作りかけのFUZZのトランジスターに、TESLA(旧西ドイツ)のゲルマニュームトランジスター106NU70を用意した。
が、最初に「今回はゲルマなど使わん!シリコンで行くのじゃ~!!!」と言ってしまったのを思い出したので、そっと部品箱に戻しておいた。
そういう訳で、今月も番外編です。
真空管を使用した機材で、最初に思い浮かぶのはやはりギターアンプだろう。
私も年甲斐もなく3台ほど真空管のヘッドを所有しているが、じつはまだ欲しい真空管アンプがある……金があればな~。
さて、肝心の真空管のはなし。
パワーアンプ部分に使用される真空管で多いのがEL-34(マーシャル系)と6L6GC(フェンダー系)だ。

皆それぞれ好みがあるだろう、私は断然6L6GC派だ。
所有しているMesa/BoogieもPEAVEY5150も6L6GCだ。

しかしMarshall 派の人たちは圧倒的にEL-34信者が多い。
それを知ってか知らずか、中にはどちらのパワー管にも差し替え可能なアンプも有る(実はMesa/Boogie Dual Rcctifierもそのタイプなのだが、私はあえて6L6GC)。
その理由と音の傾向、さらに間違った解釈による勘違いを正そうと思う。
私が6L6GCを好む理由は、マイルドで太く安定性が有り、音の密度が濃いため。
そして4本セットのクワッドペアを買ってもあまりばらつきが無いため、出力管としての寿命も長い。
いやいや……別にEL-34を嫌っているわけじゃないよ?
MarshallにはやはりEL-34がよく似合うし、攻撃的で武骨なロック全開なサウンドはEL-34じゃないと出ないと思っている。
でも私は遠い昔にMarshallを手放してしまい、それ以降所有していない。
理由はより歪に特化したアンプを購入してしまったため(PEAVEY5150の事です)。
EL-34は6L6GCと同条件で使用してもプレート損失が大きく(要はパワーが大きい)、ダイナミックレンジも広大だ。
しかしその分個々のばらつきが多く、4本のクワッドペアを組むのは至難の業だ。
大まかな印象だがEL-34はクリアーでハイパワー、6L6GCはマイルドで音が濃い。
サスティーンは6L6GCの方が良い気がするのだがどうだろう?
またこの2種類のパワー管について書籍やSNSでは簡単に差し替えできると書いてあるようだが、とんでもない話だ。

差し替え可能とアンプに表示されていれば別だが、使用しているソケットに互換性が有るだけで配線そのものが全く違う物もあり知らずに差し替えするといろいろ支障が出る。
まず、6L6GCのアンプにEL-34を装着した場合。
アンプメーカーが差し替えを想定していれば問題無いが、その表示が無い場合6L6GCの出力の半分ぐらいの音量しか出ず、バイアス値が全く合わない事がある。
これは6L6GC用の配線をしているため、EL-34を挿すのであれば回路変更と部品の変更、バイアス調整が必須。
EL-34のアンプに6L6GCを装着する場合。
回路変更は必要ないが、部品の変更とバイアス調整が必須である。
また交換用真空管について、商品としてペア選別して販売されているものはその選別方法により意味が異なってくる。
ここからは超大事な真実を教える。
真空管のペアを揃えるには2つの重要な要素がある。
それは「エミッション」と「GM」の2つだ。
時々、ペアと言われて買った真空管を実際にアンプに取り付け、信号を入れない状態でプレート電流を計ったら見事に全部バラバラで全然揃っていなかったと怒りまくる人たちが一定数いる。
この時点で購入者が測っているのはいわゆる「エミッション」。
パワー管のグリッド(信号の入り口)にバイアス電圧を印加した状態の電子の飛ぶ量を測定しているわけだ。
じつは、このエミッションを揃える事は大した問題ではなく(いや問題ではあるが)すべてのエミッションがぴったり同じである必要はない(かといってバラバラなのは問題外)。
それよりも大事なのは「GM」である。
全ての球が同じ量の信号を同じ増幅率で動作するのが望ましい。
そりゃそうだろうね、ぴったりエミッションがそろっていても、いざ音を出したら4本の増幅量がバラバラな動きをするんじゃ全然意味がないからね。
どちらを測定してペアとしているかはそのメーカーによる。
今回はパワー管についてだったが、いずれそのうち12AX7とかの話もしたい。
ではまた次回のブログを宜しく。今度こそはThe FUZZを進めたい……