今年の4月に入社し、早いもので半年以上過ぎました。日々、プレイテックの楽器に触れていくうえで気になった事があります。
こちらプレイテックの銀メッキ仕上げのトランペット2本なのですが、、、
ぱっと見そっくりですよね。
あぁ、管体の材質が違うのか。どっちかはゴールドブラスとかかな。と思い仕様を比べてみると
PTTR200S | PTTR300S | |
---|---|---|
管体材質 | イエローブラス | イエローブラス |
マウスパイプ・ベル材質 | ローズブラス | ローズブラス |
仕上げ | 銀メッキ | 銀メッキ |
ボアサイズ | 11.65mm | 11.66mm |
ベル直径 | 123mm | 123mm |
可動式指掛け | 〇 | × |
逆相式トリガーストッパー | 〇 | × |
支柱の数 | 1本 | 2本 |
分割式第3抜き差し管 | × | 〇 |
第3抜き差し管ウォーターキィ | 〇 | × |
ほぼ一緒!!
管体材質に関してはマウスパイプ・ベル含め全く同じです。
しかし、いざ吹き比べてみると、、、意外と音色や吹奏感に違いがあるんです。
なんとかこの2本の微妙な違いを説明できないものかと思い、さらに細かいところを比較し、音色の違いが生まれる秘密を探っていきます。
楽器全体のバランス
さきほどの比較表をもう一度みてみると若干仕様が違うことがわかります。
PTTR200S | PTTR300S | |
---|---|---|
可動式指掛け | 〇 | × |
逆相式トリガーストッパー | 〇 | × |
分割式第3抜き差し管 | × | 〇 |
第3抜き差し管ウォーターキィ | 〇 | × |
主にトリガー周りの作りに違いがあります。
かといって別に指掛けが無いわけでもないし、ストッパーもただ300Sが逆相式じゃないだけだな、、と思いつつ、トリガーを眺めていると

謎のぽっちを発見。よく見てみると300Sには第1.2.3番全ての抜き差し管に付いていますが、200Sには第2抜き差し管にしかついていません。
このぽっちは「カニ目」と呼ばれるものです。(たぶんカニの目みたいだから)
カニ目が付いていることで抜き差し管を抜きやすくなるメリットもありますが、それ以上にこの小さなぽっちは重要な役割を持っているんです。
それはずばり楽器全体のバランスを整える事。
バランスが崩れてしまうと例えばこんなことが起こります。
- 音が当たらない
- 音程が合わない
- 音が割れる
- 音が響かない
など、大げさにいうとこんな大変なことになってしまいます。
もちろん、管体や仕上げの材質によっても音色や吹奏感は変化します。
ですが、それらをさらに整え、よりいい音で吹きやすい楽器にするには楽器全体のバランスが意外と大事なんです。そして、このバランスを整え保っているのはカニ目だけではありません。ウォーターキィや支柱、ボトムキャップなど様々なパーツが楽器に影響を与え、絶妙なバランスを保っています。
少し話がそれましたが、もう一度PTTR200Sと300Sを見比べると、カニ目の数・形状、ボトムキャップやマウスパイプの形状など細かいところに少しずつ違いがあることがわかります。




このとても小さな作りの違いひとつひとつが音色や吹奏感の違いを生み出していたんですね。
実際に吹いて比較してみると
- PTTR200S
- 音色は明るくトランペットらしい華やかさがあります。抵抗感も300Sと比べて小さく、音がまっすぐと遠くに飛んでいくような感じです。ポップスやソロ等に適しているかも、と思いました。
- PTTR300S
- トランペットらしさはありますが、200Sに比べ温かみがあります。程よく抵抗感があり、周りに溶け込みやすい印象です。吹奏楽などの大編成でも心地よく馴染んでくれそうだなと思いました。
ちなみにPTTR200Sと300Sどちらがおすすめ?と聞かれてしまうと正直好みになってしまうと思います。どちらにせよ、プレイテックの管楽器は値段からは考えられない高い品質を誇っています。成田のショールームでは実際に吹き比べることもできるので気になる方はぜひお越しください!!