水ポンプの有無が分かれたのだと思われます。ICE101は大きな規模の会場で使われることが多いです。中に入れる氷の量も多いので、溶けた氷を排水するためにはポンプを使用して排出した方が効率がよいと考えます。
一方、MISTER KOOLIIは小型のローフォグマシンなのでスペースを制限された会場で使われることが多いです。小さい氷タンクなので排水量も多くはなく、ポンプの動作音もないのでコック式の方が好まれる場合もあります。
この2機種の比較だけでもポンプの使い分けされていることがお分かりいただけたかと思います。
次にポンプ自体がどのように動作しているのか説明します。
フォグマシンで使用されているポンプは電磁ポンプという種類のポンプです。
電磁ポンプがどういったものか、まずはこの画像を見てください。
MISTER KOOLIIのポンプです。こちらを分解してみます。
このようにポンプが2つのパーツに分かれました。
手前がリキッドの通る管、奥側は電源端子とコイルです。
このコイルに電流を流すと磁場が発生します。この磁場によってピストンやダイアフラムを動かし、液体を吸引・吐出します。これが電磁ポンプの動作原理です。
電磁ポンプのメリットとしては、動作部分が少ないため摩耗が少なく長寿命、精密な流量制御が可能、静音性に優れている点が挙げられます。
メリットが多い電磁ポンプですが、吸い上げられないという不具合が起こることもあります。大きく分けて2つのケースがあります。
1. ポンプの劣化
長寿命が売りの電磁ポンプではありますが、長時間使用していると当然のことながら劣化もします。ポンプの先はヒーターが繋がっていることが多く、ヒーターが目詰まりしているとポンプからの吐出が制限されて負荷がかかり劣化を促進させてしまうこともあります。ヒーターの目詰まりが起こったら早めに修理に出した方がよいでしょう。
2. 空気の混入
主に小型のポンプで起こることが多いのですが、リキッドが無くなった状態でポンプを作動させてしまい空気を吸い上げてしまいます。空気がポンプ内部に入るとリキッドが上手く吸い上がっていかなくなります。
なぜ小型のポンプで起こりやすいのか、それは大型のポンプに比べて吸い上げる力が弱いからです。空気が混入してリキッドを吸い上げなくなったら、何度もポンプを動作させて少しずつでも吸い上げられるか試してみてください。上手くいけば直ります。
また、大型のポンプでも空気混入して正常に吸い上げない事例があります。それはコントローラーやDMXの操作で吸い上げる力の調整ができるパターンの時です。値を弱く設定しているが空気が混入してしまったため吸い上げないことがあります。この時は一度強めにポンプを動かしてポンプに入った空気を抜くことで直ります。
ポンプについて書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
フォグマシンを持っていない方はトリビアとして覚えていただけたら幸いです。