今回はイナーシャブロックについての話です。
通称トレモロブロックなんて呼び方もされるパーツですが、エレキギターになじみのない方からすると「なんなのそれ?」って感じですよね。
簡単に説明しますと弦をブリッジに止める、ブリッジをボディに固定する、この2つの役割を果たしているパーツです。
で、これが音にどのような影響を与えるの?ということですが、これには面白いお話がありまして……
昔々、アメリカはカリフォルニア州フラートンにラジオの修理店を営むレオ・フェンダーという男がおりました。(かの有名なギターメーカーFenderの創始者です)
さてこの男、音楽が大好き。しかしギターは全然弾けないときたもんだ。
そんなレオ・フェンダーですが、ひょんなことからエレクトリック・ラップスチールギターを開発し、その後は相棒や仲間と共にエスクワイヤー → ブロードキャスター(後のテレキャスター) → プレシジョンベースを開発。それだけに留まらず、目まぐるしく変化する音楽シーンに対応すべく次なる商品開発に勤しんでおりました。
それが皆さんご存知のストラトキャスターなんです。
さぁこの新商品の注目すべき点は、なんと言っても専用アームを使用しブリッジを動かすことで音を揺らすことができるシンクロナイズドトレモロ‼
しかしこれには重大な欠点が……
まさかの音がペラッペラでサスティーンもない。
困り果てた開発者一同は改良を重ねあることに気が付くのです。
『音がペラッペラなのはブロックの重さじゃね?』
そこでブロックを大きく重くしたところ音質が良くなったため、さらにブロックやザグリの設計を煮詰め完成。
販売を開始したところ人気は上々(途中で生産が危うくなったこともありますが)。
そんな感じで今なお多くの人々に愛される名機となりました。
めでたしめでたし。
すこし話が長くなりましたが、要はイナーシャブロックの材質や重さはとっても大切ということです。
考えてみればシンクロタイプのブリッジは裏通しやTOMタイプのブリッジに比べて、極端にブリッジとボディの接している面積が少ないですからね。
ということで弊社が取り扱っているギターに搭載されているトレモロブリッジや、販売しているイナーシャブロックをちょっとだけご紹介。
PLAYTECH ( プレイテック ) / ST250 Rose White

まずは弊社自慢のこのギターですね。
ブロックの方は…ちょっと薄目ですね。
まぁまぁこのギターはなんといってもコストパフォーマンスがウリのギターですしブロック自体も重ければ良いってわけでもありません。
大切なのはバランスですからね。
PLAYTECHのギターは大変お求め安い価格となっております。1本購入してブリッジを交換したり、他のパーツを乗せ替えたりしてみて音質の変化を楽しむのも良いんじゃないかと思います。
FENDER ( フェンダー ) / Pure Vintage Stratocaster Tremolo Block

FENDER純正、グローバル基準の最もスタンダードなイナーシャブロックです。
材質はスチール(鉄)、重量は約280g、規格はインチでピッチは11.2㎜です。
一般的に販売されているストラトキャスタータイプに搭載されているイナーシャブロックはアルミ製のものも多いのですが、やっぱりストラトのブロックはスチールじゃないと!という方も多いんじゃないでしょうか?
スチール製はアルミ製に比べ、ギュッと締まって前に出てくる低音域と、煌びやかで伸びがある高音域が特徴です。
お使いのギターで音がぼやける、伸びが少ないと言った点でお悩みの方はスチール製ブロックに交換してみるのも良いかもしれませんね。
GOTOH ( ゴトー ) / 510T-FE1 Chrome

アーミングの際のチューニングの狂いでお悩みの方はこちら。
ブロックが少し特殊な形をしていますがこれは FST機構というものです。
サドルとボールエンド間で弦のプレートへの干渉を避けるために独自の形状に成型されており、アーミング後のチューニングの復元性を飛躍的に向上させる造りとなっています。
アーミング後のチューニングの狂いについてはナットやストリングガイド、サドルやスプリングなど様々な要因がありますがブロックもまたしかり。
こちらはブロック単体での販売は行っておりませんが、興味がある方はいっその事ブリッジごと交換してみてはいかがでしょうか。
Sago ( サゴ ) / Inertia Block Brass

ブラス素材のシンクロブロックです。
ブラスの特徴はなんと言ってもガツンとくる中音域そしてサスティーンですね。
そしてブロックの弦を通す穴部分、ボディトップ側には張られる弦の角度に合わせてくぼみがついています。
これは510T-FE1のように弦とプレートの干渉を避けてチューニングを安定させる目的でしょうね。
ん~細かいところにも気が配られておりメーカーとしてのこだわりを感じますね。
そしてこの商品はGotoh 510Tと互換性があるのがポイントです。
Gotoh 510Tは多くのギターに採用されているブリッジですから、購入してすぐに取り替えできるのは嬉しいですね。
FLOYDROSE ( フロイドローズ ) / Fat Tungsten Block 42mm

最後はみんな大好きFLOYDROSEのブロックです。
FLOYDROSEのブロックは32mm、37mm、42mmのものがありますが、その中でも42mmは厚みも増しており見た目からしてすごくゴツいです。
実際に目にすると『おぉ~マジか』ってなります。これでもか‼って感じが個人的には大好きです。
ブラス素材は中音域をパワフルに、タングステン素材はブライトでクリアなサウンドに、そしてどちらも伸びやかなサスティーンが得られます。
FLOYDROSEはパーツ点数が多いのでブロック交換は少し大変かもしれません。しかし、このゴツいブロック。一度試してみたくなりませんかw?
さて今回はイナーシャブロックについてのお話でしたが、いかがでしたしょうか。
これを読んでくださった方が少しでもイナーシャブロックに興味を持っていただけたら幸いです。
今回ご紹介した商品のほかにもブロックの素材はアルミ、亜鉛、チタン、ステンレスなど様々です。
ぜひ調べてみて色々なブロックを試して自分の音を追及されてはいかがでしょうか。
最後に交換際の注意点ですが、お持ちのブリッジのブロック取り付けネジの位置や規格、弦間ピッチをしっかり確認することが大切です。
ブリッジのメーカーとブロックのメーカーが異なると取り付けできない場合もあります。
また、ボディ厚の関係でブロックがボディからとびでちゃうなんて事もありますのでご注意ください。
実際に交換したことのある方が周りにいらっしゃいましたら、一度聞いてみるのも良いかもしれませんね。
それではまたサウンドハウススタッフブログで会いましょう。
さようなら。